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DAZN観戦 2019年J2リーグ第29節 モンテディオ山形vs栃木SC

2019-08-27 17:10:25 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山形の記事はこちら(22節・京都戦)
※前回の栃木の記事はこちら(24節・柏戦)

グラウンド内での規律。

今季から栃木の監督を務めている田坂和明氏。
テクニカルエリアに立っている際も、常にスーツを身に纏いチームを見守るその姿は、規律に厳格な指揮官という雰囲気を醸し出しています。(流石に猛暑の時期はワイシャツ姿でしたが)
大分での監督時代(2012~2015年途中)も、チームを纏め上げる際はクラブハウスでの生活から厳しい規律を持ち込む事で果たしていったという話を聞きます。

今季栃木でそれが実施されているかどうかは不明ですが、上位クラブとの地力の差は如何ともしがたく、ここまでシーズン4勝と低調な成績。
ある意味残留争いの主役的存在になってしまっているここまでの栃木であり、近況は4試合連続で引き分け。
下位クラブだけに「勝ち点1をもぎ取るしぶといサッカー」と評されがちですが、2点リードを追い付かれた27節・京都戦など、勿体無い展開を演じてしまっているのも確かです。まあこの試合はボール保持で圧倒されていたので追い付かれたのは当然といえば当然でしたが

残留を果たすための補強は積極的で、前回述べた乾・瀬川・三宅・キムヒョンに加え、ブラジルのクラブからユウリをレンタルで獲得。
そして早速ボランチとしてスタメン起用しているように、即効性を期待されているのは確かでしょう。
今日でスタメン2試合目ですが、残念ながらこの日はその効果は表れていませんでした。

試合が始まるやいなや、早くも流れが山形に傾きます。
開始1分で左サイドからのコーナーキックを得ると、キッカー・中村のクロスがクリアされた後二次攻撃が開始されます。
右センターバックの加賀が中央をドリブルで進み、左に残っていた中村へパス。
その中村の再びのクロスはファーサイドへ上がり、合わせたのは守りの要・栗山でした。
ヘディングシュートはループ軌道を描いて逆サイドのゴールネットに突き刺さる、ベテランらしい味わいのあるゴールで山形が先制しました。

開始早々ビハインドの展開になってしまった栃木。
その後大黒のポストプレイを軸に攻め上がり、クロスを何度か上げますがシュートまではいけず。
そしてその攻撃も、前半10分で打ち止めとなります。

以降は山形の前線プレスに対して四苦八苦するビルドアップ、というのが主たる姿。
センターバックの3人、乾・藤原・メンデスは山形のプレスに完全に封じ込まれ、その一列前の選手のサポートも薄く中々ビルドアップの出口を作れません。
メンデスは2017年夏から在籍はしているものの、この日が栃木でJ2初出場という経験の浅い選手であり、この苦境を跳ね返すだけの力は無く。(前所属・金沢では15試合に出場)
そんなDF陣のサポートをすべきボランチ2人はというと、ヘニキ・ユウリという助っ人が並んでいました。
その姿は一見壮観だったものの、この状況でカギとなるであろう降りてくる動きはあまり見られず。
ヘニキがロングボールのターゲットというタスクを背負っていた事と、起用されて日の浅いユウリが周囲との連携不足という問題を抱えていた事がその事態を招いていたのでしょう。

相手の山形もポゼッションという観点では難のあるチームですが、同タイプの「ボールを持たせるチーム」の典型で、さらに早々に先制を許したとあっては「ボールを持たされる」状況になってしまうのは必然とも言えました。
試合前のカードからもそんな展開が予想できただけに、連携に難のある新戦力を多数起用した事は、この試合勝ち点を得るためには逆行していたものとしか言いようが無かった。
果たして規律というものが感じられずに過ごす事となった前半の栃木。
山形の大槻・坂元・南のプレスをかわす事が出来ずに、敵陣にボールを運ぶ事すらままならず。

