フィレンツェには
ウフィツィ美術館やアカデミア美術館などの
国立の主要美術館のほかに
小さな美術館が実にたくさんあります。
そうした小さな美術館に所蔵される作品にも
芸術的な価値の高いものがたくさん含まれています。
そうした作品に焦点を当てた展覧が
Le stanze dei Tesori
(http://www.stanzedeitesori.it/index.html) で
フィレンツェ市内のいくつかの美術館で展開されています。
その目玉として注目されているのが
2回の精密な修復を経て12年ぶりに一般公開となった
Il Crocifisso di Bernardo Daddi。
ベルナルド・ダッディが1340年ころに製作を手がけた
キリスト磔刑像で
Museo Bardini(バルディーニ美術館)所蔵の
4,76メートル×4,20メートルの大きな作品。
これはサンタ・クローチェ教会の
有名なCimabue(チマブエ)の磔刑像
(3,90メートル×4,33メートル)よりも大きく荘厳な作品です。
今もなお研究が続けられる、謎に包まれた作品ですが、
専門家によると、
そもそもSanta Maria del Fiore(ドゥオーモ)の
主祭壇画として製作されたもので、
1400年代初頭に忽然と姿を消してしまった
la Crux de medio ecclesiaeであるといわれています。
詳細の記録が一切残っていないので、
蒐集家であった
Stefano Bardini(ステファノ・バルディーニ)が
どこからいくらで入手したのかも不明なのですが、
1888年に彼の古物商としてのショールームオープンの際に
撮影された写真には、この作品も写っているので
その当時には既にバルディーニ所有だったことは明らかです。
ライオンズクラブ・ポッジョ・インペリアーレの寄付で
26000ユーロかけて修復された本作品、
バルディーニ美術館で閲覧可能です。