リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

値上げを嫌う消費者心理が、与野党のばらまき競争を煽っている

2021-09-17 | 政治
菅首相の降板に伴う自民党総裁選に向け、候補者たちが格差是正や生活支援に向けた政策を発表している。だがそのための財源をどうするかの議論がほとんどないのが現状だ。高市氏は財政健全化目標の「一時凍結」さえ打ち出している。岸田氏も「当面は低金利時代が続く。(財源)は借金でまかなっていく」と述べている。問題は自民党だけではない。総裁選の直後に必ずある総選挙をにらんで野党も次々に政策を打ち出しているが、やはり財源の議論は甘い。
本気で財源を捻出しようとすれば、どこかの予算を削るか、増税するしかない。そうした痛みを伴う政策は有権者にきらわれるから、与党も野党もばらまくことしか頭にない。
欧米でもポピュリズムが跋扈しているから似たような状況なのではないかと思ったが、どうもそうではないらしい。欧米でもコロナ危機にあってさすがに巨額の財政出動が打ち出されているが、それは常に償還するために増税とセットで論じられているという(朝日新聞2021-9-17)。なぜそれが日本でできないのだろう。

政治家の質が欧米に比べて低いのかとも思ったが、それ以前に国民が負担を嫌う傾向が欧米よりも高いようだ。
デフレの主因という文脈だが、日本人の間には「わずかな値上げすら受け入れられない」心理があるのだという(朝日新聞2021-9-8)。消費者アンケートによれば、いつもの店でいつもの商品を買おうとして少しでも価格が上がっていれば「ほかの店に行く」と答える傾向が日本では強いのだという。欧米の主要国では過半数が同じ店で買い続けること答えているのとは対照的だ。だから日本では企業が顧客離れを恐れ、コストが上がっても値上げをすることができない。賃上げなどもってのほかだ。それが日本経済の失われた20年の主犯なのだという。

同じ心理が、政治家の野放図な財政策につながっていると思えてならない。「わずかな負担すら受け入れられない」有権者の心理のため、負担増を訴えようものなら票が逃げる。候補者としては問題を先送りにして借金頼みのばらまきを続けなければならないというわけだ。
かくして与党も野党も無責任なばらまき政策を競うことになる。

自分が損か得かではなく、何が正しいかに基づいて投票するようにならない限り、日本の政治の劣化は続き、財政破綻のおそれはなくならない。

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