再読のための覚え書き
ジャン・クリストフ(八)
ロマン・ロラン(1866-1944)
豊島与志雄訳
年老いたクリストフは、すでに作曲家としての権威を勝ち得ていた。
彼に深く関わった人たちとの再会を果たし、彼が愛した人々の子たちを愛でながら、達観した人生を歩む。
そして、誰にも告げずに、思い出深い土地を巡る旅に出る。
「苦悶もまた一つの力となる――統御される一つの力となる――という点まで彼は達していた。彼はもはや苦悶に所有されずに、かえって苦悶を所有していた。それはあばれ回って籠の格子を揺することはあっても、彼はそれを籠から外に出さなかった。」
「懐疑も信念も共に必要である。懐疑は昨日の信念を滅ぼして、明日の信念の場所をこしらえるのである……。」
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全八巻読了。読み進めるのになかなか忍耐の必要な本ではあったが、冗長な文章の中に時折りそっと置かれている金言の数々が、精神を思いっきり覚醒させてくれた。
2023.1.16読了
ジャン・クリストフ(八)
岩波文庫
1936年1月10日初版発行
1976年8月20日29刷
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