ペン立てにペンを戻すとコトンと落ちるでもなく、無理やり入れるということもなく溜め息をつく3秒ほどの時間をかけてす~っと滑り落ちるように入っていく。その様子をそのままネーミングした「溜息3秒!ボールペン」はメイドイン尼崎でよく知られています。グッドデザイン賞を受賞し、癒し文具品として知事や市長が海外土産に利用したり会社の記念品として人気になっています。
これを製作しているゼロ精工株式会社は航空機の部品やフォークリフトの油圧シリンダーなどを製作する高精度の加工技術を誇る会社です。
かつてバブル期の過剰投資により経営破たんした後、新しい経営者を迎え、2年間は基本給と交通費だけで社員一丸となって再建を果たされました。社名もゼロから成功するという意味を込めて社員の投票で決められたそうです。
60歳以上のマイスター社員と若い社員が交流し、技術の継承も行われていま
す。社員数70名足らずですが航空宇宙品質マネジメントシステム(JIS Q 9100) の認証を受けています。これは市内では住友精密と三菱の三社だけということです。
会社の規模は小さくても技術に誇りをもって社員を大切にされている様子から社会見学に来た小学生が感想文に「就職したい。」と書くのもわかります。社員の8割以上が尼崎市民というのも嬉しいことです。
また尼崎市では次世代育成事業として小学生の市内企業への見学などをすすめています。子どもたちがものづくりの現場や職人の姿に接する機会を通じて何かを感じてくれることを期待したいと思います。