らいちょうのあし日記

山登りが大好きで今日も日本のどこかで歩いています

残雪期・岩手山

2019年06月03日 | 縦走

2019年のG.Wは10連休とあって、かねてより行ってみたかった東北の山々に向かう。

安全で且つ登り甲斐のある山は…と調べていたところ岩手山が最適かと判明。
この時期らしい残雪の山であるが特に危険な箇所もなさそうだ。
そして何よりも独立峰ならではの眺望が期待出来る。
岩手山登頂を目指して一路岩手県に向かう。


レンタカーで岩手山の登山口である馬返しキャンプ場に到着。
すでに何張りかのテントがあるが、非常に広い敷地のため開放感たっぷり。
フキノトウが随所に生えており、遅い春を感じるも食欲が湧く。
私たちも適当な場所を見つけてテント設営。明日に備えてゆっくり過ごす。


夕食には久々に白米を炊き、焼き肉とお味噌汁も作る。
ご飯は、やはりα米よりも鍋で炊いた米の方が断然美味しい!
食欲もわいてモリモリ食べる。
19時半就寝。


翌朝4時半起床、6時半出発。
この日は素晴らしいお天気で絶好の登山日和だ。
初めての岩手山、なんとしても頑張って登頂したい。
残雪期で且つ初めての山の為、アイゼンとワカン、両方を装備する。
重いザックを気合いを入れて担ぐ。


足場の悪い露岩地が続く。活火山の山らしい光景である。
この辺りはまだまだ緩い傾斜で、それ程苦にはならない。
この先、残雪が現れ始める頃傾斜は徐々に角度を増す。


五合目を過ぎた辺りだろうか、かなりの急登になる。
しかし、ワカン、アイゼン共に使用しないでキックステップで登っていく。
娘はロープで確保されながら、順調なペースで登っている。
途中休憩を一度取り行動食を摂ってから、先ずは八合目避難小屋を目指す。
振り返ると、麓の町が小さく見える。


ようやくなだらかな雪面となり避難小屋が行く先に見えてきた。
この辺りは、夏だとお花畑が広がっている場所らしい。
娘はついにここまで一度も背負子に乗ることなく登り通す。


11時40分、八合目避難小屋に到着。
登ってきた登山者は小屋前で日向ぼっこしながらくつろいでいる。
おそらく、殆どの人たちが日帰り山行であろうかと思われる。
岩手山は日帰りとなるとなかなかハードだろう。
ここで昼食休憩を取り、13時15分に再び山頂を目指して出発する。
夏道と異なり、雪上をショートカットしながらぐんぐん上を目指す。
残雪期ならではの、登山道を気にせずどこでも歩けるのが嬉しい。



14時15分、岩手山頂上に到着。
なんという素晴らしい山頂!独立峰とあって、ここからの眺望は抜群だ。
東北の山は詳しくないが、早池峰山や鳥海山、八幡平は分かった。
山頂でご一緒した方は、東北の山は北アルプスに比べて断然に人が少なく
こんな素敵な景色をゆっくり堪能出来るのは素晴らしい!と絶賛されていた。
確かに、私たちも子連れで登ってきたが自分たちのペースで歩ける。
登山者が多いと何かと気を遣うが、少ないと気兼ねせず登られる。


さすがに疲れた娘は背負子に乗るが、最後にはまた自分の足で歩く。
岩手山登頂は今後の登山において、子供にとって自信に繋がるだろう。


15時、八合目でヴィバークする。
避難小屋から少し離れた場所に、風除けの雪のブロックを積み上げる。
夜間どんな強風がくるか分からないからだ。
以前、強風にテントが押しつぶされポールで突き破られた経験があるので、
テント設営時はいつも風の流れが気になる。


翌朝は5時起床。テント内の気温はマイナス2度。
それほど冷え込んではいない。
外を見ると雨はまだ降っていないがガスっていて殆ど視界が効かない。
大きく天気が崩れる前に下山したい。早々に朝食を済ませ撤収する。
7時過ぎ、下山開始。
こういう時こそ、本当に慎重に進まないとルートを見落としやすい。
そう分かって歩いていても、一度だけだがルートを見失う。
途中で登り返して、何とかルートを修正することが出来た。
そうこうしているうちに、雨脚は強まりぬかるんだ泥道でワタシは思いっきり滑る。
もうザックも合羽も泥んこ、あぁ昨日までの快晴はどこへやら…

