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TV時代劇オールタイムBEST10! その③ 第6位

2025-02-15 04:03:29 | 時代劇

第6位 『蝉しぐれ』

2003年8月~10月。NHK「金曜時代劇」

 

 

 

 

原作、藤沢周平。東北の小藩、海坂藩の藩士牧助左衛門(勝野洋)の一子文四郎は、剣術道場と学塾に通い、友人たちとの友好を温め合いつつ、隣家の娘ふくに淡い恋心を寄せる極普通の青年。しかし父助左衛門が藩の跡目争いに巻き込まれ、突如切腹させられてしまう。

 

牧家は家禄を大幅に減らされ、普請屋敷から長屋へと引っ越しさせられてしまい、ふくとは離れ離れに。そうしてふくは藩主の正室に奉公するため、潘の江戸屋敷へと移っていきました。

 

 

成人した牧文四郎(内野聖陽)。罪人の子と蔑まれ、鬱屈した心を晴らすため剣術に精を出し、その腕の上達ぶりを認められ、道場主の考案した秘剣「村雨」を伝授されるにいたります。

 

 

そんな折、文四郎は藩の家老里村左内(平幹二朗)によって家禄を元に戻され、役職もつけられます。里村はかつて文四郎の父を切腹に追い込んだ張本人。それが何故、文四郎を重用するのか?友人たちの協力の下調べると、どうやら文四郎の初恋の人、ふく(水野真紀)に藩主のお手がついて、藩主の子を身ごもったらしい。これは里村が属する派閥にとって大変都合が悪い。

 

ふくの存在を”排除”したい里村は、文四郎に恩を着せてその手先として使おうという腹積もりらしい。

 

初恋の人が汚い政権争いに巻き込まれようとしている。文四郎はふくを救い出すための行動を起こします。

 

 

 

 

 

 

 

制約の強い時代だからこその「純愛」。人として正しくあろうとする文四郎の「峻烈」。切なくも美しい、日本人の「美学」に溢れた、そんな時代劇です。

 

 

 

 

 

2005年には市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)主演で映画化されており、こちらも悪くない、好きですけど、どちらかというとやはり、コチラのドラマ版の方が好きかもしれないですね。

 

 

助左衛門の遺体に筵を被せ、大八車に乗せて一人運ぶ少年文四郎。町の人々から好奇と侮蔑の混じった視線を浴びる中、文四郎は黙々と大八車を引き続けます。

 

やがて長い坂に差し掛かる。重い遺体を乗せた大八車を引いて、この坂を上るのは辛い。それでも文四郎は必死に引き続けますが、今にも坂から転げ落ちようかというとき

 

 

1人の人影が、坂の向こうから駆けてきます。

 

 

それは、ふくでした。

 

 

ふくは助左衛門の遺体に一礼すると、黙って大八車の後に回り押し始めます。

 

 

大八車を引き、押し続ける二人。二人の間に会話は一切なく、ただ黙って黙々と続けていくんです。これが良い!

 

 

無言だからこそ、二人の間に通い合う「想い」、静かで切なく、実は激しくもある若さゆえの「純愛」を強く感じさせ、視聴者の涙を誘います。

 

 

このシーン、原作では友人二人も参加して、ふくと一緒に大八車を押すんですけど、それもいいんですけど、やはり文四郎とふく二人きりだからこそ、より切なさが増す名シーンとなるわけで、その点脚本を書いた黒土三男さんは、よくわかっていらっしゃいました。

 

 

 

かつての日本人はこんなに美しかった。そんなことを感じさせる時代劇。

 

 

観るべし!

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