里の部屋

日々思ったことを綴っていこうと思います。

8日の新聞より

2015年11月10日 | 日々のつぶやき
折々のことばから

生きのこるわれをいとしみわが髪を撫でて最期(いまは)の息に耐へにき   吉野秀雄

 私が死ぬということは、別の誰かが私に死なれることでもある。

ひとはよく死の恐怖と言うが、ほんとうは死ぬほうだって、自分が死んだらあいつはどうなるか、私の代わりにあいつをかまってくれる人がいるかと、遺(のこ)される者を案じて胸がはり裂けそうになっている。

遺される者を愛(いと)しむ気持ち、それのほうが自身の死への恐怖よりも切迫している

       
                         
            歌集「寒蟬(かんせん)集」から。