リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

女の子は生まれつきピンクが好きなのか?

2018-03-13 | 一般
男の子は「乗り物が好き」「戦いが好き」「青が好き」,女の子は「きれいなものが好き」「ピンクが好き」「将来は食べ物屋さんになりたい」.よくいわれる話で,幼児用品では男の子のものはブルー系,女の子のものはピンク系と見事に分かれている.だがこうした好みの違いは,実は生まれてからずっと親をはじめとする周囲が無意識のうちに教え込んでいる違いなのではないかとかねがね思っている.
専門家の間でもこうしたいわゆる「男らしさ」「女らしさ」が,社会によってつくられるのか,遺伝で決まる生まれつきの特徴なのか,意見が分かれているという.朝日新聞の記事(2018-3-8)をベースに紹介する.
まず,女性は右脳と左脳の連携がうまく複数の仕事を同時にこなせるという説が1982年の論文から拡大解釈されて広まったが,この説は今では否定されているようだ.ただ,脳の性差に関する研究では,調査内容により,「違いがなかった」というものも「性差がある」というものもあるようだ.
一方,ホルモンの影響によっておもちゃや遊び方の好みに違いが出ることはいろいろな研究で確立しているらしい.男性ホルモンが過剰な女性は車輪の付いたおもちゃや活動的な遊びを好み,人形遊びへの興味が減るという.
また,発達心理学では2~3歳ごろに自分の性別を認識しはじめ,自分の性別に「ふさわしいこと」を学び,周囲の同調圧力の影響も受けるようになるという.
脳やホルモンの影響を調べるのは大がかりな調査が必要になるが,そもそも「男の子は青,女の子はピンク」という区別はアメリカにはないと聞いたことがある.そのあたりの真偽も含めて,比較文化論に基づく「性差の差」を調べた研究はないのだろうか.

……と書いたところで「女の子はピンク」について検索エンジンで調べてみたら,海外でもそういう傾向はあるらしい.
「ピンクが女の子の色になったのはいつ?」(ELLE Online/Culture, 2017-3-10)によれば,女の子=ピンクになったのは戦後のこと.1953年に就任したアイゼンハワー大統領のファーストレディーのお気に入りがピンクで,就任式典以来ピンクを着続けたことでメディアや小売店でピンクが女の子らしい色になったのだという.堀越英美『女の子は本当にピンクが好きなのか』(アマゾン著者のインタビュー)という本まであって,内容紹介によると,やはり国を越えてピンクは女児に好まれているという.このブログでも海外でも同じ傾向があることが紹介されている.一方,「日本ならでは」とする解説もある(齋藤美穂氏).

いずれにせよ,色に限らず,男女の区別をなくしていくというのが今の潮流だと思うのだが,「男(女)はこうあるべき」という世間の暗黙の同調圧力をなくすのは難しい.ただ少なくとも,「男の子(女の子)が××好きなんて,いじめられるからやめなさい」というような,いわれのない禁止はすべきではないだろう.

追記:朝日新聞2022-6-7夕刊にいろいろ新情報があった。
1920年代のアメリカの子供服は、男児はピンク、女児はブルーとするベビー用品店が少なくなかったという。30年代ごろから男児のブルー、女児のピンクが増えていき、50年代ごろには定着したという。
2018年には、『ピンクはおとこのこのいろ』という絵本がアメリカで出版されて話題になったという。つまり、アメリカでも「ピンク=女の子」というステレオタイプが存在することはたしからしい。


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