フィリピンの南部、ミンダナオ島にジェネラル・サントスという街がある。
マグロの水揚げで有名な街。
市民のほとんどがマグロに関わる仕事をしているという。
刺身嫌いの私にはあまり関心のない「マグロ」ではあるが、近頃マグロの乱獲が世界的なニュースになっていることを思うと、日本人としてはそう知らない顔もしていられない。
マグロが揚がる漁港は、通常一般人は立ち入り禁止になっている。
私の場合は幸いICANの手配のおかげで敷地内に入ることができ、「ビデオは禁止」という条件つきで撮影も許された。しかし何にせよ、こういった基本的にあまり治安が良くない場所で一眼レフを持ち出そうというのだから、内心私の肝っ玉は、興奮半分、ビクビクと音を立てて震えていた。
漁港には、どでかいマグロがデン!デン!!デデン!!!と勢いよく並べられていた。
大きいもので約80キロ。その銀色に艶めくボティからは、まだ大海原を波を切って泳ぎ回っていた数時間前の荒々しい生気が、心持ちひんやりした風とともに伝わってくる。
もし私がマグロだったら、今はどんな心境なんだろう。
潔く生き、潔く殺され、「観念・・・」ただただそんな心境だろうか。
青白い大きな目玉を眺めながら思う。
恐る恐るカメラを取り出し、マグロとその周辺にいる人達にレンズを向けた。
「カメラマンかい?どれでも好きなものを撮りなよ。」
気さくなおじさんが笑顔で目の前のマグロを指差した。
「ヘイ、僕を撮ってよ!こっちこっち!」
20歳すぎ位の若い兄ちゃんが手招きをする。
マグロを担いでべったりと濡れたTシャツに、仕事の割には華奢そうな身体のラインが透けて見える。
こんがり焼けた肌に白い歯がまぶしく映り、そのくったくない笑顔に私はホッと息を吹き返した。
ところで、こうした場所で働いている人達は、街の中でも比較的貧しい家の人達だ。
一日の給料はわずか150ペソほど(約360円)。
数年前までは児童労働も行われていたらしい。
ミンダナオ島はDOLLが経営する広大なバナナ園があることでも有名だが、労働者の多くは収穫期にだけ雇われ、農薬や収穫方法が決して安全ではない環境で働かされているのだと聞く。
収入は一時的でありながら充分でないため、貧しい生活が改善されることはない。
私たちが好んで食べる外国産のマグロやバナナの背景に、彼らの顔がある。
それはドでかいマグロを汗水流して担ぎ、 極わずかな給料に耐え、皆ではないにしろ突然現れた外国人に笑顔で答えてくれる、オープンマインドな男たちだ。
今後マグロやツナを前に「いただきます」をするときには、彼らへの感謝も同時に込めよう。
彼らの生活が少しでも豊かになることを願いながら。
マグロの水揚げで有名な街。
市民のほとんどがマグロに関わる仕事をしているという。
刺身嫌いの私にはあまり関心のない「マグロ」ではあるが、近頃マグロの乱獲が世界的なニュースになっていることを思うと、日本人としてはそう知らない顔もしていられない。
マグロが揚がる漁港は、通常一般人は立ち入り禁止になっている。
私の場合は幸いICANの手配のおかげで敷地内に入ることができ、「ビデオは禁止」という条件つきで撮影も許された。しかし何にせよ、こういった基本的にあまり治安が良くない場所で一眼レフを持ち出そうというのだから、内心私の肝っ玉は、興奮半分、ビクビクと音を立てて震えていた。
漁港には、どでかいマグロがデン!デン!!デデン!!!と勢いよく並べられていた。
大きいもので約80キロ。その銀色に艶めくボティからは、まだ大海原を波を切って泳ぎ回っていた数時間前の荒々しい生気が、心持ちひんやりした風とともに伝わってくる。
もし私がマグロだったら、今はどんな心境なんだろう。
潔く生き、潔く殺され、「観念・・・」ただただそんな心境だろうか。
青白い大きな目玉を眺めながら思う。
恐る恐るカメラを取り出し、マグロとその周辺にいる人達にレンズを向けた。
「カメラマンかい?どれでも好きなものを撮りなよ。」
気さくなおじさんが笑顔で目の前のマグロを指差した。
「ヘイ、僕を撮ってよ!こっちこっち!」
20歳すぎ位の若い兄ちゃんが手招きをする。
マグロを担いでべったりと濡れたTシャツに、仕事の割には華奢そうな身体のラインが透けて見える。
こんがり焼けた肌に白い歯がまぶしく映り、そのくったくない笑顔に私はホッと息を吹き返した。
ところで、こうした場所で働いている人達は、街の中でも比較的貧しい家の人達だ。
一日の給料はわずか150ペソほど(約360円)。
数年前までは児童労働も行われていたらしい。
ミンダナオ島はDOLLが経営する広大なバナナ園があることでも有名だが、労働者の多くは収穫期にだけ雇われ、農薬や収穫方法が決して安全ではない環境で働かされているのだと聞く。
収入は一時的でありながら充分でないため、貧しい生活が改善されることはない。
私たちが好んで食べる外国産のマグロやバナナの背景に、彼らの顔がある。
それはドでかいマグロを汗水流して担ぎ、 極わずかな給料に耐え、皆ではないにしろ突然現れた外国人に笑顔で答えてくれる、オープンマインドな男たちだ。
今後マグロやツナを前に「いただきます」をするときには、彼らへの感謝も同時に込めよう。
彼らの生活が少しでも豊かになることを願いながら。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます