のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

舞台中央で転落

2006-06-10 | KA
思いに少しふけりすぎて、気が付いたらお化粧を始めるのがいつもより遅くなり、それでも特に影響はないのでいつものようにブラシを取ると、ブラシについている紐がマグネットでトレーについている香水の下敷きになっていて、紐が引っ張られると同時に香水が持ち上げられ、トレーと離され、香水が転落・・・舞台中央でのことでした。
舞台が一周と4分の1回り、少し下がったところで下をのぞくと、安全ネットの上の黒いシートの上に香水が落ちているのが見えました。そしてふと右を見るとお客さんが見えます。ということはお客さんのほうから自分も見えるということ。急いで引っ込みました。もちろんその時は舞台上がメインでしたので、私を観ていたお客さんはまずいないでしょう。
はじめは舞台が下がって自分が降りてからそのことを小道具の方に伝えようと思いました。でもちょっと待って。そのあとのネットの行方を考えるとあの小さな香水はネットとともに大きな穴に吸い込まれて、その後再び人目にさらされることはあるのだろうか。あとではない、今、知らせなくてはいけない。そして、一緒にリガーの方が乗っているのを思い出し、彼にトランシーバーで下の人に伝えていただき、無事に香水は救出されました。

スマステーション再び!

2006-06-09 | メディア
ニューヨークから友人が来ていて会うことにしていました。約束の時間3時に彼を探していると「高橋さんですよね。」と声をかけられ、どう見てもカジノのお客さんではないと思われる彼に戸惑っていると「今日3時から15分ぐらいお時間をいただけると聞いています。スマステの件で。広報の方とこちらで待ち合わせているのですが・・・」カメラを抱えた方も一緒でした。そこに広報のメリーが現れました。本当だ・・・「来週だと思っていました・・・」正直に言いました。運よく友人との約束を夜から昼に、それも3時に変え、運よくそこにいたものですから再び大失敗をすることにはならず友人に感謝です。
ただ、それからが大変です。彼に待ってもらうことはできても、彼らに待っていただくことはできません。テレビに現れる準備は全くしていませんでした。「何かしゃべらないといけないのですよね。それにこんな格好で、こんな顔で、こんな髪型で・・・本当にすみません。」
時間もなくどうすることもできずカメラに向かい、せりふを考えていると「何か『決勝戦に残ったら仕事休んで私もドイツに行きた~い!』みたいな面白いキャラがいいのですが。」と言われてしまい「はあ、できなくはないですけど、本来私は普通の人でおもしろいキャラという感じでもないのですよね。」と、ここも正直に言いました。
フイルムを回した時間は5分ぐらい。たぶんテレビに出るのは数秒でしょう。このためにいらしてくださったスタッフの方に感謝します。
スマステーション再び!そしてまた、今日の私を明日ご覧になれます。

