リベラルくずれの繰り言

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省庁での電子メールは削除でなく保存をデフォルトにすべき

2018-05-05 | 一般
加計学園の獣医学部新設をめぐり「本件は,首相案件」と柳瀬首相秘書官(当時)が発言したと述べる文書が愛媛県でみつかったとき,柳瀬氏は「愛媛県の関係者と面会した記憶はない」としてきたが,面会したことを裏付けるような内閣府から文科省の3人宛の電子メール(2015年4月)がみつかった(2018年4月20日公表).ただし,みつかったのは受け取った一人が印刷して個人的に保管していたものであって,サーバーからも削除されていた.3年前のメールの記録がないなどということがあるのだろうか? 個人的には信じられないと思うのだが,どうやら政府ではそれが当たり前らしい.
朝日新聞2018-5-4「政府内メール削除、妥当?」によれば,昨年改正された行政文書管理ガイドラインでは,職員が電子メールについて「行政文書に該当する」と判断すれば共有フォルダーに移すか,印刷して文書ファイルに残すことが明確にされたという.財務省や国税庁など5省庁ではメール送受信後に30日~半年で自動的にサーバーから削除しているそうだ(毎日新聞「公文書クライシス」朝日新聞のことか).今回の記事は共有フォルダーに移して保管するかどうかが「職員任せ」になっている点を批判しているが,そもそも「共有フォルダーに移さなければ削除」という「デフォルトは削除」という方針に問題がある.電子メールは「保存が基本」とするべきではないだろうか.(適切なフィルターで判定したスパムメールの削除は許されるだろう.)
サーバーの容量が削除の理由だそうだが,今の時代,そんなことがありうるのだろうか.少なくとも,古いものを別媒体に移動するなどの工夫をすれば,媒体寿命くらいの保管は難しいことではないのではないだろうか.(ちなみに,税関によれば,輸出(輸入)に関連して,電子メールは帳簿と同じ5年(7年)の保存が義務付けられているようだ.)
さらに,規則を運用する人たちの姿勢も問題だ.文科相では2017年7月に「共有すべきでない個人メモがフォルダーやメールで共有されていた」などとして事務次官ら幹部3人を口頭での厳重注意処分にしたという.その前月には,内閣府幹部から「官邸の最高レベルが言っている」と伝えられたという内容の文書が添付されたメールが文科省で発見され,政府は同文書は「個人のメモ」であり公表しなかったのは隠蔽ではないと弁明していたと思う.そんな事例を考えると,政府に都合の悪いメールを共有するな,という圧力だと思えてならない.
アメリカではヒラリー・クリントン氏が国務長官在任中に私用のメールアドレスを使っていたことさえも批判された.電子メールも含めた記録保存に力を入れるアメリカ(毎日新聞)を引き合いに出すまでもなく,「担当職員が所定の操作をしないかぎり削除」ではなく,「特別な事情がないかぎり保存」を前提とするべきではないだろうか.公文書館の予算やスタッフを欧米並みにというのは財源がすぐ手当できないかもしれないが,電子メールの保存くらいはその気になれば不可能ではないと思う.

関連リンク:
「公文書管理、どう改革 メール大半廃棄「判断大変」 米、幹部は全て自動保存」(朝日新聞2018-5-20

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