勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

喜びは取っておく

2005-12-13 | TVや舞台やスポーツのお喋り
品川庄司がM-1GP 決勝進出を決めた。
準決勝二日間が終わった、さらに翌日結果発表と言う、かなり気を持たせるやり方。
寝不足になったのは私だけ?(だいた風)

M-1が始まった最初の年、品川さんは出場に乗り気じゃなかったようだ。
マネージャーに言われて、仕方なく締め切り5分前にエントリーしたと言っていた。
結果は決勝進出ならず。
2年目。エントリーせず。

品川さんはこうした勝敗を競う形で漫才をすることを好んでいない。
結果は審査員ではなく、お金を払った、自分の意思で漫才を見に来た、優劣なんかつける気のない、普通のお客さんが出すものだ。
たまに、ではなく、月に何度もルミネで漫才をやる品庄にとって、その場の笑いこそが勲章なのだと思う。

もう一つの理由はトラウマ。
「俺たち、いつも準優勝止まりなんだよね」
以前聞いた品川さんのコメントは切実だった。
圧倒的得票数で準決勝を勝ち抜いたNHK爆笑オンエアバトルでも、決勝で敗れた。
それも僅か3票差で。

だから私もM-1なんてどうでもいい派だった。
漫才で1位取ったからって、明日からの笑いが変わるわけじゃない。
どうしても優勝して売れたい!と思うほど無名の若手でもない。

だが今年は拘った。
何故ならM-1は結成10年目までのコンビしか出られないからだ。
品庄は95年東京NSC第一期生となり、96年にいわゆるプロ、吉本の契約芸人になった。
つまり今年が正真正銘の10年目なのだ。
ここで取れなかったら、永遠にM-1GP優勝と言う冠を得ることは出来ないのだ。

いつも準優勝。。。
今度こそ、その壁をぶち破って欲しい。
その為に、品川さんはこの忙しい中、新ネタをたくさん作ってきたんだから。
庄司さんが殻を破り、ステップアップした今年こそ、そのチャンスが来たのだから。
その日まで、私は‘おめでとう’を取って置く。
‘嬉しい’を取って置く。
そしてその日、心からの‘おめでとう!’を叫びたい。

明日のルミネ、どんなネタで出迎えてくれるのだろう。
それは多分クリスマスの日、TVで多くの人に見てもらうネタなのだろう。
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寝て待つか。

2005-12-12 | TVや舞台やスポーツのお喋り
M-1の結果が気になる。
品川庄司は前回ルミネで見た『銃で撃たれて苦しむシーン』のネタで勝負したようだ。
私は残念ながらチケットを入手できず、家で応援。
ルミネまで応援に行ったお友達の話だと、大変よい出来だったようだし、多分力を出し切ったのだろう。

で、結果はと言うと、明日の昼までわからない。
果報は寝て待つしかないようだ。
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歴史モノを描く苦労

2005-12-10 | 映画のお喋り
最近のハリウッドブームなのか、キング・アーサーやらトロイやら、大昔の戦争映画がやたら多い。
これもその中のひとつなのだが、1184年と言えば、紀元2000年の歴史の中で、私のもっとも得意とする時代。
これは観なくちゃとDVDを借りてきた。

☆『キングダム・オブ・ヘブン』 2005年・アメリカ
  監督:リドリー・スコット
  主演:オーランド・ブルーム、エドワード・ノートン、ジェレミー・アイアンズ

ストーリーはキリスト教とイスラム教、双方の聖地であるエルサレムを巡る争い。
時代は第2回十字軍遠征直前。(ラストにリチャード獅子心王が登場する)
リドリー・スコットがこの映画を作った意図は明白。
イラクへの攻撃が現代の十字軍と呼ばれていること。
話し合いで戦争を避けた名君ボードワン4世の死後、利権目当ての好戦主義者たちによって戦争が起こり、多くの兵士と民衆が犠牲になったこと。
この辺を踏まえたメッセージを、かの国の人たちに伝えたかったのだ。
エルサレムを巡る歴史とか、宗教とか、ある程度知識がないと辛い映画もあるが、これは簡潔に説明出来ている方だと思う。
(全体に思想が時代的でなく、現代的過ぎる感はあるが)

さて、この映画で一番問題になるのは、オーランドくん(ロード・オブ・ザ・リングの弓の名手で出世した)演じる主人公バリアンの行動。
不治の病(現代では無論完治する)に冒されたエルサレム王・ボードワン4世が死期を間近にした時、バリアンに王位を譲ろうとする。
妹の王位継承者シビラ王女の夫ギーは好戦主義者の愚か者で、彼が王とならばサラディン(イスラムの王)と戦って敗れるのは目に見えている。
だからイスラム教徒との共存を望むバリアンに後を継いで欲しいのだ。
それだけがエルサレムとそこで暮らすキリスト教徒を守る唯一の方法だから。

ところがバリアンは、この王の申し出を拒否するのだ。
何故?
映画を観てる人はみなそう思うだろう。
エルサレムを救いたかったら、あんたが王になるしかないってわかるでしょうに。

