張芸謀監督の初期の作品です。
何回か見ました。何度見てもいいですね。
この作品で映画デビューの、チャン・ツィイーがほんとうに初々しい。
モンペに綿入りのピンクの上着。赤い上着はよそ行き。
山奥の村に若い先生が赴任した。赤い綿入れを着て見に行った。村人総出で出迎える。
校舎を村の男衆で建てる。女たちは男衆のお昼ご飯を持ち寄る。
村一番の器量よしのチャオ(チャン・ツィイー)は、先生に食べてもらおうと腕を振るう。
一番上等な青磁の大きな器に入れて。目立つように置く。
先生は食べてくれただろうか・・・。
村に響く先生の朗読の声。子供たちが続いて暗唱する。村人がこぞって聞きに行く。
字が読めないチャオは毎日朗読を聞きに行く。
わざわざ遠い井戸に水くみに。そこから校舎が見える・・・先生の声が聞けるからだ。
淡い淡いチャオの初恋。
張芸謀の初期の作品が好きでたくさん見ました。
どれも懸命に生きる中国の庶民の姿が描かれていて興味深い。
「菊豆」「紅いコーリャン」「秋菊の物語」「活きる」「紅夢」「あの子を探して」「至福の時」。
「単騎千里を走る」は高倉健主演で美しい麗江が舞台です。
文化大革命で、町に帰ってしまった先生を待ち続けるチャオ。
現在がモノクロで、きらめいていたあの頃がカラーで描かれる。
先生は初めて村に来たとき、赤い綿入れの女の子をちゃんと見ていたのです。
黄葉に雪景色・・・監督の描く村の四季折々の姿がほんとうに美しい。
40年後、
町から村へ教え子たちによる先生の葬送の列が続く。
この道はチャオが先生を待ち続けた道だった。
坦々とした物語ですが好きな作品です。