ゆくゆくはくちびるに

2006-06-08 | KA
双子の男の子の代役として入ってきたパンは少しずつ本番を経験しています。一週間に一つずつシーンを増やして影絵まできました。次はキャピティビティー、私のソロがあるシーンです。あとからわかったことですが、今日本番デピューさせようと思っていたみたいです。ステージでの練習を一回だけして・・・
トレーニングルームでの練習を最後にしたのはいつのことでしょう。もうだいぶ前のことだと思います。今日のステージでの練習は、客席に数人“お客さん”がいたらか、久しぶりだったからかうまくいきませんでした。戦うシーンは力強く生き生きしているのに、私にフルートを預けに来るところまではできているのに、私に触れなければならない瞬間から彼にはまだ大きな壁があるようでした。手にキスをすることもできなくなっていました。
ステージマネージャーが「このシーンは、フルートを見て妹を思い出し、どうしても探し出さないといけない、助けないといけない、ということをお客さんに伝えないといけないシーンで、大事なシーンです。いや、一番大事なシーンかもしれない。」それを聞いた私はドキッとしました。「ノリコを信じ大事なフルートを預け、手に触れた瞬間に彼女への思いを感じ、心にそれが触れた彼女が踊りだすのだから・・・短い中にあるたくさんの意味を言葉無しに伝えることは難しいけれどあなたはそれをやらなくてはいけない。」
今日、本番の舞台を踏ませようと思っていたことを知ったのはこの後でした。いつもは新しいアーティストを私には充分と思えない練習の数で本番に出してしまいますが、今日はそれをしませんでした。大切に思っていてくださるシーンだからこそそうしてくださったのだと感じました。
それでも会社は早くパンにすべてのシーンに出てもらいたいようで、ショーとショーの合間に彼と練習をする時間を設けて欲しいといわれました。人目があると彼にとっては難しいようなのでまずは小さな部屋でしよう、と。
部屋に入ったとたんにアーティスティックコーディネーターのエリックから予想していなかったことを言われました。「手にキスをして彼女への思いを表現することはできる。でもやはりくちびるにすることのほうが強さがある。時間をかけ、慣れてきてからでいいことだがゆくゆくはくちびるにキスをして欲しい。」私には一つ疑問がありました。私の代役はそれを拒み毎回手にキスを受けています。彼女にはそれを許しどうしてパンには強いるのか。その理由はここには書かないほうがいいと思いますが、おもしろい理由でありながら納得するものでした。
そして、小さな部屋で練習。パンと私のほかにエリックとパンの通訳をしてくれる中国人のアーティスト、バイグーがいました。バイグーはチャイニーズオペラ出身なので演技のことを良くわかっていて、エリックからの言葉以上にパンに説明してくれました。私は本気で本番と同じにやらないとパンができないことがわかっていたので、心の中のドキドキを見せないように“演技”しました。でも本当は私にはこの部屋は本当に小さすぎてとてもとても恥ずかしかったです。
彼は一回一回、何かを剥いでいくかのように気合を入れ、気持ちを整えながらやっていました。良くなっていくのが目に見えてわかり、頼もしく思えました。彼のお蔭で私も成長できます。

5g

2006-06-07 | KA
フルート(バトン)の表面加工が剥がれてしまい、新しいフルートに変えていただきました。ところが、回してみると軽いのです。軽すぎて飛んでしまいそうなので両端にテープを巻いてみました。少しはいいかしら・・・
フルートは手作りのためいつも仕上がりが違っていてそのたびに微調整をしています。重さ、表面の加工、太さなどが大きな違いです。新しいフルートは今までのものよりべとべとしていて、軽く、細めでした。テープを巻いただけでは足りなく、重さがもう少し欲しかったのでプロップスへ行ってみました。
フルート本体の先にバトンのボールとティップに当たるものを付けていただいていますが、それが外れないように透明のプラスティックのようなもので押さえてあります。それをもうひと重ねしてもらうことにしました。これをお願いするのは久しぶりです。
そこに丁度量りがあったので加工前に計ってみました。テーピングを除いて205グラム。だいぶ軽いです。テーピングだけ量ったら0のまま。5グラムに満たないようです。加工していただたフルートを回してみると良くなっていました。そして量ると210グラム。たった5グラム、されど5グラム。
以前は軽く作るのが大変だったようで240グラム以上にしないで欲しいとお願いしていても265グラムのフルートが来たことがありました。研究を重ねてくださったのでしょう、今はこんなに重いものがくることがなくなりました。
右腕の靭帯を切ったときから重いフルートを使うのを避けていたら、すっかり軽いものに慣れてしまいました。また、安心して扱える重さの範囲も広がったような気がします。それでも、細さ太さの関係もあると思いますが、210グラムが軽さの限界のようです。
ちなみに以前はフルートの柄が手描きではじめてみた時は感動しました。今はステッカーを貼っています。そしてこのフルート、一本400ドルするそうです。