10時、無事に登山口である馬返しキャンプ場に到着。
雨は激しく降り続いていたが、目標を達成出来た私たちは嬉しくて気分は明るい。


その後、岩手県に滞在中はどこからでも岩手山が大きくそびえ立っているのが見えた。
山の存在感をこんなに感じさせる岩手山の魅力は偉大だ。
今度は八幡平から縦走しようと、目下計画中である。






 


2019年登り始め・大菩薩嶺

2019年01月15日 | 縦走

新しい年を迎えて初めての三連休は、かねてより計画していた大菩薩嶺へ登る。
耐寒と厳冬期の重たい装備を担いで登るという、本格的な冬山シーズンでの第一弾である。
大菩薩嶺の積雪は出発時点では、ほとんど無いとのことであるがいつ降雪があるか分からない。
ピッケルと12本爪アイゼン必携だろう、と装備に加える。
これに厳冬期用のシュラフがかさばり、ザックはパンパンになる。
かなり重たいが、これに耐えねば冬山は登れないのだから気合いを入れて出発する。


都内から鈍行列車に揺られ、塩山駅に到着。そこからバスで30分ほどで裂石へ。
冬の間、バスはここまでしか行ってくれない。
今回はバスを降りてから上日川峠まで2時間以上かけて歩かねばならない。
さて歩き始めると雪は皆無で、気温7度と晩秋の様な雰囲気。
雪の代わりに大量の落ち葉が登山道を埋め尽くしている所を登る。
この落ち葉、時々ズボッとはまるくらいの量だから時々足を取られる。


重たいザックを担いでうんうん言いながらようやく上日川峠にあるロッジ長兵衛の屋根が見える。
あぁ、やれやれという思いと雪がまったく無いことに少し残念がる私たち。
ロッジから少し離れたところにテントを設営する。
早めの夕食を摂り、19時前に就寝準備。
さぁ、明日は早起きして大菩薩嶺登頂するぞ!



翌朝5時半に起床。外を見ると少しだが降雪があったようだ。
よしよし、少しでも雪が降らないと冬山気分が出ないから嬉しい。
空は快晴、風は無く最高の登山日和である。
昨夜の鍋の残りにうどんを入れたものを朝食に食べて身体を温める。
冬山のメニューは、やはり鍋物が美味しい。



8時45分にテント場を出発。予定より少し遅くなってしまい反省。
雪は太陽に光を浴びて、すでに溶け始めているようだ。


今日は背負子に乗らずに歩きたいという娘はロープで安全確保しながら登る。
雪がほとんど無いので、福ちゃん荘から唐松尾根を登る。
とくに問題なくどんどん先を行く。


青空の下で樹氷がひときわ美しく見える。
あと数時間で、雪も完全に溶けて消えそうだから見られて良かった。


11時過ぎ、雷岩に到着。山頂はここから10分程のところにありすぐである。
山頂よりこちらの方が展望が良いので、ここで休憩を取る。
この日は、富士山はもちろん、南アルプスも一望出来る絶好の好天。
こんなにクリアに景色が楽しめるのも冬山ならではだ。
あぁ気持ちよい…と、ゆっくり1時間昼食休憩をする。


充分休息したところで、さぁ今度は大菩薩峠に向けて下る。
なだらかな下り坂で歩きやすい。
ここも娘はロープで確保しながら歩かせる。


賽の河原まで来ると今度は介山荘まで少し登り10分で到着。
登山者は少なく静かな山歩きが続く。
アイゼンを着用することなく歩き通す。


福ちゃん荘へ下る道の途中で鹿に遭遇する。
こちらに気づいても逃げも隠れもしない。人が怖くないのか…?
10数匹はいただろう。その後、15時にテント場に無事に戻る。
もう一泊するので時間に余裕があり嬉しい。のんびりと山時間を過ごす。
夕方、徐々に冷え込んでくるので気温を見ると氷点下10℃。
夕食後、厳冬期用のシュラフに潜り込み、19時就寝する。


