折々のことばから
生きのこるわれをいとしみわが髪を撫でて最期(いまは)の息に耐へにき 吉野秀雄
私が死ぬということは、別の誰かが私に死なれることでもある。
ひとはよく死の恐怖と言うが、ほんとうは死ぬほうだって、自分が死んだらあいつはどうなるか、私の代わりにあいつをかまってくれる人がいるかと、遺(のこ)される者を案じて胸がはり裂けそうになっている。
遺される者を愛(いと)しむ気持ち、それのほうが自身の死への恐怖よりも切迫している
歌集「寒蟬(かんせん)集」から。
生きのこるわれをいとしみわが髪を撫でて最期(いまは)の息に耐へにき 吉野秀雄
私が死ぬということは、別の誰かが私に死なれることでもある。
ひとはよく死の恐怖と言うが、ほんとうは死ぬほうだって、自分が死んだらあいつはどうなるか、私の代わりにあいつをかまってくれる人がいるかと、遺(のこ)される者を案じて胸がはり裂けそうになっている。
遺される者を愛(いと)しむ気持ち、それのほうが自身の死への恐怖よりも切迫している
歌集「寒蟬(かんせん)集」から。