リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

ロシアのウクライナ侵攻:武力による現状変更を許さないために、我々の覚悟が問われている

2022-03-23 | 一般
世界に紛争は数あれど、ある日突然隣国に軍隊を送って攻め込むというのは今の成熟した世界ではもうないと思っていた。ロシアのウクライナ侵攻は、ナチスドイツによるポーランド侵攻以来のあからさまな侵略戦争だともいわれている。世界中で批判が高まり、経済制裁の動きも広がるが、ロシアのプーチン大統領は兵を引く気配は見せない。
日本も制裁に加わっているため、このたびロシアは、日本との北方領土問題を含む平和条約交渉について「継続する意思はない」と発表した。北方領土へのビザなし渡航や、北方領土での共同経済活動に関する対話もやめるという。(朝日新聞2022-3-22)ロシアに対する制裁に同調する日本への報復であることは明らかだ。とはいえ、安倍首相が2島返還に要求を後退させても進展のきざしが見えなかった北方領土問題は、当面の現実問題としては何も困ることはない。だが制裁が広がれば貿易が滞り、日本も含め世界経済が混乱することは目に見えている。それでも制裁を続けることはできるだろうか。
心強いことに、世論調査によれば、国内経済に影響が広がったとしても制裁を続けるべきかとの質問に対し、「続けるべきだ」が67%で、「そうは思わない」より断然多いという。
そうはいっても、今後影響が拡大したときに「それでもだめなものはだめ」と筋を通すことができるだろうか。我々の覚悟が問われている。
今回の世論調査では18~29歳では「そうは思わない」が34%と3割を超えたことが気になる。生活を優先したい若い世代の思いもうかがえる。文明国の日常生活が戦火で一変してしまうウクライナの光景は決して他人ごとではない。ここでウクライナを見捨てたら、中国が台湾や南シナ海に武力侵攻した時も止める者はない。その次は日本でないと誰に言えるだろうか。
そもそも、貿易の障害や円安による輸入物価の値上がりは、制裁如何とは直接関係ないはず。少なくともそうした原因による生活苦を理由に制裁緩和を望むことはないようにしたい。

追記:平和条約や北方領土の交渉中断について、もともとプーチン大統領に本気で交渉を進める様子は見られなかったから実害はないと書いたが、朝日社説2022-3-24は「むしろ、日本側から交渉中断を表明しておくべきだった」と述べておりなるほどと思った。もちろん対立をエスカレートさせるような言動には慎重になるべきではあるが、一理ある。2014年のクリミア半島占領など、ロシアが不法行為を繰り返している間も断固とした態度を取らなかったことが今回の侵攻の遠因になっていないか。あからさまな侵攻をいとわないロシアに宥和政策は通用しない。

追記:ヨーロッパはロシアからの石炭禁輸に踏み込んだと思うが、ロシア極東の「サハリン2」プロジェクトから液化天然ガス(LNG)の供給を受けている東京ガスの社長は、プロジェクトから撤退しないという。同社のLNG調達の約1割がサハリン2からだそうだ。その是非はさておき、社長が、解約しても調達相当分の違約金を払う取り決めがあるといっている点が気になった(朝日新聞2022-2-26)。結局支払いをするのであれば、たしかにサハリン2からの調達をやめることに意味はない。
だが経済制裁とはそういうものなのだろうか。ロシア政府関係者の資産を凍結するなどする制裁は、資産を預ける際の契約を破っていることにはならないか。国際協調での制裁で調達を止める場合は違約金は払わないということはできないのだろうか。それに制裁の一環として、「契約を破棄」ということは他国でもやっているのではなかったか。
もちろんいったん結んだ契約を破棄するというのは軽々にしていいことではない。国際社会の十分な理解を得ることが前提になるが、少なくとも「契約上違約金があるから」は理由にならないのではないか。



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