のんのん、宙に浮く

2006-06-06 | 日記
普通、私はルールを守る人です。でも、ごくまれに守らないことがあります。違反をしているとわかっていながらそれをするのはドキドキして後ろめたくて良くありません。今日のこれはどうなんでしょう。
契約書に危険なスポーツはしてはいけないとあります。一度違反をしてロッククライミングをしました。これはクリエイションのときでした。スカイダイビングもいけないスポーツだったと思います。怖いので確認はしません。でも今日は室内、いいですよね・・・
まずはビデオを観て学習。インストラクターの手の合図や、浮いたあとの落ち方、浮き方の姿勢など。そして、紙にサイン。少しぶかぶかしたつなぎの服とゴーグル、耳栓、ヘルメットとつけていざインドアスカイダイビングへ!
円柱の中はクッションで覆われています。直径は6メートルぐらいでしょうか。そんなに大きくはありません。中央に網が張ってあり、周りは降りる時のためのクッションで囲んであります。網の下から風が吹き上げてきます。その風に身を任せ浮くのです。私を一番にしてくださいました。というのは、網に腹ばいになった状態から風を吹き上げさせることになり、吹き上げている風に乗り込む作業をしなくてすむわけです。風は温風でした。巨大なドライヤーにふかれている感じです。インストラクターがチョキを出したら脚を伸ばす、チョキの指を曲げたら脚を曲げる、親指と小指を出したらリラックス。かおは下を向かず前を向くようにします。彼女の合図に合わせ姿勢を決め、そして彼女が風からはずれないように調整してくれて浮いていることができました。しかし、浮いた喜びもつかの間なぜか鼻水が出るのです。ものすごい風の中、鼻をすすると、今度は口の中が水分でいっぱいになっていました。何かが下にたれないか気がかりでなりませんでした。
次の彼はスカイダイビングのインストラクター。でも外と中では全く違うらしくなかなか風に乗れないでいました。誘ってくれた友人は何度もここにきていて、座るように風に乗って回ってみたり、宙返りをしたり、頭を逆さにして脚を前後にしスピンをしたり、華麗でした。ビデオを観た時はこういうことが出来るのかと思っていましたが、いざ自分がしてみるとそういうことは初めての人にできることではないと、難しいことであることが良くわかりました。
基本の姿勢で浮くだけでもいい悪いがあるようで、インストラクターの指示に100%従って体験した私は、とてもよい評価を頂きました。今日は「うわー、浮いたー。」で終わってしまいましたが、次回は自分でコントロールが出来るように。そうしたらもっと違う楽しみがあることでしょう。

アルビンと緑の紙で遊ぶ

2006-06-05 | 日記
アルビンはディレクターになりたい人で、もうだいぶ前のことになりますが映画のコンテストにも参加をしたことがあります。そのコンテストは、テーマを言われてから48時間以内で映画(確か7分)を制作し提出するというもの。彼は確か3位になったと思います。
彼が昨日、大きな鮮やかな緑の紙を広げて「僕の新しいおもちゃ。」と言いました。そして「僕の新しいおもちゃで一緒に遊んでくれる?」
他に誰か来るのかと思っていたら私一人でした。大きな紙を天井から吊り下げ、ライトをセットし、カメラをセットし・・・何から何までアルビンが一人でやっていました。こういうことを手伝うのは大好きです。
今日頼まれたのは、彼の演奏している曲に(多才ですよね)即興でバトンの演技をして欲しいということ。それを吊り下げた紙の前、紙の上で行い、撮影して、編集する時に緑の部分を抜いて他の映像を入れるテストをしたいということでした。“プリクラ”みたいなことです。久しぶりに“レギュラーバトン”を持ちました。握った時はもちろん、特にロールをする感覚が違います。また使えるスペースは4MX4Mほどで、紙を破かないかの心配もありました。
初めは彼の演奏している優しいやわらかな曲。始めるとバトンをあまりにも回せないので私はものすごくショックでした。回し方の種類が数えられるほどしかなかったのです。でもそれを観た彼には発想が生まれてきたらしく、次は、彼が「ストップ」と合図したら始めは前、次は左、次は後ろ・・・と止まり遠くを見つめるというようなことを。曲をかえ、今度は攻撃的だったり怒っているような気持ちで同じようなことを。そして、何かを考えながら横切る。そのときに知らず知らずバトンは回っていたということを。
それから横顔を撮りたいといわれ、髪を下ろしバトンを抱えながら、人に微笑みかける様な表情をしたり、目を瞑って幸せな気持ちに浸っている表情をしたり、父と母からの微笑を受け取る表情をしたり・・・「ここから先は私のスペースだから入ってこないで!」という表情というのが一番難しかったです。
最後にカメラを近づけて、バトンがいつも表情の周りを回っているようなカットを撮りました。どういう風に映像をはめ込むのか楽しみです。
心配なのは表情だけ撮られているほうが簡単に思えてしまったほど今日のバトンはうまくいかなかったことです。
緑の紙を下ろし、今度は黒い生地を置いてインタビューがありました。どうしてバトンをはじめたのか、どうして好きなのか、何が一番難しいか、どうして毎日練習しているのか、緊張を解く方法、教える時に大事にしていること、などなど。そして、明日命がなくなるとしたら何をしたいか。私は「いつもと同じ生活を普通に続けていたい。」と言いました。みなさんはどうしたいですか。

