不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-03-28 19:08:45 | Tweet Log



30 anni a Villa Celle

2012-03-28 00:00:00 | アート・文化
フィレンツェ近郊
Prato(プラート)とPistoia(ピストイア)の間の
のどかな丘陵地帯にあるVilla Celle(チェッレ荘)。
ここに現代アートのプライベートコレクションがあります。

1982年6月12日にオープンしてから今年で30年。
行政の補助金なども受けずに
少しづつプライベートコレクションを充実させて
80点あまりの作品を所有しているのは
Giuliano Gori(ジュリアーノ・ゴーリ氏)。

15世紀に一帯の土地は
Pazzaglia(パッツァリア家)の所有から
地元ピストイアの名士・Fabbroni(ファッブローニ家)に移り、
改装・改築が行われました。
更に19世紀初旬に
建築家Giovanni Gambini
(ジョヴァンニ・ガンビーニ)が手を加えています。
1960年代にプラート出身の実業家・ゴーリ氏の所有となり、
やがて、新鋭の現代美術作家を招いて、
その広大な大地の自然と芸術の融合を目指し
作家にインスタレーションを推進して、
環境アートのコレクションを構築し始めます。
元からそこにある自然のバランスを尊重した上での
インスタレーションが基本となっています。

作品ではなく作家を愛するというゴーリ氏によって
選ばれた作家たちが
それぞれが広大な敷地の中で
自分の作品を表現するのに最も適した場所を見つけ出し、
そこに作品を築き上げるというスタイルは
1981年から現在に至るまで変わっていません。
使われる素材も耐久性のあるものが選ばれ、
作品は可動性のないものという定義がなされています。
つまり、
基本的にはその場所でなければ鑑賞できない作品なのです。

1982年に一般に公開された時点で
屋外展示は9点、屋内展示は6点。
2000年夏の時点で屋外展示は34点になり、
現在コレクション数は
屋内外合わせて80点あまりとなっています。

第二次世界大戦直後、
まだ少年だったゴーリ氏が
織物商人だった父親の仕事の手伝いで訪れた
プラートのサプライヤーは画家としても活躍しており、
それまで芸術などにまったく興味のなかった少年は
そのアトリエにあった色彩に
心を射抜かれてしまったのだそうです。

自身で蒐集家でもパトロンでもないと言い切るゴーリ氏。
Melotti、Karavan、Pistoletto、Folonなど
名声のある作家の作品も多く含まれていますが、
作品の依頼は
その作家に惚れ込んだかどうかで決める
という姿勢は常に変わらず、
マーケットの価格だけを念頭にした作家や作品には
一切興味を示さないというスタンス。
その場所でなければ鑑賞することができず、
販売することもできない作品。
つまり市場価値は何もない、そんな作品群。
そのこだわりが今の時代にあって、とても貴重だと思います。

6月には30周年を記念しての
特別イベントも予定されていますが、
基本的に、
見学は完全予約制で4-5時間のガイドつき無料ツアー。
夏季(5月から9月)のみ受け付けています。

フィレンツェからもなかなか行きにくいところにある、
こんな頑固なおじさんが守り続けてきた
現代環境アートの楽園。
いつもと違うイタリアに触れたい方にお勧めです。

因みに日本の作家の作品もあります。
2002年には期間限定ですが
かの草間女史による
インスターレーションも行われていました。

VILLA CELLE
予約はメール(goricoll@tin.it)でのみ受付。