山本淳子氏著作「平安人(へいあんびと)の心で「源氏物語」を読む」から抜粋再編集
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雲隠はどこへいった?
「源氏物語」には「雲隠」という巻がある。いや、そんな巻はない。いやいや、それは実は、あるのだがない。ややこしい言い方で申し訳ないが、要するに本文がなくて題名だけの「雲隠」という巻を「源氏物語五十四帖」の一つと認めて数える説が、世に存在するということなのだ。なお、「雲隠」を帖の数に入れるときは、「若菜」の上と下を一つにして一帖と数えるので、五十四帖という数は変わらない。
「雲隠」以外にも「桜人」「狭蓆(さむしろ)」「巣守(すもり)」など現在は伝わらない巻の名が知られている。
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