ここはフィリピン。
首都マニラから車で3時間のところにある原子力発電所。
なのに子ども達が両手を広げて入っていける、不思議な場所。
しかも私服のまま。
ちょっと、ちょっと、大丈夫なの?
中に入ると、どでかい配管がたくさん並んでいる。
これは海水を引き上げて原子炉を冷却するための配管。
つまりこの地下は海らしい。
この原発はウェスティングハウス社製で…圧力を加えて出てきた蒸気がタービンに行く加圧水型…
原子炉で放射能を帯びた水が直接タービンに行かないので、比較的放射能漏れが少なく…
電力は62万キロワットで…
ここから来た水がこうこうこう来て、ここから出ていって…
そうした説明を、電力公社の職員が懇切丁寧にしてくれる。
観光客に。あるいは課外授業でやってきた学生達に。
原子炉だって見せてくれる。
もちろん私服のまま。
通路から見えにくければ、作業台に上がってもいいよ、と笑顔で手招きまでしてくれる。
原子炉には機器がいっぱい。
目を凝らして見ても、何が何だかサッパリわからない。
ここで、「核反応」ってやつが起こるんだ。
それをコントロールしてるのが、この部屋。
テレビにもよく出てくる「制御室」。
こんなにたくさんのスイッチに囲まれて、まるで宇宙船みたいだ。
近くには、こんなにのどかな村がある。
バタアン半島の西海岸。
回りには国立公園あり、ウミガメの産卵所あり、という自然豊かな一帯。
だからバタアン原発ができたとき、住民は血眼になって反対したんだ。
はじめはゲンパツについて何も知らされなかったため、
怪しい…と思った人が自分たちで勉強しはじめた。
そして4年も5年もかかって情報を広め、反対する仲間を集めていった。
それもマルコス独裁政権の時代。
ちょっとでも政権批判したら、警察が飛んできて捕まえられる時代。
たくさんの人が捕まり、殺され、行方不明になった。
それでも運動は広がり、1985年に民衆の怒りが爆発。
試験運転を阻止するための3日間ストライキが、半島をあげて決行された。
住民は二手に分かれて、3日間ひたすら歩いた。
街はどこもガランドウになった。つまりゴーストタウン。
そして3日目に二つのデモ隊は合流し、
5万人の群衆がワーーーーーッとなだれ込んで、待ち構えていた戦車をもぶっとばした。
マルコスもびっくり。
民衆はその勢いに乗って、翌年ついにピープル・パワー革命を起こしてマルコス政権を倒したんだ。
(非核バタアン運動の皆さん)
怒りのパワーってのは、スゴい。
だけどゲンパツ&マルコスを倒せたのは、それだけじゃなかったみたい。
市民運動するにはコツがあるんですよ、コツが。
っていう話を、明日書くことにします。
ちなみにバタアン原発ミュージアムは入場料激安(数十~数百円)なので、フィリピン旅行の際は是非☆
初めまして。ツイッターからおじゃましました。みやびと申します。
バタアン原発ミュージアム、フィリピンにそういうのがあるんですかー?とてもビックリしました。
しかも
あのマルコス政権下で、原発のことを自ら調べ、アクションを起こした人達がいたこと。とても感動しました。
そうそう!その運動にはコツがあったのですね!
突然おじゃましてしまったのですが……ありがとうございました。
みやびこと
鎌田雅彦
http://twitter.com/miyabi_street