長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

ロラン「ジャン・クリストフ(八)」

2023-01-17 01:15:00 | 

再読のための覚え書き


ジャン・クリストフ(八)

ロマン・ロラン(1866-1944

豊島与志雄訳 


年老いたクリストフは、すでに作曲家としての権威を勝ち得ていた。


彼に深く関わった人たちとの再会を果たし、彼が愛した人々の子たちを愛でながら、達観した人生を歩む。


そして、誰にも告げずに、思い出深い土地を巡る旅に出る。


「苦悶もまた一つの力となる――統御される一つの力となる――という点まで彼は達していた。彼はもはや苦悶に所有されずに、かえって苦悶を所有していた。それはあばれ回って籠の格子を揺することはあっても、彼はそれを籠から外に出さなかった。」


「懐疑も信念も共に必要である。懐疑は昨日の信念を滅ぼして、明日の信念の場所をこしらえるのである……。」


・・・・・・・・・・・・


全八巻読了。読み進めるのになかなか忍耐の必要な本ではあったが、冗長な文章の中に時折りそっと置かれている金言の数々が、精神を思いっきり覚醒させてくれた。



2023.1.16読了


ジャン・クリストフ(八)

岩波文庫

1936110日初版発行

197682029


# #読書 #文学 #文庫 #ロマン #ジャン・クリストフ






ロラン「ジャン・クリストフ(七)」

2023-01-15 23:19:00 | 

再読のための覚え書き


ジャン・クリストフ(七)

ロマン・ロラン(1866-1944

豊島与志雄訳 


ジャックリーヌに出奔されたオリヴィエはパリに帰ってくるものの、メーデーの暴動に巻き込まれて死んでしまう。


その際に警官を殺したクリストフは、スイスに逃亡し、同郷出身の医師ブラウンを訪ねる。ブラウンにはアンナという妻がいた。


クリストフはそこで匿ってもらうことになったのだが……


「すべて自分のなすことに、すべて自分の苦しむことに、すべて自分の愛することに、すべて自分の憎むことに、無制限に没頭する者こそ、驚異に価する人であり、この世で出会い得るもっとも偉大な人である。熱情こそは天才のごときものであり、一つの奇跡である。ほとんど存在しないと言ってもよい……。」



2023.1.15読了


ジャン・クリストフ(七)

岩波文庫

19351215日初版発行

197682028


# #読書 #文学 #文庫 #ロマン #ジャン・クリストフ






ロラン「ジャン・クリストフ(六)」

2023-01-15 00:42:00 | 

再読のための覚え書き


ジャン・クリストフ(六)

ロマン・ロラン(1866-1944

豊島与志雄訳 


パリに戻ったクリストフの名は、新聞の計らいによって知れ渡り、演奏会も増えてゆく。


親友となったオリヴィエは、ジャックリーヌと恋に落ちて結婚。クリストフは再び独りになる。


そして、またもや新聞はクリストフの敵となり、世間からも非難の攻撃が加えられるが……


「だれだって完全な者はないさ。自分の力の範囲を知ってそれを愛することが、すなわち幸福というものだ。」



2023.1.14読了


ジャン・クリストフ(六)

岩波文庫

1935930日初版発行

197682029


# #読書 #文学 #文庫 #ロマン #ジャン・クリストフ






ロラン「ジャン・クリストフ(五)」

2023-01-13 20:34:00 | 

再読のための覚え書き


ジャン・クリストフ(五)

ロマン・ロラン(1866-1944

豊島与志雄訳 


クリストフは、詩人のオリヴィエと意気投合し、一緒に暮らすようになった。


牧師や軍人など様々な人々と知り合いながら、それぞれ議論を戦わせる。


祖国の母からの手紙を手にして、クリストフは再びドイツに戻るが……


「もし芸術に国境があるとすれば、その国境は人種の間の境界というよりも、階級の間の境界と言うべきだ。フランスの芸術とかドイツの芸術とかいうものがあるかどうか、僕は知らない。しかし富んでる者らの芸術があり、また、富んでいない者らの芸術がある。」



2023.1.13読了


ジャン・クリストフ(五)

岩波文庫

1935915日初版発行

197681030


# #読書 #文学 #文庫 #ロマン #ジャン・クリストフ






ロラン「ジャン・クリストフ(四)」

2023-01-11 22:24:00 | 

再読のための覚え書き


ジャン・クリストフ(四)

ロマン・ロラン(1866-1944

豊島与志雄訳 


クリストフは、祖国ドイツを逃れてフランスはパリに辿り着いた。


旧友を通して様々な芸術家たちと知り合うものの、フランスの退廃的な芸術論に義憤を感じた。


縁を通して演奏するようになるものの、敵意を含む異国の聴衆の中で、またしてもクリストフは孤立を深めていった。


「彼は知らなかった、偉大な魂は決して孤独でないことを、時の運によって友をもたないことがあるとしても、ついにはいつも友を作り出すものであることを、それは自分のうちに満ちてる愛を周囲に放射することを、また、自分は永久に孤立だと信じてる現在においても、彼は世の最も幸福な人々よりさらに多くの愛を他から受けていたことを。」



2023.1.11読了


ジャン・クリストフ(四)

岩波文庫

1935430日初版発行

197681031


# #読書 #文学 #文庫 #ロマン #ジャン・クリストフ