10月中旬、かねてからずっと気になっていた新潟県魚沼市にある越後駒ヶ岳へ向かう。
越後駒ヶ岳、写真でその山容を見たとき、なんて美しい山だと見取れ、これは何としても
登りたいと思いつつもなかなか実現できなかった。今回この思いがついに叶い山行に至る。
アクセスは都内から意外と良く、遠いと思っていた新潟県は関西の実家に帰るよりも近い。
上越新幹線に乗車して僅か一時間半で浦佐駅へ。ここから上越線に乗り換えて小出駅まで2駅。
登山口に選んだ枝折峠までは駅前からタクシーに乗り40分程だ。
初めて登る日本百名山の山、そして久々の百名山でもありとても楽しみである。
前日の雨がまだ残る空模様の中、枝折峠(「しおりとうげ」と読む)に着く。
下界から一気に標高1,065メートルまで上がってくると気温がグッと低く感じる。
駐車場を見ると平日のこんなお天気でも数台停まっている。
越後駒ヶ岳登山の最も人気のある季節だから、週末はもっと多いのだろう。
合羽を着て歩き始めると、紅葉が所々で始まっている。
枝折峠からはよく整備された登山道が続く。
しかし尾根通しなので時々切れ落ちている箇所もあり、雨降り後は滑るから要注意だ。
天候は徐々に回復する。
道行山を越えて、小倉山へ向かう途中で越後駒ヶ岳が目の前に姿を見せてくれた。
今まで視界が効かなかっただけに、嬉しさ倍増である。
重いザックを担いでウンウン言っていたが、天気が良くなると元気がでる。
やはり、山は晴れがいい…
小倉山で小休止した後、再び歩き出す。
特に危険な箇所もなく緩やかな道が続くので、娘はリーダーとタイトロープで繋いで所々歩かせる。
丸い形の百草ノ池が見えて、ここを過ぎると徐々に登山道は前駒に向けて急になる。
前駒を越え、今度は岩場が出てきた。
結構、急であるが岩を登る方が好きなワタシにとっては楽しい。
この岩場を抜ければ、小屋のある所に出るからもうひと踏ん張りである。
この日は風も無く、気候に恵まれここまで快適に登ってくる。
駒の小屋に到着。テント場は小屋の裏側で、見晴らし最高の場所だ。
雨で濡れたものを干し、山の美味しい空気と景色を楽しみながらしばらく休憩。
山で、こういうのんびりした時間が本当に贅沢だなぁと感じる。
少しガスが上がってきたな...と山頂のほうを見ながらまだのんびり...
ゆっくりし過ぎてこれから山頂へ向かう登高意欲が低下しそうになるので再び出発する。
案の定、ガスは山頂周辺を覆ってしまい辺りは真っ白になる。
あぁ、もっと早く頂上へ向かっておけばもっと景色を堪能できたであろうに。
と、悔やまれたが仕方ない。さぁ、最後のひと踏ん張りだと娘を励ましながら登る。
越後駒ヶ岳山頂2,003メートルに到着。
人生初の越後駒ヶ岳は真っ白で展望は望めなかったが、山頂を無事に踏めて嬉しい。
せっかくなので、晴れを祈りながら山頂でしばらく待機する。
小一時間ほど過ぎて段々身体も冷えてきたので、展望は諦めてテント場まで降りる。
残念だが、仕方ない。
夕食を終えて就寝準備を始めた18時過ぎ。外はすっかり陽が落ちて暗い。
テントの外へ出るとそこには星空が広がっており、視界の下側には下界の夜景が遠くに
小さく見える。
このテント場は、その時々の時間でいろんな景色が楽しめて本当に素晴らしい。
越後駒ヶ岳は日帰りで登る登山者が多いようだが、この景色を知ったらそれはもったいない!
ここに一泊して、この越後駒ヶ岳の良さをより深く感じるべきだとワタシは思う。
翌朝4時起床。5時を過ぎて徐々に太陽が出てくると明るくなり雲海がよく見える。
気温は0度、無風でそれほど寒く感じない。天気予報では曇りと言っていたが、今日は快晴になりそうだ。
この日は幸運なことに、滝雲を見る機会に恵まれる。
名の通り、本当に滝のように雲が流れている。
雲海は見る機会が多いのだが、この滝雲を見るのは初めてだ。
多くの気象条件が揃わなければ滝雲にはお目にかかれないらしい。
その滝雲の美しさに、しばしボーッと見とれてしまう。
越後駒ヶ岳はこの滝雲が有名だそうだ。
早朝の素晴らしい時間を充分に満喫して、7時にテント場を出発する。
今日は、枝折峠ではなく駒の湯温泉へ下山する。
やはり、山から下りたらゆっくり温泉に入ってさっぱりしたいもの。
下山のコースタイムは5時間と少々長丁場、よし頑張るぞ!
紅葉している木々を見ながら歩き続ける。
小倉山で分岐、私たちは駒の湯温泉方面で向かう。
歩き出してまもなく、傾斜が急になってくる。
途中、一瞬「おっ、ここはかなり要注意」とかなりザレた箇所に出る。
しかし、うまい具合に木の根っこが出ていて掴みながら向こう岸まで行く。
この後、鎖場が一カ所あるが、雨降り後でもなければ大丈夫である。
そんな急な道を下り始めて1時間が過ぎ、栗ノ木の頭と思われる場所に出る。
ここまで来れば、あとはひたすら下り道を延々と歩くのみだ。
この駒の湯温泉と小倉山をつなぐ道は、歩くとよく分かるのだがなんとも素晴らしい。
ブナ林が多く明るくて人工物が一切なく、昔からの自然の登山道がそのまま残っている。
森の妖精が本当に出てきそうな、そんな道だ。
すれ違った登山者は僅か二人。枝折峠へつながる道とは反対の静けさである。
こんな素敵な山歩きが出来て、幸せ気分のワタシ。
そしてキノコにもたくさん出会える。こんな可愛らしいものも。
5時間ずっと下り続けてワタシの足も疲れて来た頃、駒の湯温泉の屋根が見える。
最後の吊り橋を渡ると、楽しかった山歩きも終わり。
あぁ、よく歩いたな、あぁ楽しかったな、と笑顔で温泉に向かう。
天候に恵まれ、越後駒ヶ岳を充分に満喫出来た今回の山行。
次回は是非越後駒ヶ岳から中岳、八海山と越後三山を縦走して、もっとこの地域の山の魅力を感じたい。
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