のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

ギリギリセーフ

2008-10-24 | KA
 タタミと呼ばれる舞台は、少し前傾していて、前後に動く舞台です。お客様から見える部分の舞台が前に出るとそこには段差ができ、舞台へは階段かミニトランポリンで上がるようになります。
 二回目のショー、エピローグでステージマネージメントがキューを出し忘れました。だいぶ遅れてキューが出て、ゾラが先頭に細い道を通り、急いで舞台へ向かいました。しかし、タタミと呼ばれる舞台が見えると遥か先。いつもは5歩ぐらいでタタミへ上がる階段へ辿り着くのに、タタミはもう前へ出てしまっていて距離があります。先にタタミにのっているアーティストが小さくさえ見えました。
 ゾラはイモムシへ入るので、全身タイツの様なものを着ていて、身軽に走りました。私は重いガウンの裾をたくしあげて、走りました。階段を前に、どうにか舞台へのるタイミングに間に合いそうなことが分かりました。そして、私の後を走っているはずの、同時に舞台へ上がるファイアフライボーイ役のピエールルックが間に合うのか、階段を上り切ってから後ろを振り返って確認しました。すると彼は、肘を横に張って衣装をたくしあげ、厚底靴を履いている足を大きく上げながら階段を必死に上がっているところでした。その姿が本当におかしくて、彼は必死であることは分かりますが、本当におかしくて、笑ってしまいました。私はそのままにこやかに舞台へ立つと、反対側から現われたピエールルックは、あの必死だった姿は微塵も感じられない、通常通りに落ち着いた様子で微笑んでいました。それがまたおかしくて、私は笑いました。このシーンが笑っていていいところで本当に良かったです。その後の乳母役は、登場しながら、通常同時に出てくる相手が間に合っていないことが分かり、大きく笑いながら一人でお辞儀をしていました。私はもう、最後までおかしくて、たくさんたくさん笑ってショーを終えました。