第4位 『御家人斬九郎』
1995~2002。5シリーズを放送。フジテレビ系列
原作、柴田錬三郎。江戸時代の徳川将軍家直属の家臣団、いわゆる直参には、禄高1万石以上で将軍に直接謁見することが許されている「旗本」と、禄高1万石未満で、将軍との謁見が許されない「御家人」とがありました。
松平残九郎、通称「斬九郎」(渡辺謙)は松平という姓からも伺われるように、徳川将軍家とは遠い親戚筋に当たるのですが、御家人の身分。9人兄弟の末っ子でしたが、上の兄たち姉たちの様々な理由により、家督を継ぐことになります。
よい歳をして嫁も娶らず、無役の身で大食漢の母親・麻佐女(岸田今日子)や下働きの老夫婦(牧冬吉、松村康世)らを抱え、家計は常に火の車。それ故「かたてわざ」と称する”アルバイト”をしなければならない。
かたてわざには表ざたに出来ない”ヤバい”仕事も多い。例えば某家中の非公開処刑の首切り役などがそれで、仕事を請け負っても、そこに不正義を感じると憤然として断るという始末。
終始こんな感じなので母親とは喧嘩が絶えないのですが、この事例からもわかるとおり、いい加減なようで一本筋の通ったところのある男。それが
松平斬九郎。
この”斬九の旦那”に辰巳芸者の蔦吉(若村麻由美)や幼馴染の北町同心西尾伝三郎(増岡徹)、その下っ引・南無八幡の佐次(塩見三省)などが絡み、様々な出来事、事件に関わっていく。
時代劇にありがちな勧善懲悪には必ずしもなってはおらず、定型パターンも特にない。ストーリーはコメディ・タッチなものから後味の悪い話まで様々。あくまでドラマ主体なので、斬九の旦那は剣を抜かない、抜く必要がない話も多い。
そんな中時折みられる渡辺謙さんの殺陣が、やはり素晴らしい!力強く華麗な殺陣で、スタイルがよく手足の長い謙さんが繰り出す殺陣は実に見栄えが良く、カッコイイ。でも毎週必ず観られるわけではないんだな。そこがまた
良かったりするわけです。
結構深刻な話も多いのですが、斬九郎とその母、麻佐女とのやりとり、掛け合いが面白く、物語全体に明るさを与え、良いバランスを保っていると思う。この点も上手いです。
時代劇といえば勧善懲悪、決まりきったパターンというイメージを持たれている方もおられるでしょう。でもそんなものばかりではないです。こういう、ドラマ主体の時代劇の傑作も
あるのです。
渡辺謙さんといえば『独眼竜政宗』あるいは『ラストサムライ』の勝元などが代表作に上げられますが、それと共に、いや、私個人としてはそれ以上の”本当”の代表作、最高の当たり役はこちらではないか、
なんてことを、思っちゃったりしますね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます