リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

GoTo利用者の新型コロナ感染が「4000万人のうち176人」は本当か?

2020-11-29 | 一般
新型コロナウイルスの感染が急拡大しているが、政府はGoToトラベル事業の見直しに消極的だ。先日は、特に感染者数が増えている札幌・大阪を目的地とする旅行を対象外とするとしたものの、感染拡大地域を出発地とする旅行の見直しはしないと言っていた。首相は一転、札幌・大阪からの出発分も一時利用を控えるよう呼びかけたが(朝日新聞2020-11-28)、「これまで延べ4000万人以上が利用しているが、判明した感染者は176人だ」(mainichi.jp 2020-11-21)などとして、GoToを正当化する立場は崩していないようだ。11月10日の発表での数字は、10月15日までのキャンペーンの利用者は3138万人、11月9日までに観光庁が報告を受けている新規感染者数は利用者のうち131名だという(HotelBank)。
たしかに「4000万人のうちの176人」とか「3000万人のうちの131人」なら経済との両立を考えて受け入れるべきリスクとの判断はわかる。だがこの数字は本当だろうか。
日医の会長は、GoToトラベルが感染者急増の「きっかけになったことは間違いない」と述べている(朝日新聞2020-11-19)。直感的には日医会長の見方のほうが正しいように思えてしまうが、どうなのだろう。
感染者数の131人とか176人といった数字だが、利用者の感染という場合、判明するのは旅行から帰ってからだろうから、判明した時点で保健所が行動履歴を調べ、旅行した人には宿泊先や移動先(観光施設?、飲食店?、公共交通機関?)に情報を伝えるのだろう。だが「観光庁が報告を受けている」GoTo利用者の感染者を報告しているのは、保健所なのだろうか、宿泊施設や訪問先とかなのだろうか。どのように集めた数字なのかを明示してもらわないと評価ができない。そもそも「観光庁」に100%報告がいく状況が担保されているのだろうか。そのへんの説明も必要だ。
また、感染拡大地域の人が実は無症状の感染者で旅行先(宿泊施設、乗り物、飲食店、観光地)で感染させた場合、その感染者は「GoTo利用者」にはカウントしないと思われる。政府のいうGoTo利用者にはこれらの感染者はカウントされていないのではないか。
逆に、政府側に都合のいい視点も加えておくと、「GoToトラベル利用者」の中にはGoToキャンペーンがなくても旅行した人は含まれているだろう。よって、「GoTo利用者のうちの感染者」のうち、「GoToトラベルが原因で感染した人」は一部でしかない。
いずれにせよ、「GoTo利用者のうち感染者数」というときには、もう少しきちっとした説明が必要だ。

だが、GoToが感染拡大の元凶という「エビデンス」がないから見直さないというのはどうかと思う。学術的にきちっとした証拠を示すにはそれなりの時間がかかる。「推定無罪」と言わんばかりに証拠がそろうまでは対応しないというのは、感染拡大防止の責を担う為政者としては無責任だ。ある程度の状況証拠から原因との疑いがあれば、対策を講じるべきではないか。政府は「予防」と称してようやく対策に動き出したが、例によって後手後手に回っている感がある。
それにそもそも、GoToキャンペーンは感染が終息したときに行なうことを前提として策定された経済刺激策。それが感染の真っただ中に急遽前倒しで実施された(過去ブログ)。しかも、状況を見て見直すと言っていたのに、明らかな感染拡大を受けても見直しに消極的な政権の姿勢には疑問を感じざるを得ない。

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