山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

霜夜の寝床が見つからない

2004-10-31 16:56:03 | 文化・芸術
Santohka_01-2.jpg

山頭火のモノローグ

わしは労れた。――
歩くことにも労れたが、
それよりも行乞の矛盾を繰り返すことに労れた。
袈裟のかげに隠れ、嘘の経文を詠む、貰いの技巧を弄する、―― 
応供の資格なくして供養を受けるこの身に堪えきれなくなったのだ。―― 


わしは、あてもない果てもない旅の疲れを抱いて、
何年ぶりかの熊本へと戻ってきた。―― 
街は師走の賑やかさだったが、
わしの寝床はどこにもなかった。