翌朝6時起床。外に出ると冷たい空気がキーンと肌を刺すような感じ。
氷点下15℃、この3日間で最終日が一番気温が低い。
テント撤収時、差したペグが凍ってなかなか抜けず手間取る。
ポールが、これまた凍り付いて折りたためない。厳冬期の撤収はなにかと時間がかかる。
そうこうして、8時45分にようやく下山開始する。


下山道は、とくに凍っている箇所もなく落ち葉を踏み踏み進む。
快調なペースで一気に下る。
あっという間に千石茶屋まで来る。あともう一息だ。


途中、雲峰寺というお寺に立ち寄る。石段が歴史を感じさせる佇まいだ。
その後10時40分に無事に裂石に到着する。
大菩薩の湯でゆっくり汗を流し、すっきりして帰路につく。

天候に恵まれ、素晴らしい展望を満喫出来た今回の大菩薩嶺。
雪こそ無かったものの、厳冬期らしい氷点下15度を体感出来て良かった。
雪山シーズン到来、今年も思いっきり楽しみたいと思う。


 

 


越後駒ヶ岳~紅葉と滝雲~

2018年10月30日 | 縦走

10月中旬、かねてからずっと気になっていた新潟県魚沼市にある越後駒ヶ岳へ向かう。
越後駒ヶ岳、写真でその山容を見たとき、なんて美しい山だと見取れ、これは何としても
登りたいと思いつつもなかなか実現できなかった。今回この思いがついに叶い山行に至る。


アクセスは都内から意外と良く、遠いと思っていた新潟県は関西の実家に帰るよりも近い。
上越新幹線に乗車して僅か一時間半で浦佐駅へ。ここから上越線に乗り換えて小出駅まで2駅。
登山口に選んだ枝折峠までは駅前からタクシーに乗り40分程だ。
初めて登る日本百名山の山、そして久々の百名山でもありとても楽しみである。


前日の雨がまだ残る空模様の中、枝折峠(「しおりとうげ」と読む)に着く。
下界から一気に標高1,065メートルまで上がってくると気温がグッと低く感じる。
駐車場を見ると平日のこんなお天気でも数台停まっている。
越後駒ヶ岳登山の最も人気のある季節だから、週末はもっと多いのだろう。
合羽を着て歩き始めると、紅葉が所々で始まっている。


枝折峠からはよく整備された登山道が続く。
しかし尾根通しなので時々切れ落ちている箇所もあり、雨降り後は滑るから要注意だ。


天候は徐々に回復する。
道行山を越えて、小倉山へ向かう途中で越後駒ヶ岳が目の前に姿を見せてくれた。
今まで視界が効かなかっただけに、嬉しさ倍増である。
重いザックを担いでウンウン言っていたが、天気が良くなると元気がでる。
やはり、山は晴れがいい…


小倉山で小休止した後、再び歩き出す。
特に危険な箇所もなく緩やかな道が続くので、娘はリーダーとタイトロープで繋いで所々歩かせる。
丸い形の百草ノ池が見えて、ここを過ぎると徐々に登山道は前駒に向けて急になる。


前駒を越え、今度は岩場が出てきた。
結構、急であるが岩を登る方が好きなワタシにとっては楽しい。
この岩場を抜ければ、小屋のある所に出るからもうひと踏ん張りである。
この日は風も無く、気候に恵まれここまで快適に登ってくる。


駒の小屋に到着。テント場は小屋の裏側で、見晴らし最高の場所だ。
雨で濡れたものを干し、山の美味しい空気と景色を楽しみながらしばらく休憩。
山で、こういうのんびりした時間が本当に贅沢だなぁと感じる。
少しガスが上がってきたな...と山頂のほうを見ながらまだのんびり...
ゆっくりし過ぎてこれから山頂へ向かう登高意欲が低下しそうになるので再び出発する。


案の定、ガスは山頂周辺を覆ってしまい辺りは真っ白になる。
あぁ、もっと早く頂上へ向かっておけばもっと景色を堪能できたであろうに。
と、悔やまれたが仕方ない。さぁ、最後のひと踏ん張りだと娘を励ましながら登る。


