ここ数年フィレンツェ市は「伝統のお祭り」の復興に力を注いでおり
この「Bacco Artigiano」もその一環。
昔はワインの守護聖人サン・ミケーレの日に合わせて
Rufinaからピラミッド状に2000以上のフィアスコを積み上げて
フィレンツェまでウシに曳かせてやってきて
シニョーリア広場で市の官僚の皆様方に
ルフィナ産のワインを提供したという慣わし。
さすがに今は2000本のフィアスコを積み上げる技術が
途絶えてなくなってしまったようで、ちょっと小さめのピラミッド。
それでもかなり見ごたえあり。
白いキアーナ牛二頭に曳かれて
ドゥオーモ前からシニョーリア広場まで練り歩き。
(ウシと山車が動いている姿を見たい方はこちらから)
ワインに祝福を授けるためにご登場の司祭とお供。
結構日差しが強い秋の午後。
キアーナ牛はあまりの人出にびっくりして今日もナーバス。
牛遣いのおじさんは晴れ舞台で誇らしげ。
これにお供する形でフィレンツェ共和国古式仮装行列も出動。
この日は大盤振る舞いの大砲。
オルサンミケーレ教会前でも大砲炸裂。
大砲部隊のおじさんでさえびっくりする大爆音。
そして私の大好きな旗振り隊も出動!!
シニョーリア広場で華麗なエキシビション。
青組に一人ちょっともちっとした新人君を発見。
あんまり動作が機敏でなくて思わず笑ってしまったけれど
それ以外のベテラン人はさすがの演技。
この旗振り隊の中から選りすぐりの二人による
ソロ演技を動画で見たい方はこちら。
めちゃくちゃかっこいいです。
ダヴィデ像の前に置かれるフィアスコのピラミッド。
どんな感じに積まれているかというとこんな感じ。
ワイン祭りのお知らせを見たときに
アルコールを口にしない私が一番魅かれたのは
「モンテフィオラッレまで無料シャトルバス運行」。
行きたいなぁと思いながらなかなか行けなかった場所。
Mangiando Mangiandoでお腹いっぱいおいしいものを食べて
ワイン祭りでワインを色々見て歩き
帰りのバスまではまだ時間があるし
やっぱり隣町まで行ってみよう。
シャトルバスは16時から30分後とに運行とバス停に告知。
しかし、このシャトルバスは9人乗りのミニバン。
既に16時前からバス停には定員を超える人だかり。
結局30分毎ではなくバス停にいる全員を輸送するために
ピストン輸送に急遽変更。
15分も待ったらミニバンが戻ってきて乗車。
急な坂道をうんうんいいながらポンコツミニバンで登ると
小さな小さな丘の上の街。
丘をぐるりとめぐる道を歩くと5分もしないで街を一周。
本当に小さな街。
ひっそりとなにげない景色。
自転車の向こうの扉が妙に小さくて
それがすごく気になった。
背の高い人はくぐるのが大変そう。
小高い丘の上にあるので見晴らし良好。
見渡す限りトスカーナの景色。
街のメイン広場。
木陰に並ぶベンチで
ボーっと座って過ごしていると幸せ。
イタリアの田舎の街には
どうしてこう花が似合うのだろう。
華美でなくでも手入れの行き届いた花壇。
いつかこういう家に住めるといいのになぁ。
帰りのシャトルバスも適当な時間にやってきて
バス停にいる人を全員乗せて下山。
8人乗りのミニバンに18人も乗せるのは
違法じゃないのか?
それくらいのことはヘッチャラな
秋の田舎のワイン祭りなのでした。
Bacco(バッコ:バッカス)とはローマ神話の酒の神。
ギリシャ神話の酒の神である
Dioniso(ディオニソ:ディオニソス)と同格。
このローマ神話とギリシャ神話の
複雑な絡み合いがよくわからない私。
よく間違えます。
イタリアでは紀元2世紀ごろから
ワインの神、酒飲みの悪習慣の神として知られ
古代ローマの社会に広く浸透していたとか。
ただし社会に悪影響を与える面ばかりがあまりに広く普及したため
古代ローマの元老院は紀元前186年に宗教的な酒宴の儀式を
一部禁止するほどだったとか。
神の名前は「乱痴気騒ぎ」を意味するBaccanaleに
由来しているということからも推し量ることができます。
何事も度を過ぎてはいけないのです。
妖艶な酒の神はどの時代にも
芸術作品のテーマとして好まれています。
有名なものには
Caravaggio(カラヴァッジョ)が描いた
目のうつろな酔っ払い神や
Michelangelo(ミケランジェロ)が製作した
グラマラスな大理石彫刻などがあります。
私はバッカスの後ろに隠れるパンの卑屈な笑い顔が好き。
前者はローマのボルゲーゼ美術館に
後者はフィレンツェのバルジェッロ博物館に収蔵。
ルネッサンスからマニエリスムの時代を生きた彫刻家
Giambologna(ジャンボローニャ)は
ブロンズ像でバッカスを表現。
フィレンツェの銀行家であった
Lottanzio Cortesi(ロッタンツィオ・コルテージ)の依頼によって
1560年から1570年にかけて制作された作品。
フィレンツェのPonte Vecchio(ヴェッキオ橋)を渡りきると
Borgo San Jacopo(ボルゴ・サン・ヤコポ)への入り口が
小さな広場になっています。
この広場の一角にNicchia(壁がん)があり
小さな水のみ場になっています。
ここには数年前までジャンボローニャのバッカスの
ブロンズ像のオリジナルが置かれていましたが
修復のため撤去されその修復と複製製作が完了。
オリジナルはバルジェッロ博物館収蔵となり
ミケランジェロのバッカスと同じ展示室に展示されることに決定し
ボルゴ・サン・ヤコポのニッキアには複製がようやく戻ってきました。
酒盃を傾けてうつむき加減に歩を進めるバッカス。
精神は古代ローマから受け継がれ、
肉体にはルネッサンスの息吹。
屋根のない美術館・フィレンツェに
またすばらしい作品がひとつ戻ってきました。
体中が痛くてもう何もしたくない気分です。
以前こんなことを書きました。
そしてそれが現実となり
週末ははるばるフランクフルトまで行き
そしてソフトボール復活してきたわけです。
20年ぶりに握るボールはなんとでかいことか。
握力も落ちているので手のひらに収めておくだけでも大変。
20年ぶりにのぼるマウンドのなんと孤独なことか。
こんなに一人ぼっちの気分だったかなぁとしみじみ。
そしてマウンドからホームまでの距離の長いこと。
どんなに一生懸命投げてもホームまで届かない気がしたり。
三つ子の魂百までとはよく言ったものです。
20年間投げることも打つこともなかったのに
いざとなったら投げて打てるものです。
しかし、人生始まって以来の記録的な筋肉痛。
ソフトボール復活かもと書いてから
相当時間はあったのにもかかわらず
走りこみ投げ込みはおろか筋力トレーニングさえもしないまま
あっという間に時は過ぎ本番当日。
結局3試合やってほとんど投げさせてもらったので
2試合目の途中から既に筋肉痛。
そして月曜日は
ミシュランのマスコット人形のようなぎこちない歩き方。
火曜日も辛そうだ…。
フランクフルトの様子は近日中にご報告。