リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

休日を有休にすり替えて有休消化率アップ!?

2019-10-07 | 一般
2019年4月から有給休暇を労働者に取得させることが使用者に義務付けられた。具体的には、年10日以上の有休が付与される労働者には、年5日の有休を時季を指定して取得させなければならない、というものだ(労働者のほうから自発的に取得しない(できない、しにくい)場合、ということだと思う)。違反すれば罰則もある(もちろん労働者ではなく使用者に)。
これまで有給休暇を取りにくかった人たちには朗報――のはずなのだが、従来の休日を勤務日にして、その日に有給休暇を使わせることで有給取得義務をクリアする企業があるそうだ。ドトールコーヒーの事例の場合(朝日新聞2019-10-7)、就業規則を変えて、会社の休日を暦の上での祝祭日にかかわりなく「年119日」に固定することにしたという。今年は天皇代替わりの影響もあって休日が多かったので、暦の上では休日なのに勤務日にされた日が8日にも上ったという。
ほかにも、正月休みや夏季休暇など、これまで有給休暇とは別に与えられていた休暇を有休にすり替える手口もあるという(FNN PRIME)。
法改正のおかげで企業が従業員に有休を取得させようと必死になっているのはいいのだが、これまで休みだった日を勤務日にして有休を使って休ませるというのはおかしくないか。厚労省は「実質的に年次有給休暇の取得の向上につながっておらず、望ましくない」という見解だといい、当然だ。
労働問題に詳しい佐々木亮弁護士によれば、労働者にとって労働条件の不利益な変更になるので、裁判で就業規則の変更が無効となれば、有休を取得させていなかったとして企業が罰される可能性もあるという。
それにしても有給休暇の申請すらためらっていた労働者にとって裁判はハードルが高い。厚労省の指導でなんとかならないものだろうか。

追記:やはり同様の事例はたくさんあるようだ(朝日新聞2020-1-13)。厚生労働省のいう「実質的に年次有給休暇の取得の向上につながっておらず、望ましくない」では生ぬるい。従来の休みを勤務日にする、ということ自体が労働者にとって不利益な変更であり、労働法上問題だと思う。
……というのは正論。現実問題として、零細企業では労働者が有休をとったら成り立たなくなる職場が多いと思われる。労働者が有休をとれないのは大きな問題ではあるのだが、「有休をとらせろ」というだけでは解決にならない。最低賃金の値上げもそうなのだが、表面上は正しいことであっても、零細企業の現実に即していないと実効性はない、ということだ。
ではどうすればいいか。零細企業に余裕がないのはどうしようもないともいえるのだが、たとえば下請けいじめ(不当な値引き要請など)に対する取り締まりを厳格にするだけでも救われる中小企業は多いのではないだろうか。スローガンとばらまきばかりで成長戦略のないアベノミクスのせいで大企業にも余裕がないのはわかるが、弱い立場の下請けを犠牲にしてコストカットをするという体質をなんとかするのが急務だと思う。
また、当面少なくとも、大企業による「休日の勤務日へのすり替え」は厳しく取り締まるべきだと思う。

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