リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

外出自粛ってどこまで? 散歩は? 通勤は?

2020-03-27 | 一般
首都圏の知事らが26日夜に人混みへの不要不急の外出自粛などを求めたというが(朝日新聞2020-3-27)、この手の報道はどこまで自粛が求められるのかわかりにくいことが多くて困る。

まず、「今週末」の話なのか月曜以降も含めた話なのか。東京都知事の提言を受けて神奈川県知事と埼玉県知事がそれぞれ会見を開いた段階では「今週末は」となっていたのが、1都4県の知事による共同メッセージ(流通ニュース)では「今週末」との限定はなく、人混みへの不要不急の外出自粛や時差出勤、在宅勤務を求める内容になっており、月曜以降も含めた要請らしい。

では「不要不急の外出」とはどこまでなのだろう。時差出勤に言及があることから通勤の自粛までは求められていないようだ。
では散歩はどうなのだろう。埼玉県知事は「生活必需品の買い物や散歩、子どもの公園での遊びなどは自粛の対象ではない」と明言しているが(NHK)、「共同メッセージ」はこの会見の後のもの。「今週末」という限定がなくなったように、散歩や公園遊びを認めるのはやめたという解釈もできなくはない。だが終息の見通しが立たないなか散歩まで自粛するのでは、高齢者の体力低下や子供のメンタルヘルスが心配だ。散歩や公園遊びをする人に非難の矛先が向く前に、このあたりを早く明確にしてほしい。

海外では外出禁止令ないし屋内退避命令(shelter-in-place order)が出ているところまであるが、その程度もいろいろだ。
サンフランシスコなどではどうしても必要な仕事(必要最小限の業務)や食料調達などの外出は認められているようだ。スペインでは「散歩」や「子供を連れての外出」もだめなようで、「通勤」はいいが「通勤に誰かを同伴すること」はだめらしい。ニューヨークでは「州民サービスに必要不可欠な機能に従事する者以外の全労働者は在宅」となり(ここでは生活に不可欠な業種以外;ここによれば、「社員の半数超を在宅勤務にするよう義務付け」)、店も営業しているのは「レストラン(持ち帰り・宅配のみ)、食料品店,薬局,医療機関、ガソリンスタンド、ドライクリーニング、郵便局、公共交通機関などの必須の機関・店舗」だけのようだ。不要不急の外出は禁止されており、友人や(同居していない)家族と会うのは小規模でも控えるとされている一方、食料品等の買い出しはもちろん、「屋外の散歩や自然の中で運動」は認められている。ネットでみつけたこれらの情報は最新ではないかもしれないが、とにかく一口に「外出自粛」といってもいろいろな段階があることを示すために挙げた。

今後日本でも人々の日常により強い制限がかけられる可能性があるが、情報発信のあり方にはくれぐれも配慮してほしい。安倍首相の要請による3月初頭からの学校の一斉休校の場合は当初「基本的に自宅で過ごすように」とされていたため、「もともと散歩や公園に行くことを制限しているつもりはなかった」という意図が伝わらなかった(過去ブログ)。(なぜか朝日新聞2020-3-27夕刊でもまだ「おそともダメ」という見出しがあるが、根拠がよくわからない。)
新型コロナウイルスを克服するために我慢が必要な場面があるのはわかるが、過度な自粛は誰のためにもならない。

追記:いよいよ緊急事態宣言が7都府県で出されることになり、それに基づき東京都が休業などを要請する方向性も発表された(朝日新聞2020-4-7)。だが紙面をかなり読んだつもりだが、散歩まで禁止されるのかどうかはっきりしなかった。そこでネット検索したら一発で分かった。読売新聞2020-4-6によれば、緊急事態宣言でも散歩や出勤は禁止されないとある(さらに追記:朝日新聞2020-4-9によれば、安倍首相本人が、緊急事態宣言を出した際の記者会見で、「今まで通り、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません」と明言していた)。
今回の宣言のねらいは、人と人との接触を減らすことで新たな感染者を減らすことだという(専門家の試算では、近い距離での会話やちょっとした人との体の接触の回数を8割減らせば新規感染者が急減するが、2割ではほとんど効果がないという)(朝日新聞2020-4-7 2面)。つまり、外出が問題になるのは、目的地で人と接触するからであって、散歩が問題ないことは明らかだ。公園遊びについても、他人と接することなく家族で遊ぶのは問題ないのではないだろうか。友達と遊ぶにしても、遊び方を工夫して直接触れ合わない遊びはできるのではないだろうか。

追記2:通勤について、4月7日の緊急事態宣言時に改訂された基本的対処方針では「職場への出勤は、外出自粛等の要請から除かれる」と明記されているが、「出勤者の4割減少はもとより、テレワークなどを活用すること」で接触機会を減らす必要があるとも記されている。だが11日には安倍首相は緊急事態宣言の7都県すべての企業に対して、「オフィス」での仕事は原則在宅で行なえるようにし、「どうしても必要な場合でも出勤者を最低7割は減らす」ことを求めた(朝日新聞2020-4-12)。

関連リンク:
「外出自粛や制限、世界はいま カリフォルニア、出勤も「禁止」 新型コロナ」(朝日新聞2020-4-8)によれば、カリフォルニアでは州が認定した「必要不可欠」な職種以外は出勤も禁じられているという。食料の買い出しや医療のための外出は可能。
「(新型コロナ)緊急事態宣言、海外では」(朝日新聞2020-4-8)
「「ロックダウン」海外の暮らしは 米英仏「封鎖」なき街 新型コロナ」(朝日新聞2020-4-9)によれば、必要不可欠な業務を除いて在宅勤務が義務付けられているニューヨークでも、人と人との間の距離を保たなかった場合に罰則まであるが、気晴らしなどに公園に行くことはOKという。フランスでは外出禁止令に耐え切れず外出する市民が続出して制限を強化しているという。同15面によれば、パリでは4月8日からジョギングなど運動を理由にした日中の外出が禁止された。イギリスでは「1日1回の運動」は「やむをえない外出」の例に挙げられている(ただし、1人または同居人と行なう、他の人との距離を保つ、という条件がある)。

追記3:政府の専門家会議が4月22日にまとめたところによると、公園は閉鎖ではなく、使い方の工夫や利用者に感染対策を呼びかけつつ、利用できることが望ましいとした(朝日新聞2020-4-23)。
厳しいロックダウンを行なっているニュージーランドでは、首相が「家族と散歩には行けますよ。でも、ほかの人とは距離を保って」、「公園で運動はできます。でも、遊具に触らないで」と動画で発信しているという(同9面)。

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