-今日の独言- 懐具合も些か
外出すると吹きすさぶ寒風に身を震わせるばかりの情けなさだが、懐具合もまた些かお寒い我が身である。今月の購入本は「日本歌語辞典」一書のみとした。大修館版94年刊、本体18000円也だが、古書にて7700円也。懐具合を思えば他に手を出すことなど自粛せざるを得ない。それかあらぬか図書館頼みが多くなった。塚本邦雄全集の第14巻は、期間満了で一旦返却してあらためて借り出す。もうひと月ばかり手許に居て貰って耽溺すべし。
ほか、図書館からの借本
大津透・他「古代天皇制を考える-日本の歴史-08」講談社版
姜尚中・他「日本はどこへ行くのか-日本の歴史-25」講談社版
斉藤憐「昭和名せりふ伝」小学館
塚本邦雄「塚本邦雄全集第15巻 評論Ⅷ」ゆまに書房
長谷章久「和歌のふるさと-歌枕をたずねて」大修館書店
久保田淳・他「歌ことば歌枕大辞典」角川書店
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<冬-11>
降る雪は消えでもしばし止まらなむ花も紅葉も枝になき頃
詠み人知らず
後撰集、題知らず。定家の二見浦百首「花も紅葉もなかりけり」や後鳥羽院の「このごろは花も紅葉も枝になししばしな消えそ松の白雪」などの本歌。
邦雄曰く、見るものすべて消え失せた真冬には、雪こそ唯一の飾り、枝にしばらくは止まって、一日の栄えとなれと願う。第二・三句、悠長ではあるが、これも一つの味わいか、と。
小笹原(おざさはら)拾はば袖にはかなさも忘るばかりの玉あられかな
宗祇
宗祇集、冬、霰。応永28年(1421)-文亀2年(1502)、出自不詳。父は猿楽師との伝。中世を代表する連歌師。心敬らに師事。東常縁より宗祇へと伝えられた歌の奥義が古今伝授の初例とされる。「新撰菟玖波集」を選、有心連歌を大成。
邦雄曰く、源氏物語「帚木」に「拾はば消えなむと見ゆる玉笹の上の霰」、人口に膾炙した名文句で盛んに引用されている。第三・四句の移りが呼吸を心得た巧さで、さすが連歌師と思わせる、と。
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