雨の日も風の日も ららる~♪

気ままな毎日を綴ります。

白仏

2020-08-20 | 本・ライブ

夜寝る前の1冊・・・

やっと辻仁成氏の「白仏」(はくぶつ)を読み終えた。

ぐいぐいと面白く読める本ではなく、テーマが重く随分時間がかかった。

寝る前に日課となったJINSEI STORIES で、

父ちゃんと息子の会話を読んだ後ではどうも・・・。

この小説はフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞外国小説賞」を日本人として唯一受賞。

どんな小説なのか興味があった。

 

亡き祖父に捧げる・・・

鉄砲屋の息子江口稔7歳。少年時代から物語は始まる。

筑紫平野筑後川最下流の大野島が舞台だ。終始その地方の方言で語られる。

稔の7歳年上の緒永久(おとわ)との初恋。地元幼なじみの4人の仲間。

武骨で無口な鉄砲屋の父。子だくさんで快活な母。

幼くして事故死した兄、初恋の人の死、戦場で戦友やロシア兵の死、

幼なじみの突然の死と自死、幼い息子の死・・・数多くの人の死を経験する。

それは余りにも多くの人の死だった。

仲間のひとりは、村でただ一人の火葬場の息子。

立ち入り禁止の火葬場で人の最後、焼けて煙になっていくところを見る。

稔は常に死とは生きる事とは考える・・・かなり哲学的。

稔が人生最後に行きついたのは、村の亡くなった人たちの骨を集めて「白仏」を作る事だった。

無縁仏も全て仏に。貧しか者も富める者も本来みんな一緒たい。人間の存在は一つちゅうこと。

これは辻氏38歳の作。この若さでこの作品を書いた氏の作家としての力量。

生と死・・・この小説がフランスで受賞したのが分かる。

ずっと方言で語られている。翻訳してこの良さが味わえないのがもったいない。

後書きを読んで、祖父村上豊氏が実際に島の人々の遺骨で「白仏」を建立されたことを知った。

これは祖父をモデルに書いた小説だった。

「白仏」は今も大野島のお寺にある。

 

 

 

 

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歌の力

2020-04-19 | 本・ライブ
今年の初めに美川憲一と八代亜紀のジョイントコンサートに行ってきました。
一度でお二人が楽しめるなんて~。一粒で二度おいしい(笑)。
ペアチケットで又お得。夫を誘ったら珍しく行ってもいいよと。
さすが大ベテランの二人。最後まで飽きることなく楽しみました。
二人の掛け合いのトークも爆笑の渦。構成も上手くできていましたね。
馴染みのヒット曲も次々披露。ゴージャスな衣裳は目の保養。
前半と後半に別れて一人一人がたっぷり聞かせてくれました。
美川憲一はシャンソン。八代亜紀はjazzを♪
さすがですね。上手い!!歌の力。凄いね。
多くの観客をすっぽり自分たちの世界に包み込んでしまう。
この一体感。ライブならではですね~。

こんな時こそ音楽が聴きたい・・・。
コンサートが出来ないアーティストたちがテレワークで自宅から発信。
新日本フィル、星野源、高嶋ちさ子、杏の弾き語り・・・海外からも。
今はこんなことが出来るのですね!!
音楽はもとよりその姿に元気をもらっています。ありがとう~♪

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樹木希林120の遺言

2019-08-11 | 本・ライブ
昨年9月15日75歳で亡くなった樹木希林さんの徒然に語られた言葉が集められています。
亡くなられた後で、NHKの特別番組や本もたくさん出版されました。
内田裕也氏との別居婚、シンプルな生活、女優としての存在感etc
独特の生き方が少し気になる人だった。

~死ぬときくらい好きにさせてよ
表紙はオフェリアのように、花を散らした川面に漂う姿。

抗がん剤は副作用があるのでせず。ピンポイントの放射線治療を選んだ。
2005年の乳がん発症から15年・・・。癌は全身に転移。
癌をどう受け止めどう向き合ったのか知りたいと思った。

癌もあたりまえで、人生すべて必然。
癌のおかげで多くの「気づき」があったと。
「万引き家族」は、やはり最後の思いで臨んだそうです。

父は警察官。後に薩摩琵琶の奏者。
母は7歳年上で、喫茶店を営むかなりのしっかり者。そんな環境で育ちました。

生老病死を語った120の言葉中でいくつか。

  一人でいても二人でいても 
  十人いたって寂しいものは寂しい。そういうものだと思っている。

  ときめくことは大切。
  自分が素敵になれば、それに見合った出会いが訪れるものです。

  さて人間としてどう終了するかっていうふうに考えると
  「未熟なままで終わるもんですねえ」というのが実感。

  どうぞ 物事を面白く受け取って愉快に生きて。
  あんまり頑張らないで、でもへこたれないで。

  幸せは自分で見つけるもの

夫の内田裕也氏は半年後、追うように亡くなりました。
樹木希林さんの演技はもう見られない。75歳は早すぎる。 

この本にはなかったけれど希林さんの言葉です。

最低限のお金と友達。
この二つがあればなんとかなる。


                      



