1月3日から4日間の予定で南アルプス・鋸岳に挑戦してきた。
今回は戸台から入り角兵衛沢出合から取り付いて鋸岳を目指す。
そしてその先の甲斐駒まで縦走、北沢峠へ下山するという計画だ。
鋸岳は崩壊の激しい岩稜の山で無雪期よりも積雪期の方が足場が安定する。
それ故に、いつか厳冬期に登ってみたい候補の山だった。
今回は、そんな願いを達成すべくいつも以上に気合いを入れて出発する。
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1/3 新大阪始発の新幹線に乗り、電車を乗り継ぎJR飯田線・伊那北駅に着いたのは10時半。
そこからタクシー乗車、約40分で橋本山荘手前に到着する。
年末からの雪がまだ降り続いている。しかも、ぼた雪であるから積もる、積もる・・・
初めての山はいつも緊張するが、こうも雪が多いと不安にもなる。
でも、行かねば!と、気持ちを奮い起こすワタシ。11時半出発。
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しばらくすると雪がやみ、青空が見え始める。
戸台から川沿いを歩くこと2時間半、角兵衛沢への標識がある。
ここから戸台川を向こう岸へ渡渉するのだが、水量が多くかなりの時間を要する。
この箇所が、一番厄介なのではないだろうか・・・
登り始めて1時間、この日は角兵衛沢と横岳の出合付近で幕営する。
今回の食糧は、「軽量化且つ美味しく食べる」ために全ての具材を乾燥。
自家製フリーズドライである。これがなかなかウマい!今後はこれでいこう。
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1/4 4時30分起床。外気温は氷点下15℃だが晴れているので気持ちがよい。
おやきの朝食を済まして7時に出発する。
鋸岳へのトレースは、1人歩いた跡が薄っすら残っているのみ。
もっとたくさん来ているものだとばかり思っていたワタシ。
降り続いた雪壁の急登と重装備でかなり苦しい登りが続く。
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トップを二人で交代しながら登り続けること5時間。
正午、角兵衛沢コルへ着く。くじけそうになるくらいの強風だ。
鋸岳への取付きは、雪が超たっぷりついていてトレース無し。
リーダーがラッセルしながらかなり急なリッジを雪に半分埋もれながら進む。
1時間経過、雪に埋もれてもう今日は体力の限界だと訴えるワタシ。
今日中に鋸岳越えの中ノ川乗越幕営の予定だったが、時間的に無理だろう。
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コルでビバークしようと提案されるが、そんな気になれない。
もっと風の当たらない大岩の岩小屋の方が快適だろう。
疲れと寒さですっかり気持ちが弱くなってしまったワタシ。
結局、1時間半かけて大岩まで下りハング下の無風・展望良好の快適な所で幕営する。
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岩小屋ハング下は2張りほどテントが張れるフラットなスペースがある。
岩清水がポタポタ落ちていてコッフェルに貯めて飲料水に使う。
またここには、大きくて透きとおったつららがあり、これをピッケルで砕いてウイスキーロックに使用。
こんなに美味しいウイスキー天然氷割りは下界では味わえない。
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1/5 6時30分起床。
出発前、週間天気予報ではこの日は曇りのち雨だったので期待していなかった。
ところがテントから外へ出ると太陽がピカピカ光っているではないか。
これはじっとはしていられない。鋸岳に再度挑戦だ。
日程の都合上、甲斐駒までの縦走は無理でも鋸岳のみなら行ける。
テントに登攀に不要なものを残して荷を軽くし、再び角兵衛沢コルへ向かう。
朝早い時間はまだ雪がしまっていてアイゼンがよく利くので昨日よりずっと歩きやすい。
岩小屋からたったの1時間15分でコルまで来る。
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いよいよ取り付き開始だ。ピッケルを確実に利かしながら、順調に進む。
この日は私たちともう1パーティ二人組が鋸岳山頂へ向かう。
快晴、風も昨日より穏やかで絶好の登頂日和だ。
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11時30分鋸岳2,685mに登頂。
甲斐駒、仙丈ケ岳はもちろん、八ヶ岳や遠く北アルプスまでも望める大絶景だ。
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鋸岳から甲斐駒まで伸びる稜線は、自分が今立っているところから続いている。
そう思うと、ここから先に行ってみたい気持ちが湧いてくるが今回は眺めるのみだ。
山頂で記念撮影をして20分程してから下山する。
13時半、テントに戻り午後からはゆっくりと贅沢な時間を過ごし、ここでもう1泊する。
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1/6 4時起床。テント撤収後、まだ暗い中ヘッデンを付けて6時出発。
当初予定していた鋸岳から甲斐駒ヶ岳までの縦走は残念ながら出来なかった。
それでもやっと念願の鋸岳に登り、厳冬期の南アルプスを4日間満喫できた。
同じ道を降り、出合からは戸台までカチコチに凍ってツルツル滑る道を満足感に浸りつつ歩く。
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凍った戸台川で見つけた氷の結晶。
水って不思議。さらさら流れたり、凍ったり雪になったり・・・
もとは同じでもいろんな姿に変わる。
今冬シーズンは始まったばかりだ。安全第一で、さらなる挑戦を目指したい。