めがね

2006-06-04 | 日記
3月にめがねを踏んで真っ二つに折ってしまいましたが、すぐにはつくりに行かず4月末になるのを待っていました。というのは、昨年4月末にコンタクトレンズを作るのに保険を使い、その保険が一年に一回しか使えないからです。
5月の休暇の前に、人の家に泊まるのにテーピングを巻いためがねは恥ずかしいと思い、つくりに行きました。忙しくて休暇直前に行くことになってしまいましたが、日本でのことを考えるとその日か次の日にはできるだろうと思って行ったら、1,2週間掛かるというのです。旅行には間に合わないと判ってもその日に作りました。それが一ヶ月前。
いまだに連絡がないので今日問い合わせに行きました。すると、保険のことがあって発注するのが遅くなり、出来てもまだ保険のことがあるので渡せないというのです。歯医者も保険会社に問い合わせてから治療といわれて一度診ていただいてから一ヶ月以上待ち、目医者もこういう状態で、保険がらみのことはなんとも面倒です。
ちなみに目の保険は目の検査だけでなくフレーム代を120ドルまでカバーしてくれます。それでも今回めがねを作るのに170ドル掛かりました。それを友人に言うと、「私は保険がなかったから1000ドル掛かった。」といわれ、ビックリ。今度日本に帰った時、予備のめがねをつくっておきたいと思います。

今日ラスベガスは40度ありました。それでも、今は(3:30AM)30度まで下がっているので何とかなっています。今年も冷房無しでいけるかな・・・

“LOVE”の初日に

2006-06-03 | KA
ショーの直前、郵便物が届いていることに気付き開けてみました。3月にお会いした方がそのときの写真と『ICHIRO』という本を送ってくださいました。お手紙の中に、『その立ち位置が、私には重なってイメージされるのです。』と書いてくださっていて、幸せな気持ちで舞台に立てました。
そしてこのショーの最後、お辞儀をし観客のみなさんに手を振っていると前のほうで「のんのんさ~ん。」と立ち上がって手を振ってくださっている方がいらっしゃいました。“のんのん”ということは友達かしら、と思ってよく見てもわかりません。それでも日本の方であることは確かで、もしかしたらこのブログをご覧になっていらして下さった方かもしれないなどと思い嬉しくなりました。
2回目のショーには乳母役のジュリのお母様がいらしてくださっていて、お母様のこととジュリのことを思いながら舞台に立ちました。終わってからお会いしてそのことを思い切ってフランス語で言ってみました。あっていたかはともかく通じたようです。そして彼女は「めまぐるしく舞台が動く中、あなたのところは静かに空気が流れ、動きが曲にあっていて心に染み入りました。」とおっしゃってくださいました。
今日は“LOVE”の初日。私のところにも“LOVE”が届いたようです。

