<古今東西-書畫往還>
<ことばあそびうた-生と死のマンダラ図>
いちのいのちはちりまする
にいのいのちはにげまする
さんのいのちはさんざんで
よんのいのちはよっぱらい
ごうのいのちはごうよくで
ろくのいのちはろくでなし
しちのいのちはしちにいれ
はちのいのちははったりで
くうのいのちはくうのくう
とうのいのちはとうにした
じゅういちのいのちのいちがたつ
谷川俊太郎のことばあそび歌にある「いのち」と題された詩篇。
一から十一へと連なる語群のその背後には、男と女のエロスのあらゆる経緯が暗喩されているとも読めそうな、数え唄を体したこの<生と死のマンダラ図>のごとき詩を、子守唄のように三歳や四歳の幼な児に聞かせるとすると、どんな響きをもって伝わるのだろう。
自分の両親というものが、父であり母であるばかりでなく、男でもあり女でもあるということ、なにやらそんな秘密めいた世界が、無意識に感じとられるのだろうか。
生命体としての人は、だれでも、それは無意識にではあるが、-記憶にないところへ遡りたい-と希っているにちがいない。
そして詩人は、文字以前のことばへ、ことば以前の音へ、音以前の声へ、声以前の胎内の生動へ、とめざしてコトバを紡ぎだしている。
⇒⇒⇒ この記事を読まれた方は此処をクリック。