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DAZN観戦 2021年J2リーグ第39節 レノファ山口FCvsギラヴァンツ北九州

2021-11-16 16:08:43 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の山口の記事はこちら(34節・水戸戦、2-2)
※前回の北九州の記事はこちら(35節・大宮戦、1-3)

名塚義寛監督就任以降の山口、2連敗→3連引き分け→2連勝と推移。
負のサイクルから抜け出したのち、いくばくかの助走期間を経て滑走路を飛び立ったという流れで、成績的にも無事に危険水域から脱出。
この試合に勝利すれば、他チームの結果如何では残留も確定するという所まで浮上してきました。

この間起用選手は激しく入れ替わり、全試合スタメン出場はGK関と渡部の2人のみ。
水曜開催による3連戦も交わり、メンバーを数多入れ換えての運営をこなす、まさに総力戦で浮上の兆しをガッチリと掴んだという事でしょうか。
その総決算となるかのように、この日は岸田が久々のベンチ入りを果たし、実に3節以来という遠い出来事。
この最終局面で、クラブレジェンドといえる人物の力を借りて残留を果たさんという山口。

試合が始まり、山口は「名塚イズム」と言うべき前線からのプレッシングを敢行し、そこからのショートカウンターを狙いにいき。
前半2分に高木が敵陣深め右サイドでボールを奪い、即クロスを上げるも北九州・福森がブロック。
そしてこの際に福森が痛み暫く倒れ込んでしまうシーンとなり。
無事に起き上がり続行するも、残留の切り札とされていた椿が再加入後即故障で長期離脱してしまった(現在は復帰)という苦い思い出がある北九州。
いきなりヒヤリとするとともに、山口のプレッシングに屈さないか不安感漂う入りともなりました。

5分には自陣で高井がボールを奪った山口、彼のスルーパスで抜け出した草野がエリア内左を突いて切り返し。
そしてシュートを放ち、北九州・生駒にブロックされてこぼれたボールを、さらに池上がボレーシュートで追撃。(枠外)
その危惧が現実味を帯びたものの、その後は北九州も反撃に転じ。
6分右サイドで形を作り、佐藤亮のカットインを経て中央で新垣が前進、エリア内に進入してシュート。(ブロック)
12分には、佐藤亮が山口・佐藤謙介との交錯で倒れ込むシーンがあり再びヒヤリとさせられますが、無事に復帰。
15分には高橋がボールカットしたのち中央からシュート(ブロック)、17分には高橋のスルーパスを受けた前川がエリア内からシュート(GK関キャッチ)と、フィニッシュで上回りを見せます。

しかし北九州の攻撃は、基本である「3-1-6のビルドアップ」は既に影も形も無く。
その形を支えてきた村松や岡村・針谷の名がスタメンに無いのも影響し、普通にボックス型での組み立てを採っていました。
そのためか次第に山口ペースの流れとなり、24分に決定機。
左から佐藤謙がサイドチェンジして右サイドでヘニキが受け、人数を掛けてパスを繋いだのち高木のクロスが上がり、ヘッドで合わせたのは草野。
しかし放たれたシュートは左ゴールポストを直撃し、跳ね返りを自分で詰めにいったものの及ばずクリアされ先制ならず。
山口にとって悔やまれるシーンが生まれたのち、飲水タイムが挟まれます。

ブレイク後の北九州、主に左サイドの関係性を重視して攻撃。
新垣の突破力を盾として、その新垣が降りて受けてサイドバックの福森が上がり、スルーパスに走り込むという具合に仕掛けます。
しかしこの左サイドアタックからはフィニッシュに持ち込めずにいると、次第に肉弾戦の様相が色濃くなっていきます。
37分には反則を受けた山口・草野がヒートアップし、あろう事か北九州・高橋に報復行為に出てしまい。
主審(木村博之氏)の笛が遅れた(見ていなかった?)事で両軍さらに騒然となり、結果として草野に警告が与えられる運びとなりました。
既にここまで2枚警告を受けている(15分・楠本、31分・高井)山口、残留争いを勝ち抜くためのハードワークが負の方向へ傾いてしまうシーンとなりました。

その後は山口が主体的な攻撃を見せ、最終ラインからの展開で攻め上がるもゴールは奪えず。
北九州もアディショナルタイム突入後流れを掴み、セットプレー攻勢を掛けるもやはり得点には辿り着けず。
前半はスコアレスで終える事となりました。

共に交代無く迎えた後半も、山口が前半終盤と変わらず主体的に攻め込み。
敵陣でのショートパスの割合を増やして崩さんとするも果たせず、逆にその間に北九州の反撃を受ける事となります。
後半3分、前川の展開から右サイドで前進し、高橋がエリア内へ横パスとともに中に入って佐藤亮のリターンを受け。
そしてカットインを経て中央からシュートするもブロックに阻まれます。
10分には西村の裏へのロングパスを受けた前川、そのままエリア内へ進入する絶好機となるも、追走する山口・ヘニキのディフェンスで倒れてシュートは撃てず。(反則無し)