代役の代役

2006-06-02 | KA
今日は代役が出る日だと言われていたので、朝の10時に歯医者の予約を入れていました。ところが、一昨日「娘の学芸会があるから代わりに出てくれる?」と言われ、急遽私が出ることになりました。代役の代役はこれが初めてではありません。冷静に、にこやかに引き受けました。そして、私にとっては一回でも多く舞台に立てることはありがたいことです。
一回目のショーが終わって上がってくると「ノリコのゲストが来ています。ノリコの生徒だった人だそうです。」などと言われ、会えるように手続きしました。今日はゲストは無しと思っていたのでビックリし、久しぶりの再開を喜び、わざわざ日本からいらしてくださったことを感謝しました。
あとから、「今日はたまたま私が代わりに出たのだ。」ということに気付き、うまくできているなと思い、神様に感謝をしました。

小さなことがたくさん

2006-06-01 | KA
「ごめん、支度しないといけない時間。」電話を切って急いで2回目のショーに向かいました。いつもより時間に余裕がないのはここからスタートしました。
影絵までは確か順調でした。影絵のあとに戦いがあり、最後にフルートが残され、それを拾いにいくシーンがあります。双子の男の子が捕らえられ連れて行かれ、はっと残されたフルートに気付く・・・
「あれ?」
あるはずのフルートが無いようなのです。いつもはそのフルートにスポットライトが当たっているのにそれが無く
1.もしかしたら無い。
2.でも見えないだけかもしれない。
3.あって取りに行かないより、行って無かったほうが何とかなる。
そう判断して舞台中央に走ると、やはりありませんでした。自分の中で即座に話を作り、その場をしのぎ走って戻りました。
舞台裏にはコーチが待ち構えていて「ノリコ、申し訳なかった・・・」そしてフルートを置き忘れた本人も。
いつもその役をやるアーティストが一人は休みで、一人は早退し、代役をした彼は説明だけ受けて本番を迎えてしまったようです。理由がわかればいいのです。「私の視力もよくないし、双子の男の子に夢中になってフルートを置くところを確認していなかった私も悪かったから・・・」
このシーンのあとにいつもバトンを回しにトレーニングルームに行きまが、そんなことがあって練習の時間が短くなってしまいました。
トレーニングルームから次の待機場所に行くと今度は双子の男の子が「アーティスティックコーディネーターのエリックから聞いた?」と問いかけられ、私はてっきりフルートが無かったことについてかと思ったら次のシーンのことだというのです。彼との別れのシーンが長いので短くして欲しいという内容。どう短くするか二人で確認しました。ここでもいつもはウォームアップをしますがあわただしく時間が過ぎました。
次のシーンで舞台に立ち、目をつぶった瞬間「危ない。」と思いました。何度かそう思ったことは今までにあっても何とかなっていましたが今日は本当に危なかったです。目を開けるとコンタクトレンズが浮いてしまったのです。瞬きをするタイミングや大きさを誤っていたら絶対に落ちていました。
そのすぐあとのシーンで彼との別れを短くしてみると、私にとっては何かを感じる前に事が過ぎてしまい、悲しみもいつもの半分もありませんでした。それでも明日からもこの短さでやらなければなりません。私の気持ちの変化のスピードを上げられるようにしないと、見せかけだけのつまらないものになってしまいます。
エリックさんは前に「キスのシーンが長すぎる。」といい、何回か後になってもあまり変わらないと「僕は今日ストップウォッチで計ってみたんだ。前は○○秒だったのに今は○○秒になっている。お客さんにはあなたたちの頭の中はわからないのだから短くして欲しい。」と言われたことがありました。“アーティスティック”という名がついている役職ですが、私にとってはそう思えないことがあります。“間”のマジック、その日の流れ、その時その時の微妙な違い、実際に舞台に立って起こることは何秒と決められることではないのです。

夜はあわただしい時間になってしまいましたが、午後は盛りだくさんでも静かな時間を過ごしていました。昨日の取材の続きがインタビューを中心にあったのです。私は話すのが本来得意ではありませんが、今回は10語らなくても10感じてもらえる方だったので、今までのことを振り返ったり、知らないことを発見したり、今の自分を見つめなおしたり、楽しいひと時でした。2日間の取材も彼の穏やかな人柄のお蔭で全く苦になりませんでした。
夏に発行の『プレジデント』に掲載される予定です。