ここで私は史実に忠実でいながら、自分の物語を進めていかなけらばならない作家の辛さを思い出す。
エルサレムは陥落するのだ。
それは歴史上、すでに起きてしまったことなのだ。
もしもバリアンが王になったら、エルサレムは陥落しないことになる。
これでは単なる空想物語になってしまう。
だから無理矢理理由をつけて、バリアンに拒絶させるのだ。
この時点で、主人公バリアンは映画の観客から見放されてしまう運命を担う。

シビラ王女の夫ギーが王となり、イスラム教徒と戦い、無残に敗れる。
その後でバリアンがエルサレムの民衆を守るために戦っても、説得力はゼロなのだ。
だったら王になって、戦争をとめればよかったじゃないってことになる。
やはりバリアンが王になれなかった明確な理由、たとえばギーの陰謀に邪魔されたとか、それがないと見せ場の戦闘シーンが死んでしまうのだ。

個人的にはかなり面白かったこの映画、動機付けをもっと工夫してくれれば、かなりの傑作になったと思う。
非常に残念だと言うしかない。
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安らぎたい夜に観る映画

2005-12-04 | 映画のお喋り
このところ辛口になりがちなDVDのお喋りだったが、今日はちょっと違う。
面白かったと言うと、意図するものから外れてしまう。
見ていて安心できる(疑問点のない)映画だったと言うべきか。

『エイプリルの七面鳥』 2003年 アメリカ
 監督・脚本:ピーター・ヘッジズ
 出演:ケイティ・ホームズ、オリヴァー・ブラット、パトリシア・クラークソン

監督・脚本が『ギルバート・グレイプ』の脚本を書いたヘッジズだと知って、即刻観てみた。
『ギルバート…』は、ジョニー・デップ演じる兄と、ディカプリオ演じる知的障害を持つ弟との関わりを描く映画だった。
兄の閉塞感に息が詰まる思いを味わいながらも、ラストは感動させてくれた。
大好きな映画のひとつだ。

『エイプリル…』も家族を描いている。
感謝祭当日、七面鳥のグロテスクなアップから物語は始まる。
最初はよくわからなかった家族関係が、次第に鮮明になっていく。
エイプリルは自ら「最初のホットケーキ」と自分を評している。
フライパンが温まる前に、或いは温まり過ぎた後に焼く最初のホットケーキは、生焼けだったり黒焦げだったりする。
つまりこの一家の長女であるエイプリルは、両親の失敗作なのだ。

エイプリル以外の家族は、NY郊外(車で数時間)に住んでいる。
父、母、息子、娘。それに近くに住む祖母。とても仲が良さそうだ。
父と子供たちは母を気遣う。(その理由は後でわかるが)
彼らは感謝祭の日、以前家出したと思われるエイプリルから食事に招待されて出かけるところだ。
みな気が進まない様子。
何故ならエイプリルはグレて、家出して、警察沙汰にまでなった娘だ。
食事に招待したって、ろくなものを出しはしない、料理なんかできっこないんだからと思ってる。

ネタバレだが書いてしまおう。
母は乳がんで、恐らくこれが最後の感謝祭の晩餐になる。
そのことを知ったエイプリルは、母との関係を修復しようと思い立ったのだろう。
元彼はヤクの売人だったが、今彼は好青年だ。
エイプリルの気持ちを思い遣って、いろいろ協力しようと気を使ってる。
そんな彼の愛情に支えられ、必至に立ち直ろうとしているエイプリルは、家族の為に初めての晩餐の準備に取り掛かる。

映画は料理に悪戦苦闘するエイプリル、家族にいい印象を与えたくて必至の恋人、母に気を使いながらNYへ向かう車中の家族たちを、それぞれ順に追いながら進んでいく。
余裕と思った料理だが、オーブンが壊れていて七面鳥が焼けないと気付いたときから、かなりスリリングな展開に。
アパート中を「オーブン貸して」と頼んで歩くエイプリル。
その姿を観てると、自然と感情移入してしまった。

いい人あり、変人あり、アパートの住人との関わりも面白い。
旅をして成長していくと言う映画は良くあるが、エイプリルの旅はアパートの中だけだ。
だが恐らく普段は顔を合わせても挨拶一つしない間柄なのだろう。
それぞれの出会いが、エイプリルにとっては十分冒険に満ちた旅になっている。

そして最後になった今、再び娘に失望させられたくない。
そう思ったのだろう。ついに母親がこれ以上進むことを拒否。
一度こじれた親子の関係は難しい。
エイプリルの料理は完成してるのか。
エイプリルは家族と再会することが出来るのか。
母親と心を交し合うことは出来るのか。

こんな単純なストーリーなのに、最後まで飽きさせない脚本の力を感じる。
演出も上出来。特にラストはくどい感じにならず、よく仕上がった。
ほっとしたい夜に、家族と、恋人と観るにはいい映画だ。
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