越後駒ヶ岳山頂2,003メートルに到着。
人生初の越後駒ヶ岳は真っ白で展望は望めなかったが、山頂を無事に踏めて嬉しい。
せっかくなので、晴れを祈りながら山頂でしばらく待機する。
小一時間ほど過ぎて段々身体も冷えてきたので、展望は諦めてテント場まで降りる。
残念だが、仕方ない。


夕食を終えて就寝準備を始めた18時過ぎ。外はすっかり陽が落ちて暗い。
テントの外へ出るとそこには星空が広がっており、視界の下側には下界の夜景が遠くに
小さく見える。
このテント場は、その時々の時間でいろんな景色が楽しめて本当に素晴らしい。
越後駒ヶ岳は日帰りで登る登山者が多いようだが、この景色を知ったらそれはもったいない!
ここに一泊して、この越後駒ヶ岳の良さをより深く感じるべきだとワタシは思う。


翌朝4時起床。5時を過ぎて徐々に太陽が出てくると明るくなり雲海がよく見える。
気温は0度、無風でそれほど寒く感じない。天気予報では曇りと言っていたが、今日は快晴になりそうだ。


この日は幸運なことに、滝雲を見る機会に恵まれる。
名の通り、本当に滝のように雲が流れている。
雲海は見る機会が多いのだが、この滝雲を見るのは初めてだ。
多くの気象条件が揃わなければ滝雲にはお目にかかれないらしい。
その滝雲の美しさに、しばしボーッと見とれてしまう。
越後駒ヶ岳はこの滝雲が有名だそうだ。


早朝の素晴らしい時間を充分に満喫して、7時にテント場を出発する。
今日は、枝折峠ではなく駒の湯温泉へ下山する。
やはり、山から下りたらゆっくり温泉に入ってさっぱりしたいもの。
下山のコースタイムは5時間と少々長丁場、よし頑張るぞ!
紅葉している木々を見ながら歩き続ける。


小倉山で分岐、私たちは駒の湯温泉方面で向かう。
歩き出してまもなく、傾斜が急になってくる。
途中、一瞬「おっ、ここはかなり要注意」とかなりザレた箇所に出る。
しかし、うまい具合に木の根っこが出ていて掴みながら向こう岸まで行く。
この後、鎖場が一カ所あるが、雨降り後でもなければ大丈夫である。


そんな急な道を下り始めて1時間が過ぎ、栗ノ木の頭と思われる場所に出る。
ここまで来れば、あとはひたすら下り道を延々と歩くのみだ。
この駒の湯温泉と小倉山をつなぐ道は、歩くとよく分かるのだがなんとも素晴らしい。
ブナ林が多く明るくて人工物が一切なく、昔からの自然の登山道がそのまま残っている。
森の妖精が本当に出てきそうな、そんな道だ。
すれ違った登山者は僅か二人。枝折峠へつながる道とは反対の静けさである。
こんな素敵な山歩きが出来て、幸せ気分のワタシ。


そしてキノコにもたくさん出会える。こんな可愛らしいものも。


5時間ずっと下り続けてワタシの足も疲れて来た頃、駒の湯温泉の屋根が見える。
最後の吊り橋を渡ると、楽しかった山歩きも終わり。
あぁ、よく歩いたな、あぁ楽しかったな、と笑顔で温泉に向かう。

天候に恵まれ、越後駒ヶ岳を充分に満喫出来た今回の山行。
次回は是非越後駒ヶ岳から中岳、八海山と越後三山を縦走して、もっとこの地域の山の魅力を感じたい。

 




白馬岳縦走

2018年09月25日 | 縦走

9月の3連休は、北アルプス・白馬岳を縦走する。
「本格的な北アルプスの山を登りたい。且つ、4歳の娘も歩くことが可能な山へ」
槍・穂高のような岩場がある山はまだ無理だ。蝶ヶ岳はすでに2度登った。
五竜・唐松縦走は連休は混みそうだ…色々と思案した結果が白馬岳縦走。
思えば、白馬岳は10年ぶりくらいだ。よし、頑張って行ってみよう。



