山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

銭がない物がない歯がない一人

2004-11-05 14:54:43 | 文化・芸術
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山頭火のモノローグ

山頭火は
捨てても捨てても捨てきれないものに涙がながれる
と云ったのだが

また別のところでは
徹し得ないところに、すべての悩みがある
悲しいのぞみがある

とも云っている

母は彼の幼い頃に自宅の井戸に身を投げて死んだ。
 -山頭火、数えの10歳。
他家へ養子に出された弟もまた後に、郷里近くの山中で縊死している。
 -山頭火、数えの36歳。

山頭火が背負った宿業の重さは計り知れないが
それによってかよらずか
放浪行乞に生き、自由律の句に生きようと
妻子をも捨てた
いや、そのように、捨ててしか生きられなかった

だが本当に捨てきったのか
最後の最後まで、捨て切れなかったのではないか
捨てきれないものに涙し
徹し得ないところに、悲しいのぞみを
どうしても垣間見てしまう山頭火自身は
結局、なにもかも捨て切れなかったのだ
と自嘲するしかない。

彼はよくおのれ自身の生を生きた
どうしようもない生だと自嘲しながら

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