リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

ソーシャル時代の全体主義――国家権力より怖い(かもしれない)ネット社会の目

2017-12-01 | 一般
国家権力が国民の自由を縛ろうとする動きはもちろん心配だ.11月10日のブログでは,監視カメラの映像の取り扱いについて述べた.だがSNSが発達した現在,ネット社会の目はそれ以上に怖いと思えることもある.貧困家庭を扱ったテレビ番組に出た女子高生がスマホやアニメグッズを持っていたためネット上で批判が殺到したと聞くと,とにかく人の注目を浴びるようなことはすまいと思ってしまう.だが最近では九州で何か事件があったとき,たまたま同名だった無関係な会社に抗議が殺到して営業停止に追い込まれるといった事例があったと思う.たまたま同名の人が事件を起こすことまで防ぐことは不可能だから,これはもうどうしようもない.
12月1日朝日新聞の佐伯啓思氏の「(異論のススメ)社会主義崩壊後の世界 新自由主義に壊されるもの」の一節は,そんな私の感覚をうまく言葉にしてくれていたので引用したい.

「確かに、ありあまるほどの自由はあるし、SNSを使って何でも表現でき、何でも売買できる。とてつもない自由社会であることは間違いない。
 しかし同時に、この自由社会は、われわれを過剰なまでの競争に駆り立て、過剰なまでの情報の中に投げ込み、メディアやSNSを通じて、われわれは他人のスキャンダルを暴き立て、気にくわない者を誹謗し、少しの失態を犯した者の責任を追及する。実に不寛容な相互監視社会へとなだれ込んでいる。これもまた一種の全体主義といわねばならない。」

そう.ソーシャルメディアが発達した今の社会は,住民同士が相互監視する窮屈な全体主義社会と似ているのではないか.

参考リンク:
「東名事故「容疑者の父」とデマ拡散容疑 福岡県警が捜索」(asahi.com)

追記:SNSでの攻撃でフリーアナウンサーの仕事をすべて失って僧侶になった高橋美清氏が、加害者の4人と会って話したところ、みな思い込みの「正義感」や軽い気持ちでやっていて、相手への想像力が皆無だったという。パンプス強要に異を唱える#KuToo運動を始めた石川優実氏も執拗に攻撃され、「本人を前にして言えない言葉を、何でネットなら投げつけられるのか」と問いかけている。(朝日新聞2020-8-9


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