※前回の水戸の記事はこちら(27節・新潟戦、4-0)
※前回の秋田の記事はこちら(26節・長崎戦、1-1)
※前回の両クラブの対戦はこちら(10節、秋田 1-0 水戸)
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中断明け以降5戦3勝(1敗1分)の水戸。
その3勝はいずれも上位クラブとの対戦(琉球・新潟・山形)であり、戦闘集団の本領発揮といった所でしょうか。
そんな状況で狙ったかのように、全く趣向の異なるサッカーを貫く秋田との一戦が組まれているのは日程のあやなのか。
前半での対戦は、早い時間に先制を許すと、ピッチに吹き荒れる強風にも苦しめられて完封負け。
何とかリベンジを果たしたい対戦となりましたが、その意気込みは今回も早々に挫かれる事となります。
前半1分、相手のクリアミスで安藤がエリア内でボールを持つシーンが生まれましたが、シュートまではいけず。
秋田のアバウトさが仇となるようなワンシーンでしたが、直後にそれを払拭するような攻撃で結果を叩き出します。
2分、フリーキックを素早くリスタートし武の収めから敵陣深め左サイドで攻撃。
細かい繋ぎからエリア内へ送られ、左から茂がシュートを放つと、これがナチュラルなクロスのようになりファーサイドで跳び込んだ吉田が合わせゴール。
最初の好機を綺麗に得点に結び付け、前回対戦時を上回る早さで先制した秋田。
早くもビハインドを強いられる水戸。
以降ボールを握らされる展開となり、かつ秋田のプレッシングの激しさを避けなければならないという状況。
それを警戒し、相手の2トップ(武・吉田)に対して、中里が降りて3人での最終ラインによるビルドアップの形を採り。
しかし以降の秋田はそれほどプレッシングを掛けず、自陣を固める方を優先する姿勢を見せ、肩透かしを食らったような状態となります。
当然ながらアタッキングサード~その一歩手前での秋田の寄せは激しく、水戸は攻撃機会は膨らむものの、フィニッシュへの道は険しいものとなりました。
18分にようやく最初の絶好機が訪れ、左サイドで攻める姿勢から一転右へと展開し、松崎のスルーパスを受けた安藤が奥からマイナスのクロス。
ニアサイドで村田が合わせましたが、ゴール左へと逸れていきモノに出来ず。
「少ないチャンスで全力を尽くす」というのは秋田のチームカラーでしょうが、この日の水戸も、違うアプローチながらもそんな精神を見せなければ勝てない。
そんな事を考えさせられるワンシーンとなりました。
22分に秋田・吉田が、水戸・細川との競り合いで頭部を痛めたというタイミングで飲水タイムへ。(吉田は無事に復帰)
前節(群馬戦・1-0)に、待望の後半戦初勝利を挙げた秋田。
苦戦を強いられ、各クラブ対策が進んでいるのでは……という懸念が過るタイミングでの勝ち点3は何よりの良薬となったようであり。
メンバー的には、守備の要であるセンターバックのポジションに苦心。
大ベテラン・加賀が故障で長期離脱となり、さらに谷奥が27節(琉球戦・1-2)で負傷交代。
千田の復帰があっても差し引きマイナスで、この日はCBの控えはベンチに不在という状況となっており。
苦しさが成績面にも現れる中、それでも自分達のサッカーを貫徹するのみという戦い。
そのスタイル的にも、水戸とは違った意味で戦闘集団と呼びたくなる雰囲気が感じられますが、ダブル達成でそれを見せ付ける事が出来るか。
ブレイク明けも水戸がボールを握る展開は変わらずも、秋田は一度攻撃権を得れば、パワーを持って敵陣に攻め上がり。
26分には沖野がパスカットからドリブルで前進、パスを受けた武が中央からミドルシュート。(ブロック)
31分にはクリアボールが吉田に繋がり、沖野が右サイド奥までドリブルで切り込んでクロス(シュートまではいけず)と、沖野の突破力を橋頭堡とする攻撃。
それでもメインの手法はクリア気味のロングボールをFWに送るもので、そのためサイドバックの攻撃参加は目立たず。
しかし36分、左サイドでの繋ぎから吉田が逆へと振り、受けた藤山(右SB)が前進から沖野へパス、そして追い越してリターンを受けてクロス。
これを武がニアサイドで合わせヘディングシュートと、綺麗なサイドからの崩しを見せてのゴール。
ワンポイントでSBが決定的な仕事を見せた秋田、前半のうちに追加点を奪いました。
以降も水戸は攻撃権を握るものの、秋田の速い寄せの前にシュートは撃てず。