 




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老い力

2018-08-01 | 本・ライブ

「90歳何がめでたい」の佐藤愛子が、今まで書いてきた「老いや死」についてのエッセイを年代別に並べて本にした。このテーマの著書が随分あります。西宮育ちなので親近感がある。

50代、本当の年寄りになる前に覚悟を決める。

60代、孤独に耐えて立つ老人になりたい。老年は人生最後の修行の時。

70代、老女の底力。強気の老人の気概。

80代以降、自然に逆らわず時の流れに沿って。時は音もなくすぎていく。

そして、死支度、死支度と思っているうちに死にも馴染んできた。
ここまで生きると自分の人生に、もはや悔いというものはなくなる。心残りもなくなる。
ここまで生きてきたから言えるのであって、長寿がめでたいというのはそういうことかもしれないとあった。

老人の長い人生の荒波を越えてきた知恵や勇気や努力奮闘に敬意を払うべき。
敬老の日は、プレゼントしたり温泉に連れて行って親孝行ぶるより老人の話しをじっくり聞く日にした方が意義があると。
歯切れのいいエピソードの数々。そのとおりだなあといちいちうなずきながら読んだ。
必要とされる年寄りになる、若い人に信頼される年寄りになるとも。
ただの頑固爺婆ではね。いくつになっても自己研鑽は忘れずにと思う。

近ごろ老人本をよく読む(笑)。
ついでに、さだまさしの「やばい老人になろう」も読んだ。
瀬戸内寂聴や佐藤愛子諸氏大先輩のを読んだ後だけに、
なった人となろうとでは説得力が違う。

時は音もなく過ぎていく・・・現在93歳の佐藤愛子の実感です。
音もなく・・・だそうです。










95歳まで生きるのは幸せですか?

2018-06-28 | 本・ライブ

最近やたら目に付くのが「老後本」。
老後をいかに生きるか?
世界でもまれにみる超高齢化を迎える日本。みんな模索中なのだ。

タイトルはズバリ「95歳まで生きるのは幸せですか?」。
池上彰氏が、95歳(現在96歳)の寂聴さんに聞きました。
去年の八月、BSフジのTV収録を本にしたものです。
結論が知りたくない人は読まないでくださいね。

はい 私も聞きたい。
みんな聞きたいのか、市民図書で珍しく1か月待ちだった。

興味津々の寂聴さんの答えは・・・。
「幸せじゃあないんです」。
95歳の私が言うんだから間違いないです。
88歳で死ねばまあ幸せでしょうね。
身体が動かないから不便。不便ということは幸せじゃあない。辛いことです。
90歳を過ぎて老いを感じたそうだ。
昨日できたことが出来ない・・・。

大病を不屈の精神力で克服し、青空説法は大人気。
若い秘書やスタッフに囲まれ、経済的には何の不安も無く、
マスコミでは今や引っ張りだこの氏にしてこの言葉なんですね。
あの世に行ったら、懐かしい皆に会っていっぱい話したいと言っていたのに、
TVで、もう誰にも会いたくないと言っていました。

悪いことしたから生かされてるのね。罰なのよこれは。
長生き出来て幸せなんて人は、非常に少ないんじゃあないですかと。
出家しているので死ぬことに不安はない。
ただボケるのだけが心配。
自分の意志と関係ないところで認知症になることは不安。

そして、いただいた命だから大切に生きなきゃあいけないと。
何度も「いただいた命」という言葉が出てきました。

歳をとっても、死ぬまで自分の慰めになるものを持っていることが幸せじゃあないでしょうか。
波乱万丈の人生を送ってきた寂聴さんの、これが正直な言葉なのでしょうね。
「90歳 何がめでたい」の佐藤愛子は、のんびりしたいと思ったら鬱になったと書いてあった。


「2025年問題」
3人に一人が65歳以上。5人に一人が75歳以上になる。
その5人に一人になる私。
長生きしておめでとうとは言えない現実。
大多数の人が病院か施設で最後の時を迎える・・・。
こうした経験は日本人にとって初めて。これほどの高齢社会は人類にとっても初めて。
「老い方のレッスン」を学びたいと池上氏。

幸せと感じるかそうでないかは、要は自分の心ひとつなのだと思った。