山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

娣をよい処からもらはるゝ

2009-06-19 22:20:10 | 文化・芸術
Dancecafe080928103

Information – 四方館 DANCE CAFE –「出遊-天河織女篇-」

―四方のたより― こんどはVideo

You Tubeにuploadできる動画はおよそ10分前後以内となっているらしい。したがってDance Cafeや舞台の記録を全編uploadしようと思えば、いくつかのSceneに分割編集しなければならない。時間ばかり費やして私などにはこれが意外と面倒な作業なのだが‥。
という訳で、本日は「Reding –赤する-」Video篇のOpening Scene。



<連句の世界-安東次男「風狂始末-芭蕉連句評釈」より>

「空豆の巻」-09

   晩の仕事の工夫するなり  

  娣をよい処からもらはるゝ  孤屋

次男曰く、「晩の仕事の工夫する」人を女と見定めた物思の体。薪の下、晩の仕事、娣-いもうと-と移したはこびに目配りがある。

娣と妹は同義ではない。中国古代の辞書「爾雅」の「釈親篇」によれば、娣とは同腹に生まれた姉が妹を呼ぶ称である。男が複数の妻をもつ風習のなかで生まれたことばの使い分けで、ひいては異母妹・族妹を呼ぶ場合にも、同一夫に仕える妻妾ののうち年長者が年少者を呼ぶ場合にも用いられる。正妻が妾を指して娣と呼ぶこともある。いずれにしても女同士特有の呼称であって、兄と妹という意味合はこのことばにはない。

孤屋の思付か、芭蕉の手直しか、珍しいところに目を付けたものだが、句作りは同夫に仕えるもしくは同じ男に思いを寄せる姉妹の情を云うのだろう。気遣う姉の情には内心でほっとしている安堵感もある筈で、うれしいような悲しいような、微妙な女心が伝わってくる面白い付である。「妹」ではまったくつまらぬ、と。


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