ローマ神話の女神ジュノーネに
縁の深い動物であるクジャク(Pavone)。
クジャクの尾にある模様は
Argo(百眼の巨人アルゴス)の目だという説があります。
アルゴスはジュノーネの忠臣で
雌牛に姿を変えられたイオの監視を命ぜられ
眠らない幾多の眼を駆使して
忠実にその職務を果たしていたものの
ゼウス(Giove)が送り込んだ
マーキュリー(Mercurio)の吹く葦笛の音で
すべての眼が眠ってしまった隙に暗殺されてしまいます。
この死を悼み、ジュノーネがアルゴスの眼をとって
クジャクの羽に飾ったので、
尾にあのような模様がついているのだと。
初期のキリスト教では
クジャクは肯定的な意味を持つ動物として崇められていました。
毎秋羽を落とし、春になると新しい羽をつけることから
魂の再生、復活のシンボルとされてきましたし、
尾羽の眼の模様は
全能の神を暗示するもであるとも言われてきました。
しかし、中世の時代になると、
少々高飛車に美しい羽を見せびらかして歩く姿から
徐々に否定的な意味合いも付け加えられていきます。
この結果、
傲慢や横柄のシンボルとしても扱われるようにもなります。
ギリシャ哲学の四元素(土・空気・火・水)のうち
ジュノーネが司るとされたのは空気で、
これよりクジャクは空気のシンボルとして描かれることもあります。