モノと心の独り言

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疾走する青春映画 「汚れた血」、「ボーイ・ミーツ・ガール」、「ポンヌフの恋人」

2006-05-27 08:21:41 | 映画・音楽・・・パッケージ・メディア
レオス・カラックスの映画 4本を見る
汚れた血(1986)
ポンヌフの恋人(1991)
ボーイ・ミーツ・ガール(1983)
ポーラX(1999)

最初に見た「汚れた血」が鮮烈で、この2週間ほどで続けて見てしまった。
映画紹介は、それぞれの映画データベースに任せるとして、

当初、Juliette Binoche ジュリエット・ビノシュ の美しさに惹かれて、
見続けたのだとおもっていたが、
実は、3作共通のDenis Lavant ドニ・ラヴァン(Alex)の
疾走する剥き出しの青春
躊躇なく自身を解放してゆく限りない欲望に撃たれた感じだ。

フランスの若者は、大人になるための精神的な負荷と自意識が強い。
19世紀からの市民階級文学では、
階級や男女の差別を障害に、その恋や愛が深く表現されている。
禁じられたことを超えざるを得ない生や性が描かれてきた。
しかしこの時代、さまざまな障害は除かれて、
自助努力・個人の責任と明示されているゆえに、
自身の生を引き受ける自問をし、求め続ける。

映画ではゴダールの影響も強いのだろうが、
言葉が抽象化し、過剰になり、観念化した日本語の字幕の背景で、
映像や音がある。

「汚れた血」の最初の2羽の白鳥、クローズアップされるモノ・・・、
疾走するオートバイ、飛行機、パラシュート、飛翔
「ポンヌフの恋人」では、セーヌ川での水上スキー、飛散し流れ落ちる花火
初作の「ボーイ・ミーツ・ガール」では、ちぐはぐな気持ちを映像が裏付けていたし、
とにかくドニ・ラヴァンの風貌や所作が、感情をむき出しに表現している。
音楽は、このブログで様子が良くわかった。
FRENCH BLOOM NET-DATA BASEによる「汚れた血」紹介

配役が変わる「Pola X」では、美から醜へ
オートバイが疾走する林は、昼間から夜へ、
社会の表から隠されていた同性愛・近親相姦など、
裏側へ入り込んでゆく。

ゴダールの「勝手にしやがれ」を連想し、
「男と女のいる歩道」、「気狂いピエロ」などを思い出す。

大人ぶって、訳知りでいたかったあの頃と、
剥き出しの青春を正視できる今と、
映画は、私の時間を越えてゆく手がかりなのだ。

「ポンヌフの恋人」のラストは、
二人がセーヌ川を船で下り、海まで行こうとするのがラスト、
これは永遠へ、死へのあこがれ

監督レオス・カラックスは、違う結末を描いていたようだが、
ジュリエット・ビノシュ が望んだとのこと。
別れとして現実を描くか、夢として望みを描くか、
男と女は、表現と行動が違うようだ。

関連
「アマチュア」:監督 キシュロフスキー
「ダンサー イン ザ ダーク」 監督ラース・フォン・トリアー




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (exquise)
2006-05-28 16:06:13
先日はTBありがとうございました。

カラックス4本立ってすごいですね。そのなかでも私はやっぱり映像感覚がすばらしいこの作品がいちばん好きです。



TBお返しが遅くなって申し訳ありません。近いうちに管理者のほうからさせていただくと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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フランスのデータベース (バカボンの叔父)
2006-05-28 18:11:03
私も、「汚れた血」の映像に酔いました。

ブニュエルやマン・レイなども思い出し、

フランスのデータベース、

また、お世話になります。





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