リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

音楽を時代背景から切り離す「定額配信」サービス

2018-03-27 | 一般
音楽の流通形態がCDからダウンロードに変わって久しいが,今度は「聴き放題サービス」が普及しつつあるという(朝日新聞2018-3-25「定額制の音楽配信(聴き放題)」).毎月1000円程度を払えば数百万~数千万曲が聴き放題になるサービスが各種あるそうだ.あまりに多すぎて適切な曲にたどりつくのが難しいので,音楽通や個人,はたまたAIがさまざまな場面に合わせたプレイリスト(再生する曲を順に指定したリスト)を作って公開する文化が生まれたという.
ただ,記事でも「曲が無限」という表現がされているが,私が関心のあるドラマや映画のBGM(レコードやCDでサントラが発売されていないもの)はなさそうで,個人的には当面利用する予定はない.

ところで,記事には,「聴き放題」サービスが普及すると,1950年代のプレスリーだろうが00年代の椎名林檎だろうがその時の気分にマッチする曲を聴くだけになり,「アーティストがいた時代や当時の社会状況への関心をふまえて曲を聴く習慣が薄れる」という「時代性を無化する感覚」が生じるという指摘があった.
だがクラシック音楽はかなり昔からそういう状況になっているのではないだろうか.私自身,シューマンを聴くときに「古典派しか知らない聴衆」を想像しながら聞いてみたり,「天国と地獄」を聴くときに小学校の運動会ではなく19世紀パリの情景を思い浮かべようとしたり,家庭でオーケストラなどありえなかった時代を思ってピアノ編曲版を聞いてみたりするが,やはり作曲の背景について全く何も知らないことが多い.CDのライナーノーツや演奏会のプログラムには背景説明があるが,あくまで雑学的な扱いで読む人が多いのではないだろうか.
上記の指摘をした大学教授はやはりポピュラー音楽研究者だという.「時代性を無化する感覚」というのは,曲が「スタンダード」ないしは「古典」になる上での必然のように思える.

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