2ndアルバム。この作品からプロデューサーにマーティン・バーチが加わり、より鋭さを増した音像はバンドの魅力をさらに高めていくことになります。
さて、ヴォーカリストのポール・ディアノですが、良い声をしていると思うし、パンキッシュ且つ陰鬱で湿っぽい。イギリスが歩んできた”闇”の歴史を表現するにはとても相応しい声だと言えましょう。
上手くはないが、良い歌を歌う、そんなヴォーカリスト。
でもそれは逆に言えばイギリス限定、あるいはせいぜいヨーロッパ限定の活動で終わってしまうかもしれない。
そんなことも感じてしまいます。
ポール・ディアノはこのアルバム『KILLERS』を最後にバンドを去り、後任に迎えられたのが、ブルース・ディッキンソン。
その歌声はアグレッシヴでありつつオペラティックであり、キーのレンジも幅が広い。
ブルースの加入によって、バンドはよりワールド・ワイドな超ビッグ・バンドへと伸し上がっていくのです。
[Wrathchild]
ヘヴィだけれども歌メロはキャッチーで、メイデンの曲の中では比較的ポップ(?)な方ではないかな。メタル初心者にも聴きやすいかも。
もちろん私のようなベテラン(笑)も、大好きな曲です。
wrathの意味は怒り、憤りあるいは復讐だそうな。
翻訳された歌詞を見る限り、この曲の主人公は父親がわからない私生児で、自分の父親を捜して旅を続けるという内容。
曲を作ったバンド・リーダー、スティーブ・ハリスはwrathchildを「私生児」という意味だと、あるインタビューで答えていた記憶があります。
ただwrathchildという単語は存在せず、これはスティーブ・ハリスによる造語か、あるいは極めて稀な隠語のようなもの、かも知れません。
いずれにせよwrathという単語をもってくるところが秀逸で、これによりこの曲は、なにかの物語の冒頭、あるいは概要のような意味合いを俄かに持ち始めるわけです。
それがどんな物語なのかは、聴いた人1人1人の発想に任せられている。
なんてことを、勝手に思っている次第。
楽しいね(笑)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます