一人の老女のロードムービーです。これでアカデミー主演女優賞を取ったジュラルディン・ペイジが心に沁みる演技を見せてくれた。
生まれ育った「バウンティフル」に帰りたい。死ぬまでにもう一度あの町を見たい。あの町で暮らしたい・・・。そこには父と亡くした子供が眠っている。好きだったけど結ばれなかったあの人も住んでいる・・・はず。思い出がいっぱい詰まっているあの町・・・望郷の思いはつのる。あの町、バウンティフル・・・。
キャリー(ジュラルディン・ペイジ)は、一人息子と気の合わない嫁との、息の詰まる都会暮らし。生き方も価値観も違う嫁に遠慮して暮らすのはもう限界だ。今日決行しよう。あのバウンティフルへ帰るのだ。
家出して、バスで故郷へ向かうキャリー。乗り合わせた新妻を初々しいレベッカ・デモーネイが演じている。もう24年も前の作品だ。心は弾む。もうすぐあの町を見ることが出来る。思わず賛美歌を口ずさむ。嫁は賛美歌が嫌いだ。家では禁止。歌わせてはくれないのだ。新妻に故郷の事、嫁の事、話して聞かせるキャリー。
あの町がきっと自分を待っていてくれる・・・。やっとたどり着いたバウンティフルの町は・・・。実家は・・・。
この映画、キャリーに感情移入して見てしまった。まだその年齢には遠いけど、独りになった時、故郷を思う気持ちがどんどんどんどん膨らんでいく。そんな気持ちがよく分かる。私もあの頃に戻って、父と母に会いたい・・・。
もう会えない人たち。思い出の中の町はもうここには存在しない。時は流れ人も過ぎ行く。
迎えに来た息子と並んでたたずみ、目を閉じ、空気をいっぱい吸い込むキャリー。バウンティフルを見たキャリーの心に、じわあ~っと幸せな気持ちが広がっていった。私の心にも。
*前のライブドアーのブログなのでコピーしました。