ペースを握りながらもモノに出来ず、カウンターパンチを喰らう危惧が過る流れのようになってきた山口。
しかし11分、高井がプレッシングで北九州・福森からボールを奪った所を反則を受け、絶好の位置でのフリーキックの好機。
これをキッカー田中渉が直接、ゴールに向かうクロスのような軌道で狙いにいき、GK田中悠也がパンチングで防ぐも跳ね返りを橋本がダイレクトで縦パス。
シュート気味のグラウンダーのボールを、渡部のスルーを経て高木が触りにいくも収まらず。
モノには出来ませんでしたが、これを境に山口はプレッシングのキレも戻り始め、攻撃権も支配する事となります。

これを受けた北九州ベンチは先に動き、16分に佐藤亮・前川→富山・新井へと2枚替え。
高橋をトップ下に移しての4-2-3-1の布陣へとシフトします。
しかし1トップとなった事で、ある程度プレッシングを捨てるという選択を採らざるを得なくなり。
尚も山口に押し込まれ、17分には佐藤謙の縦パスを池上が受けたのち右サイドで前進、右ハーフレーンから田中渉がシュート。(GK田中悠セーブ)
「田中(渉)のシュートを田中(悠)がセーブ」というシーンが量産され、苦しさを隠せない北九州。

リーグ戦も最終盤の時期になり、理想と現実の挟間から、とうとう現実路線へと舵を切る事となった北九州。
前述のビルドアップの変節も、センターラインに長身選手を並べて守備を固める手段との板挟みであり、仕方無いという思いはある程度織り込み済みでしょう。

J3の苦闘を経験してきて、二度とその場に落ちたくないからこその選択でしょうが、少し遅すぎたという感は拭えず。
既に1つの勝利では降格圏を抜け出せないという状況で、残り4試合を迎える事となり。
それだけ理想を追求し、行き詰まっても中々捨て去る事は出来ずにいた今季の小林伸二監督。
全権監督という立場故にその心境は複雑なものでしょうが、まずは全力で、残された残留の可能性を掴み取るのがミッション。

劣勢に立たされた20分、さらに新垣→椿へと交代カードを切った北九州。
22分には右サイドでのボール奪取から、西村が素早く裏へミドルパスを送り、先程入った新井(今季初出場との事)が走り込むシーンを作りますがオフサイドに。
山口の攻勢を受けつつも、得た攻撃機会は全力でモノにしていくという立ち回りを匂わせつつ、23分に後半の飲水タイムに。

ブレイク明けも山口が攻撃権をガッチリと掴んで離さず。
この時間帯は、最終ラインから左サイドに展開してパスを繋ぎ、北九州を右へスライドさせたのちに逆サイドへロングパスを送るという手法が多かった山口。
そこから好機が生まれたのが27分で、ロングパスを受けた高木がエリア内右へ送り、走り込んだ池上がグラウンダーでクロス。
草野が合わせにいくもクリアされ、こぼれ球を拾った田中渉が中央からシュートするも北九州・西村がスライディングでブロック。

ギリギリの所で防ぎ、その後も何度もクロスを浴びる等押し込まれる北九州。
勝利するためのワンチャンスが訪れたのが31分で、自陣でボールカットした西村が素早く前へ浮き球を送り、受けた高橋がさらに左へ展開。
そして受けた椿が細かいタッチのドリブルで前進、エリア手前まで進んだ所で追い越した高橋へラストパス。
エリア内左から、得意の左足を振り抜いた高橋のシュートがゴールネットに突き刺さり、欲しかった先制点を挙げた北九州。
確実にモノにし、押され気味の展開を跳ね返す事に成功しました。

危惧が現実のモノになってしまった山口。
失点直後に高木→石川へと交代し巻き直しを図るも、守備を固める北九州に対し、先程までのスムーズな攻撃は失われ。
停滞感の中終盤を迎え、さらにカードを切ったのが40分。
田中渉・草野・高井→佐藤健太郎・梅木・岸田への3枚替えを敢行します。
ここに来て岸田を投入し、彼の胸すくゴールへの期待高まる采配ですが、相手は現実的なサッカーへのシフトを果たした北九州。
すかさず(というかほぼ同時に)福森・新井→永田・岡村へと2枚替えするとともに、5バックのシステム(3-4-2-1)へとシフトする守備固めを敢行した小林監督。
新井がインアウトという事態も御構い無しで、山口の情緒的な期待感に蓋をする采配を見せます。

以降の北九州、42分にカウンターを敢行し椿がドリブル、エリア内左からの切り返しでシュートを放った(GK関キャッチ)のが唯一の攻撃機会。
とにかく山口の猛攻を跳ね返し、1点を守り切るのが勝利への唯一の道となり。

山口は44分に右コーナーキックから、池上のクロスを中央で渡部が合わせボレーシュートするも北九州・生駒がブロック。
直後の45分には左サイドから橋本がクロス、これがゴール上部に向かうボールとなるも、GK田中悠がパンチングで逃れて再度CK。
そこから岸田がヘディングシュートを放つも、枠には向かわず。
そしてATへと突入し、ヘニキを前線に上げるパワープレイ体制に入る山口ですが、どうしても得点に辿り着けません。
そして試合終了を告げる笛が鳴り、ウノゼロで北九州が勝利。

実に10試合ぶりの勝利となった北九州、笛の瞬間決勝ゴールを挙げた高橋がその場で泣き崩れるという姿も見られ。
泥沼ともいえる残留争いを戦う男たちの苦難が垣間見えるシーンとなりましたが、それも残り3試合。
14位以下の9クラブは未だ残留決定出来ていない状況で、どんな結末が描かれるでしょうか。


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