36. 中国・韓国と日本の違いの原点 「 4ホ 中国には西洋美術館がない 」
儒教の国と神道の国 一部引用編集簡略版
本章は以下の内容を投稿予定です。
4イ 儒教の矛盾
4ロ 支配階級のための儒教
4ハ 道徳哲学に儒教を変えた日本人
4ニ 公の概念が欠落した儒教
4ホ 中国には西洋美術館がない
4ヘ 女性に自由がない中韓
4 ト 易姓革命が諸悪の根源
4チ 自分の不徳を責める天皇
4リ 美意識に価値を置く日本人
4ヌ 中国は世界で唯一の神話がない国
4ル 日本は女性が最高神
4ヲ 和の文化と神道
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4ホ 中国には西洋美術館がない
著者は北京の故宮に陳列されている、中国美術品や、台北にある故宮博物院を、何回も見学したが、数万点もある美術品のなかで、心を動かされるような作品が、ほとんどなかった。いや、まったくないと感じた。
台北の故宮博物館は、蒋介石が大陸から台湾に命からがら、慌てて逃げ込んだ時に、故宮から大量の宝物を奪って、丁寧に梱包したうえで、輸送船に乗せて、持参したものである。そのために、蒋介石のために働いた、多くの末端の将兵や、下級役人たちが、大陸に置き去りにされた。
故宮に展示されている芸術作品のなかには、翡翠を彫ってつくった、小さな虫があって、何とも滑稽なことに、その前に、拡大レンズ(むしめがね)が置かれている。著者はまるで北京雑技団(サーカス)の曲芸のようなもので、バカバカしいと思った。
展示されている作品は、すべてといってよいが、皇帝に捧げられたものである。すべてが、作者のものではなく、皇帝のものなのだ。
日本の茶器や、絵画のように、作者の精神世界を表現したものが、どこにもないのだ。
芸術は自由な魂によって、創造されるべきものである。ところが、中国には一人ひとりの人間を尊ぶ、土壌がないのだ。
中国ではあらゆるものが、政治に帰納する。
今日の中華人民共和国も、中国の三千年にわたる、政治文化がつくったものだ。
中国について、もう一つ、驚くことがある。
第二次大戦前にも、中国には上海を中心として、貿易を通じて巨富を手にした、富裕なファミリーがいくつも存在した。
ところが、今日でも、広い中国大陸に泰西名画(泰西《西の果ての意》西洋。⇔泰東)をはじめとして、西洋美術館が一つも存在していない。
日本であれば、上野公園の国立西洋美術館や、東京駅八重洲口にあるブリジストン美術館をはじめとして、全国に西洋美術を蒐集した、美術館がある。
日本は世界的にも、高い評価を受けた洋画家を、数えきれないくほど生んできた。
日本における洋画の歴史は、遠く室町時代(1392~1573年)まで遡る。
キリシタンの宣教師が持ち込んだ宗教画を、絵師が模倣して、南蛮絵と呼ばれた。徳川時代に入ると、多くの優れた画家が、西洋画科の手法と、油絵、岩絵具を用いて、絵筆を競った。これらの絵は蘭画とか、紅毛画と呼ばれている。
ところが、中国ではそのようなことがなかった。
中華文明だけが、世界で唯一つの真っ当で、偉大な文明であると、思いあがってきたから、西洋美術は夷狄のものとして、見なした。そこで、今日にいたるまで、西洋美術館が一つもないし、日本のように優れた洋画家をうむことがなかった。
中国文明は、政治、政治、政治ばかりで、息が詰まる。今日にいたるまで、すべて、あらゆるものが、政治に取り込まれる、異常な社会であってきた。
参考:加瀬英明著「中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか」
加藤英明氏は「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長