FWへ縦パスを入れても収めるのは困難、サイドから攻めてもクロスは悉くブロックされるというシーンが続き。
エースの中山仁斗も、狭いスペースの中そもそも仕事をする場面が生まれ辛い状況で、結局0-2のまま前半を終える事となります。
流れを変えるべく、ベンチもハーフタイムで3枚替えという大胆な策に踏み切った水戸。
奥田・村田・新里→伊藤・黒石・金久保へと交代。
金久保がボランチを務める、(恐らくは)初の布陣を披露しての反撃体制を採ります。
その後半の水戸のビルドアップは、中里が降りるという場面は減り。
代わりにサイドハーフ(右=松崎、左=伊藤)が降りて来てCBからパスを受けるシーンを増やす振る舞い。
立ち上がりにこうしたギャップを作る事で秋田の目線をズラそうという狙いは明白で、実際に時間が進むにつれてその動きは収まり、オーソドックスなボックス型での繋ぎが目立っていきました。
しかし相変わらず、スペースを作らない秋田のディフェンスの前に苦戦。
後半13分にようやく、右サイドで金久保が前進ののち松崎に渡り、ディフェンスに遭いこぼれた所を中央から松崎がミドルシュート。(枠外)
それでも苦し紛れに放った感は拭えずというフィニッシュで、中々好循環を作れない水戸。
一方、8分に2トップを揃って交代した秋田。(武・吉田→中村・齋藤)
浅めのFKから、長いロビングをエリア内へ折り返すという手法を採っていた攻撃ですが、そんな姿勢が幸運を招き入れます。
17分に左コーナーキックを得ると、キッカー輪笠のクロスがGK牡川に跳ね返されたのち、逆サイド手間から稲葉のクロス。
ファーサイドで増田が合わせにいく中、その前で中村が水戸・安藤に倒された所で、主審(岡宏道氏)の笛が鳴り響き反則・PKとなります。
これを中村がしっかりゴール中央へと蹴り込み、貴重な追加点を得た秋田。
このゴールの直後に両軍選手交代。(水戸=安藤→藤尾、秋田=沖野→三上)
水戸はさらに23分、松崎→山根へと交代し、早くも5人の交代枠を全て使いきる事となった秋葉忠宏監督。
既に攻める必要性が無くなった秋田に対し、過剰ともいえるボール支配により攻め上がる水戸。
そうせざるを得ないという側面もありますが、それでもその姿勢が良い結果を呼ぶとは限らず。
秋田のブロックの外側でボールを回し、チャンスボールを打ち込んでもすぐに寄せられ跳ね返される、といった大きく変わらないシーンが続きます。
29分には中山仁狙いのロングパスから、中央で細かくパスを繋いだのち、伊藤の中央突破からのこぼれがエリア内の中山仁に渡る絶好機に。
しかし間一髪で秋田・千田がクリアしシュートは撃てず。
3点リードしているうえ、外側である程度持たせても良いという意識が、心理的有利を齎しているようである秋田。
こちらも32分に最後の交代カードを切り、輪笠・茂→才藤・井上へと交代。
藤山がボランチに回り空いた右SBに才藤が入る、こちらも(恐らくは)これまで見られない配置に。
その直後に決定機が到来、右サイドで中村が浮き球を収めたのちさらに裏へロングパスを送り、受けた齋藤から繋いで三上が奥へ進入。
そしてマイナスのクロスがエリア内へ入り、走り込んだ飯尾が合わせるも撃ち切れず、こぼれた所を井上がシュートするもブロックに遭い。
守勢の中にあっても、一度カウンターで敵陣に進入した際は恐ろしさを見せ付けます。
焦れる水戸、終盤には金久保と伊藤の位置を入れ替え、伊藤がボランチの位置から左右に動き回る体制を採り。
43分には右サイドで組み立て、一旦奪われるもクリアボールを中里が拾い、伊藤がクロス。
ニアで金久保のフリックを経て、ファーサイドで藤尾がボレーシュートを放ちますが枠を捉えられず。
秋田の守備が乱れている間に好機を作ったもののモノに出来ず、そして以降そんな絶好機は訪れる事は無くなります。
アディショナルタイムに入り、強引にでも崩さなければならない状況の水戸。
山根が右からエリア内へと仕掛けるシーンもありましたが、実る事は無く。
最後は中里のミドルシュートがブロックされたのち、尚も繋いで山根がミドルシュートを放つも枠外に終わり。
そして秋田の勝利を告げる、試合終了の笛が鳴り響きました。
終盤の選手交代からも、CBだけでなく全体の選手層の薄さが露わになりつつある苦しさが垣間見えた秋田。
それでもブレる事の無いサッカースタイルを持ち合わせているのが何よりの支えであり、一体感はリーグ屈指といえるでしょう。
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