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最終更新日 8月13日 宇宙科学の話題 ----総合的な話題
最終更新日 8月14日 今日の宇宙 ------下の記事と同じ
最終更新日 8月13日 火星探査情報 -----火星探査情報
最終更新日 8月13日 地球観測 -------温暖化対策として
最終更新日 7月18日 アルテミス2 ------有人月周回への準備
最終更新日 8月13日 ハッブル宇宙望遠鏡 --最新の発表
最終更新日 7月29日 ジェムスウェブ宇宙望遠鏡 -最新の発表
<新> 準 備 中 宇宙ステーションは今 --日本人飛行士滞在期間
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<今日のテーマ>: パリの暑さの中を走る
100年前にパリでオリンピックが開催されて以来、市内の気温は摂氏 3.1 度大きく上昇している。最高気温が 30°C を超える暑い日は、1924年の約3倍の頻度になっている。
このような気候変動は、2024年のマラソン出場者にとって、一部の解説者達が、これまでに考えられた中で最も「過酷」で「残酷な」オリンピックコースの一つと呼ぶように、異常に直面している。8月10日と11日には、ランナーは、二つの長く厳しい丘に立ち向かい、歴史的意義と象徴的な建築物の景色が豊かな42 km のコースを完走した。
猛暑は、屋外イベントに出場する持久力のあるアスリートにとって、特にリスクとなる可能性がある。2020年の東京オリンピックでは、うだるような暑さの中、1万メートル走でイギリス人選手が倒れ、50キロ競歩で日本人選手が倒れた。パリで競うマラソン選手たちにとって幸いなことに、競技の最初の週に問題を引き起こした熱波はほぼ収まっている。
左上の図の右(右に大判)は、マラソンルート沿いの熱環境が典型的な夏の日にどのように変化するかについての基本的な視点を示している。これは、気温が 28°C のピークを迎えた晴れた日、2024年8月6日現地時間午後1時40分の、NOAA・NASAのスウオミ NPP 衛星の可視赤外線イメージング放射計(VIIRS)によって観測された地表面温度を示している。NASAのジェット推進研究所の科学者達は、機械学習手法と欧州宇宙機関のセンチネル2衛星からの表面反射率データを使って、熱データを「鮮明化」した。この手法によってデータの解像度が向上し、ピクセルあたり375メートルからピクセルあたり約20メートルに改善された。
暖かい地表温度は赤で示され、冷たい地は青色で示されている。凱旋門から放射状に広がる並木道など、公園やその他の緑のインフラストラクチャが、建物、道路、駐車場などよりも涼しいことに注目しよう。このような都市空間は、通常、熱容量が高く、樹木、草、庭園などの生物の風景よりも太陽の熱を吸収して再放出する材料で構成されている。
都市のヒートアイランドとして知られるこの影響は、パリでは特に激しくなる可能性があるが、これは、パリが他の多くのヨーロッパの都市よりも樹木に覆われておらず、特に熱くなりやすい亜鉛屋根が多くあることによる。
このマップでは、気温ではなく、地表面温度が示されていることに注意しよう。ヒートアイランド現象は、地表の温度と気温データの両方で見ることができるが、地表の温度ではその差が顕著になる傾向がある。8月6日に撮影されたとき、地表の温度は、スタートライン付近の最高気温 43°C から、樹木の多い地帯の最低気温 25°C まで変動していた。
パリの中心部にある限られた樹木の覆いは、ランドサット9号の OLI-2 (Operational Land Imager-2) によって得られた左のイメージに見ることができる。灰色に見える亜鉛の屋根は、暑い夏の日には 90°C の温度まで上昇する可能性がある。ヨーロッパ環境庁が実施した衛星データの分析によると、都市部の森林や公園などのグリーン・インフラはパリの僅か26%を占めており、他の欧州の首都の平均41%を大きく下回っていることが分かった。このような差は積み重なる可能性がある。ヨーロッパの100都市のヒートアイランド現象の強度に関する最近の分析では、パリがトップ付近にランクインした。
オリンピック男子マラソンは、女子マラソンの前日である8月10日現地時間午前8時にスタートする。レースは、パリで最も密集した場所である広く舗装された大通りからスタートし、競技者はオテル・ド・ヴィル、ガルニエ宮、ヴァンドーム広場、ルーブル美術館、トロカデロなど、いくつかの象徴的な街のランドマークを通過する。
アリゾナ大学の気候学者で、2020年の東京オリンピックマラソン期間中、微かな気候の変動がマラソン・ランナーの熱ストレスにどのような影響を与えたかを研究した共著者、アリアーヌ・ミデル(Ariane Middel)氏によると、この地域の限られた植生と密集した開発は、ランナーが経験する暑さストレスを増大させるという。「しかし、ルートの両側にある高層ビルや並木道は、ランナーに日陰を提供する。これは、晴れた日の人体への熱負荷を軽減する大きな要因である」と彼女は言う。
ミデル氏は、猛暑のリスクを軽減するために、レースプランナーは、マラソンは早朝に開始して涼しい気温と日陰の恩恵を受ける、コース沿いの樹木の被覆を増やす、一時的な日よけを設置する、などを提言した。
<ひとこと>: この猛暑の中を走るとは! 大判はイメージのリンクから。左上の比較のイメージはヘッドライン(原典のページ)から。