一方の山形、ボールを奪っても無理なポゼッションはせず、縦に速い攻撃を見せるという姿勢を一貫。
堅守のクラブの最適解ともいえるそのサッカー、後方でパスミスの危険性が拭えない栃木はまさにその格好の餌食だったでしょう。
前半30分の追加点はまさにその通りになり、左ウイングバック・山田の仕掛けからの攻撃は一旦カットされますが、その後栃木・藤原がパスミス。
拾った坂元がエリア内へパスを送ると、そこにはボランチの位置から駆け上がっていた中村。
シュートは難なく決まり、ショートカウンターを見事に完遂させました。

攻撃で良い所無く時間を浪費していた栃木、40分過ぎからようやくペースを掴み、何度か山形ゴールに迫ります。
願わくばここで反撃の狼煙となる1点が欲しかったですが、最大のチャンスだった左サイドからのロングスロー→ヘニキフリック→大黒ヘディングシュートは僅かに右に外れます。

結局2-0のまま前半が終了。
栃木サイドから見ても問題が明らかだったのか、後半頭からユウリに代えて枝村を投入します。
32歳のベテランで、かつ2015年に清水で田坂氏の下プレーした経験ありと、連携・戦術理解度ともに問題の少ない選手。
状況打開のためにはうってつけだったでしょう。

その通りに壊滅的な状況だった前半からは幾ばくか改善されましたが、それでも山形に決定的なシーンを作られた立ち上がり。
後半4分、栗山のクリアから大槻→南へと繋がれ、大槻がエリア内に進入するもメンデスに潰されてシュートは撃てず(反則も無し)。
7分にもクリアから南・大槻に繋がれ、右サイドから坂元が低いクロスを上げると、大槻が鮮やかに収めてから反転シュートを撃ちます(GKユヒョンがキャッチ)。

応戦したい栃木は13分、ヘニキのカットから枝村→西谷和希と繋ぎ、三宅がミドルシュート(ゴール右に外れる)。
17分にはゴールキックを敵陣で大黒が収め、彼のパスを受けた西谷和希がミドルシュート(当たりが弱くGK櫛引キャッチ)と、遠目から積極的に撃つ事で活路を見出さんとします。

17分、栃木は三宅→久富に交代、右WBの浜下をシャドーにシフト。
突破力のある浜下を攻撃的な位置に上げ、点を取る姿勢を見せます。
しかし山形側も21分、大槻→山岸へと交代。
やや落ちていたプレスの強度を保つべくの交代だったでしょう、その後再び試合の針は山形に振れていきます。
25分には山田のパスを受けた坂元、エリア手前右からミドルシュートを放ちます(枠外)。
その後栃木も、シャドーの浜下・西谷和希を軸に攻勢をかけます。
31分、自陣から西谷和希がドリブルで中央突破した後、右の浜下→左の大黒へと繋がりエリア内から大黒がダイレクトでシュート(GK櫛引キャッチ)。

しかし栃木はミスから流れを失います。
33分自陣でメンデスのミスから奪われると、柳→坂元→南と繋がれ、エリア内で南にシュートを撃たれます(ゴール右に外れる)。
このプレー以降栃木は辛うじて繋がっていた糸が切れたかの如く、流れを引き戻す事はありませんでした。
見せ場は44分、枝村のミドルシュートぐらいでしたか。
交代枠を使い切った後、メンデス・浜下と故障が続発したのも痛かった。

反対に山形は、以降中村や山田も積極的にシュートを放ちにいき、あわよくば追加点を……という姿勢を見せつつアディショナルタイムに突入。
そこで3枚目の交代(坂元→岡崎)・相手陣内奥でのキープという逃げ切り体制に入り、最後は相手陣内でフリーキックを得た所で無事に試合終了を迎えました。

一時期は阪野の松本移籍により混乱も伺えた山形ですが、この日のピッチ上ではそうした事は微塵も感じられず、下位相手に貫禄の勝利を挙げる事に成功。
昇格争いは激しさを増す事となりそうです。

コメント
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