新しい年を迎えて初めての三連休は、かねてより計画していた大菩薩嶺へ登る。
耐寒と厳冬期の重たい装備を担いで登るという、本格的な冬山シーズンでの第一弾である。
大菩薩嶺の積雪は出発時点では、ほとんど無いとのことであるがいつ降雪があるか分からない。
ピッケルと12本爪アイゼン必携だろう、と装備に加える。
これに厳冬期用のシュラフがかさばり、ザックはパンパンになる。
かなり重たいが、これに耐えねば冬山は登れないのだから気合いを入れて出発する。
都内から鈍行列車に揺られ、塩山駅に到着。そこからバスで30分ほどで裂石へ。
冬の間、バスはここまでしか行ってくれない。
今回はバスを降りてから上日川峠まで2時間以上かけて歩かねばならない。
さて歩き始めると雪は皆無で、気温7度と晩秋の様な雰囲気。
雪の代わりに大量の落ち葉が登山道を埋め尽くしている所を登る。
この落ち葉、時々ズボッとはまるくらいの量だから時々足を取られる。
重たいザックを担いでうんうん言いながらようやく上日川峠にあるロッジ長兵衛の屋根が見える。
あぁ、やれやれという思いと雪がまったく無いことに少し残念がる私たち。
ロッジから少し離れたところにテントを設営する。
早めの夕食を摂り、19時前に就寝準備。
さぁ、明日は早起きして大菩薩嶺登頂するぞ!
翌朝5時半に起床。外を見ると少しだが降雪があったようだ。
よしよし、少しでも雪が降らないと冬山気分が出ないから嬉しい。
空は快晴、風は無く最高の登山日和である。
昨夜の鍋の残りにうどんを入れたものを朝食に食べて身体を温める。
冬山のメニューは、やはり鍋物が美味しい。
8時45分にテント場を出発。予定より少し遅くなってしまい反省。
雪は太陽に光を浴びて、すでに溶け始めているようだ。
今日は背負子に乗らずに歩きたいという娘はロープで安全確保しながら登る。
雪がほとんど無いので、福ちゃん荘から唐松尾根を登る。
とくに問題なくどんどん先を行く。
青空の下で樹氷がひときわ美しく見える。
あと数時間で、雪も完全に溶けて消えそうだから見られて良かった。
11時過ぎ、雷岩に到着。山頂はここから10分程のところにありすぐである。
山頂よりこちらの方が展望が良いので、ここで休憩を取る。
この日は、富士山はもちろん、南アルプスも一望出来る絶好の好天。
こんなにクリアに景色が楽しめるのも冬山ならではだ。
あぁ気持ちよい…と、ゆっくり1時間昼食休憩をする。
充分休息したところで、さぁ今度は大菩薩峠に向けて下る。
なだらかな下り坂で歩きやすい。
ここも娘はロープで確保しながら歩かせる。
賽の河原まで来ると今度は介山荘まで少し登り10分で到着。
登山者は少なく静かな山歩きが続く。
アイゼンを着用することなく歩き通す。
福ちゃん荘へ下る道の途中で鹿に遭遇する。
こちらに気づいても逃げも隠れもしない。人が怖くないのか…?
10数匹はいただろう。その後、15時にテント場に無事に戻る。
もう一泊するので時間に余裕があり嬉しい。のんびりと山時間を過ごす。
夕方、徐々に冷え込んでくるので気温を見ると氷点下10℃。
夕食後、厳冬期用のシュラフに潜り込み、19時就寝する。
翌朝6時起床。外に出ると冷たい空気がキーンと肌を刺すような感じ。
氷点下15℃、この3日間で最終日が一番気温が低い。
テント撤収時、差したペグが凍ってなかなか抜けず手間取る。
ポールが、これまた凍り付いて折りたためない。厳冬期の撤収はなにかと時間がかかる。
そうこうして、8時45分にようやく下山開始する。
下山道は、とくに凍っている箇所もなく落ち葉を踏み踏み進む。
快調なペースで一気に下る。
あっという間に千石茶屋まで来る。あともう一息だ。
途中、雲峰寺というお寺に立ち寄る。石段が歴史を感じさせる佇まいだ。
その後10時40分に無事に裂石に到着する。
大菩薩の湯でゆっくり汗を流し、すっきりして帰路につく。
天候に恵まれ、素晴らしい展望を満喫出来た今回の大菩薩嶺。
雪こそ無かったものの、厳冬期らしい氷点下15度を体感出来て良かった。
雪山シーズン到来、今年も思いっきり楽しみたいと思う。