特急で約4時間乗車して、ようやく白馬駅に到着。バスに乗り換えて栂池高原へ。
さらにゴンドラ・リフトを乗り継いで、やっと登山口に到着。
移動だけで半日もかかるのだ、白馬は結構遠い。
14時、この日の幕営地予定である大池を目指して出発する。


紅葉と青空、気持ちよい爽やかな気候。なんという素晴らしい登山日和!
視界に入ってくる光景すべてが、久々に北アルプスに来たワタシを歓迎してくれているような思いになる。


天狗原は木道が続く。木道の整備工事が行われていた。
娘が歩くに問題ない場所であるが、如何せん出発時間が遅かった為、背負子に乗せて先を行く。
ここから大池まであと2時間だ。


天狗原を過ぎると今度は安山岩のゴロゴロした道が出てくる。
ここが少々歩きにくい。また結構な登り道であり、荷の重いワタシにとっては修行道のようだ。
夕方近い時間のせいだろう、登山者は私たち以外誰もいない。
この後乗鞍岳を通過した時、すでに16時半を回っている…



ようやく眼下に大池が見えてくると、少しほっとする。
それにしてもここはいつ来ても美しい場所である。
白馬大池は風吹大池に次ぐ北アルプスで2番目に大きい池だそう。
山の上にこんな立派な池があることに驚く娘。


17時過ぎ、白馬大池山荘に到着。かなり遅めの到着となったが、とりあえずここまで無事に歩けた。
さて白馬大池のテント場は、予想以上に混んでいてどこに張ろうものかとウロウロ…
池の際辺りまでくると少し場所が空いている。平坦でなかなか良さそうである。
時間も遅くなるといけないので、ここにテント設営。
夜になると辺りは静かで、月明かりが池を照らしその幻想的な風景がテントから見える。
お隣テントさまとも少し離れているから、狭っ苦しい感じもない。
いい場所に幕営出来てうれしい。
初日から、そこそこ歩いたので夕食を済ませて早々に就寝する。



翌朝、6時起床。今日も快晴、素晴らしい秋晴れである。
こうなると、もう早く先を行きたくなるワタシ。ウキウキ気分で8時出発。
大池を後ろに見下ろしながら、改めてその美しさを感じる。


安全な箇所は、なるべく娘を背負子から降ろして自分の足で歩かせる。
この日は、絶好の登山日和でアルプスの雄大な展望を満喫しながら山頂を目指す。
この景色、この空気、あぁアルプス最高だ。


白馬岳山頂に到着、12時40分。
久しぶりの北アルプス100名山登頂で嬉しさと共に、今後の登頂意欲が高まるワタシ。
記念撮影をして、白馬山荘に下る。


山荘で1時間ちかくゆっくり昼食休憩を取った後、この日の幕営予定地へ向かう。
まだまだ歩けそうな時間ではあるが、まぁテント場でゆっくり過ごす時間も大事だろう。
最近は、過密スケジュールは極力避けて余分に1日足す位の行程で行くようにしている。
その方が、その山行をより充実させることが出来ると分かったからだ。


頂上宿舎のテント場を上から眺める。
こじんまりしてテント場に、まぁまぁの数のテントがすでに張られている。
少し窪地のような立地は、風よけにいいのかもしれない…
この頃、少しずつガスってきて空は暗くなってくる。
青空のうちに登頂出来て良かったね、とテント内でゆっくりお酒を飲みながら過ごす。

 


最終日、4時半起床。太陽は雲に隠れてスッキリしない天気である。
6時50分、下山開始する。
9月のこの時期は、雪渓が一番少ないのだろう。しばらく夏道を下り続ける。
岩室跡まで急な下り道が続き、岩を落とさないように注意する。
そして8時15分。突然、左の登山靴の底がバカッと外れた。
これにはかなりショックを受ける。でもよくよく考えるとこの靴は8年近く使っている。
もう充分使い切ったのだな、と靴に感謝である。
細引きと救急用のテープで応急処置をして、なんとか下山する。


