2月の三連休,阿弥陀岳南稜に挑戦した。
今回、阿弥陀岳南稜の計画は実は三度目であるため何としても登頂したい。
そう強く思うらいちょうチームとともにいつもお世話になっているK氏が一緒にパーティを組んで下さる。
そして本番、K氏の山仲間2人も一緒になり、らいちょうチームと計5人で南稜に挑む。
2/9 私たちは神戸から、K氏たち3名は東京からそれぞれ富士見駅に朝10時前に集合。
そこからはタクシーで舟山十字路へ向かい約30分で到着する。すでに5,6台車が駐車している。
連休であり天候も良いからだろう、阿弥陀岳南稜に向かうパーティは結構多そうだ。
10時40分、舟山十字路を出発、ルートは旭小屋経由で入る。
人気のない静かな林道歩きが1時間ほど続いたところで旭小屋が見えてくる。
これがうわさ(?)の旭小屋か・・・倒れそうである。
途中からアイゼンを装着して、樹林帯の急登を歩く。
徐々に高度が上がるにつれて木々の合間から白銀の北アルプスや南アルプスが見えてうれしい。
14時20分立場山に到着。この日はここでビバークをすることにした。
3~5人用のゴアテックスのテントは大きく、天井も高くて快適そのものだ。
パーティの人数が増えればテントも大きくなるのは当たり前だが大きなテントが妙にうれしいワタシ。
早い時間から宴会が始まり、K.M氏差し入れの北海道お取り寄せ鮭トバ一匹をつまみにお酒がすすむ。
そしてメインである夕食のカレーが出来上がる頃にはワタシもすっかりできあがっていた。
2/10 朝4時30分起床。気温はマイナス20℃と八ヶ岳らしい冷え込みだ。
前日の夜7時には就寝したのにもかかわらずK氏が起こしてくださるまでぐっすり寝ていた(寝過ぎ・・・)
朝食の味噌ラーメンと自家製おやきを食べ、準備を済ませて7時前に出発する。
青ナギを過ぎると前方にはこれから挑む阿弥陀岳南稜がよく見える。
無名峰を順調に越えていく。気温が低く、雪が締まっていてアイゼンがよく効き気持ち良い。
P1を進む私たちのパーティ。
この先、P1とP2とのコルにビバークをしていたパーティもいた。
稜線に出ると一気に風が強くなる。ガスも出てきて太陽が陰ると寒さも応える。
あまりの寒さにワタシは目出帽の上からゴーグルも装着する。
それでも着実に進んでいき、目差す阿弥陀岳南稜の核心部P3が近づいてきた。
8時50分、P3核心部の岩峰へ。強風のなか数パーティが登攀準備に取り掛かっている。
どうやら想像以上に混雑しているようだ。
ビュービュー音の鳴る強風の中で、いったい何時間待ちになるのか・・・
10時15分、やっと私たちパーティの順番がやってきた。
ひたすらじ~っと待ち続け、身体はすっかり冷凍人間状態。でも、行くしかない!
最初にK氏ら3人、そのあとにらいちょうチーム2人、それぞれスタカットで登攀開始。
この日のP3ルンゼは所々岩が出ているも、表面は硬く氷化している。
ピッケルとアイゼンの先を氷に引っ掛けてグングン登っていく。
しかし、冷凍状態の身体を急に動かしたものだから最初は思うようにスピードが出ない。
それでも、この日は天気が良く視界良好なので登攀日和であろう。
2ピッチ目は、比較的易しい雪の付いた草付まじりの登攀がつづく。
ここでトップを交代してワタシが先に進み、稜上にポンっと出た。
P4へは左に細いバンドをトラバースして、そこからは頂上へ向かって最後の岩稜帯をひたすら登る。
ここは、ロープなしで登るが特に難しい箇所はなかった。
もう少し、もう少し・・・やっと念願の阿弥陀岳山頂に立てると思うと気持ちが昂る。
11時55分、阿弥陀岳山頂に到着。やっと念願の南稜から登攀を果たすことが出来た。
5人皆で成功の握手を交わし、山頂からの大パノラマをしばし満喫する。
厳冬期の八ヶ岳でこれほどの好天に恵まれることは珍しいだろう。
下山は中岳のコルから中岳沢を下降する。行者小屋に着いてほっと一息。
太陽に輝く真っ白な八ヶ岳の山並みをもう一度ゆっくり眺め、阿弥陀岳南稜の成功を実感する。
今年こそ必ず登る、という強い思いを抱いて挑んだ阿弥陀岳南稜。
また目標をひとつ達成出来たことを、とてもうれしく思う。
この一年は、自分たちが決めた目標を丁寧にひとつずつ達成していきたい。