猿倉に11時到着。
今回は、靴のこともありここまで無事に下山出来て良かったといつも以上に思う。
久しぶりの白馬岳縦走で、北アルプスの素晴らしさを再認識出来た今回の山行。
これからもずっと登り続けようと思う。

 

 


北海道・大雪山~旭岳~

2018年06月11日 | 縦走

2018年のゴールデンウィークはかねてより計画していた大雪山の旭岳から黒岳への縦走を目指す。
天候さえ良ければ積雪期でも比較的安全に登れそうで、登山者も北アルプスに比較すれば少ない。
東京から北海道まで遠いとは言え、飛行機を使えばわずか90分程度の移動時間であるから気にならない。
無雪期の登頂は何度か経験があるが、積雪期は今回が初めてである。
それ故に大雪山系の山々がどんな景色を見せてくれるのだろうと、ワクワクしながら出発する。


出発当日の朝、5メートル先の視界がまったく効かないホワイトアウトで足止めをくらう。
目印となるようなものがなくルートが不明瞭なので、このような天候だと迷う危険がある。
まだかまだか…ガスの晴れない空を何度も眺めながら過ごすこと半日…
正午過ぎ、雲の合間から青空が見え始めるとガスの切れ目から旭岳への稜線が現れる。
よし、今のうちだ急げ!と待機していたテントを撤収して登る準備を始める。


登山開始時刻は13時、どこまで行けるか分からないがまずは旭岳へ向けて出発。
時々ズボ足で股下まではまって抜けなくなり、これにかなりの時間と労力を費やされる。
ワカンがあれば、こんなに大変な目に遭わずにすんだであろう。
ピッケルで先を突き、雪の状態を確認しながら進む。


登り始めて1時間経過、7合目辺りまでくると雪解けして火山礫(かざんれき)の夏道が出てくる。
背負子に乗っていた娘を下ろして一緒に歩かせる。


再び残雪が出てきたので、娘を背負子に乗せて歩くリーダー。
稜線では風も強いため、それを遮るために背負子用のザックカバーを掛けて防風対策する。
これで、寒がっていた娘も落ち着いた様子。
それにしても、旭岳山頂は思っていたよりも遠い…


ガスはすっかり消えて、周囲の山がはっきり見渡せる。
どこまでも続く真っ白な山々を見ていると、大雪山系が果てしなく広がっている様に見える。


ニセ金庫岩まで来ると、再び火山礫の夏道が現れる。
このゴロゴロ道が意外と歩きにくい。
雪解け後で、ぬかるんでいる箇所も多く快適な登山道とは言い難い。
しかし、高度が上がるにつれて見えてくる大雪山系の真っ白な山々が疲れを忘れさせてくれる。


夕方、北海道最高峰・旭岳山頂に到着。山頂は広い。
山の頂きに立つ私の目に映るのはどこまでも続く白い山のみ。
じっと眺める程、北海道の大きな大地を感じる。
ここまで登れて良かった!と本当に嬉しく家族全員が笑顔で喜びを分かち合う。
記念写真を撮ると、あまりゆっくりもしていられない。
日の入りまでに落ち着かねば…
本来ならばこの日のうちに黒岳石室まで行き、翌日下山の計画であるが今回は断念せざるを得ない。
登ってきた道を戻ることにする。


下りは早い、早い。
時々踏み抜くも、ザクザクと下りていける。今回は一度もアイゼンを使うことなく歩く。


適度な傾斜と広い場所のところで、持参していたヒップソリを使って娘は一気に滑り降りる。
これがかなり楽しいらしく、何度も途中で転んでも、もっともっと!とずっとソリ滑りをやる娘。
それもそうだ、こんな絶景の中で貸し切りで滑れるのは、ここ北海道くらいだろう。
大自然を満喫出来たようで、嬉しい。
カムイミンタラ、ここは本当に「神々が遊ぶ庭」だなと今回の山行で感じる。

旭岳から黒岳縦走こそ出来なかったが、本州の山にはない雄大な景色を思う存分堪能出来た。
登山者もほとんどなく、静かな山登りの時間を楽しめるという贅沢な山行になった。
近いうちに、また登りたい。