センター突破 これだけはやっとけ 鳥取の受験生のための塾・予備校 あすなろブログ

鳥取の受験生のための塾・予備校  あすなろ予備校の講師が、高校・大学受験に向けてメッセージを送るブログです。

俺はどうやらもう少しで死ぬところだったっつうじゃないですか その1

2016-11-04 16:15:23 | 職員徒然コラム(お茶受けにどうぞ)
どういうわけだか小さい頃から痛みの輪郭をイメージしようとする。具体的な形を与えることで対処しやすくしようとしている、というか、自分の心づもりでは痛む範囲を隔離しているイメージで体の中の痛む場所、その範囲と形をなぞっていくのである。

ちょっとした胸の痛み。
いきなり全力疾走したあとで呼吸するたびに感じられるような、鳩尾の上あたりから背中に突き抜けるような、大きくはないけれど知らないふりをしていられない痛みがあった。少し前から、速あるきをした後に時々感じるようになっていたが、数分間ゆっくりと大きな呼吸をしているうちに治まっていた。春先から夏にかけて、アレルギーのため実際に呼吸器系が炎症を起こす。痛みを感じはじめたころはその炎症とも重なっていたので、呼吸器に問題があるものだと思い込んでいた。

のだが。

その日はどうやら様子がおかしくて、1時間以上経っても治まらない。長時間にわたって途切れることも強弱の変化もなく、ずっと同じ痛みが持続していた。かなり冷や汗をかいていたので、
相当ひどい容貌だったのだろう。校長から帰宅を勧められ、治まらない痛みを感じながらそれを聞いているうちにどうやら授業どころではないような気がしてきた。

帰路に就いたのはどこの診療所も午前の診察を終える頃合いだったので、午後の診察時間までの間に治まれば残る半日自宅で寝ていようし、治まらなければどこかで診てもらうか。それならこれまで受診したことのない初めてのところが好いと思って自宅近くにある内科医院に電話して午後の診療時間の確認をした。午後3時から。煙草を喫うので、しかも喫う量が多いので肺癌と診断されるのではないかと覚悟をしたから、しばらく横になった後ベランダに出て最後の一服のようなつもりになって喫ったのがなんとなく止まらなくなって、何本目かを喫っているうちに午後の診察時間が近くなったが痛みも止まらない。

どうにも我慢できなくなって診療所に着いたのが午後2時50分。インターフォンで来意を告げると中に入って待てという。入って受付に保険証を提示するとこれに記入しろと問診票をよこしてきた。必要なことを記入して待つ間、何もすることがない分痛みに気がいって、否も応もなく意識してしまう。

胃よりも上、体のど真ん中に漢字の「小」を中心に寄せ集めたような、3本のパイプを束ねたような形で、真ん中のてっぺんは体の前後を貫くようにも感じられる。イメージが固まるにつれて冷や汗も多くなり、やめとけばよかったという思いとともに待合室のソファに置いてあるクッションにしがみついて、受付カウンター内で談笑している女性たちを眺めていた。

そうこうしているうちに時間になって、中の待合に通されたけれど、ここでもひどい容貌をしていたのだろう。まず大丈夫ですかと声をかけられた。そう声をかけてきたのが先ほどからカウンターで談笑していた2人のうちの1人、さっきあんたらがおしゃべりしながら笑ってる間に尋ねてくれてたら大丈夫だったかも…

どうされましたかぁ。

さっき書きましたが… 冷や汗をかきながら半笑いで一通りの説明を終えるとこのソファで少し待てという。しばらくすると奥から先ほどの女性と何かやり取りをする男性の声が聞こえてきて、女性がどうぞと呼んだので、奥へ入ってよろしくお願いしますと頭を下げた。

で、どうされました。

3回目!

痛みに冷や汗をかきながらようよう説明し終えてレントゲンを撮ってみたら、呼吸器系に問題はなさそうだとのこと。それでは心電図を、ということになった。体毛が濃いので心電図をとるための吸盤がうまく吸い付かない。痛みが治まらないための脂汗と何度か失敗していることによる看護師の微苦笑とを経てようやく採れた波形を見ながら、これまで心電図で何か異常は出なかったかと尋ねられた。定期健診では毎年心電図についての所見はない。それを伝えると、ここねぇ、と波形のプリントアウトを示された。規則正しく上下する各ブロックの同じ箇所で、下向きに突出しているところをボールペンの先で指しながら、マイナスに振れるのが異常なのだという。異常なのだといわれるとただ事ではない心持ちになってきて、胸の痛みがさらに明確化したように思われる。紹介状を書くからすぐに大病院に行くようにといわれ、市立のところと県立のところと国立のところの三つのうちどこがいいかと尋ねられた。心臓疾患の手術件数が鳥取県内で一番多いと聞いたような気がする、といううろ覚えな理由で、自宅からも職場からも一番離れている県立の病院を選んだ。

紹介状を待っている間、痛みで朦朧としかけてまっすぐに座っていられない。ソファにおいてあるクッションにしがみついて、ひたすら脂汗を流していた。やっと名前を呼ばれて紹介状を受け取って支払いを済ませると、レントゲンと心電図を担当してくれた看護師が大丈夫ですかと尋ねてくれた。自覚はないがよほどひどい様子だったのだろう。靴を履いて出るときにもう一度、本当に一人で大丈夫ですかと尋ねられた。看護師に向かって微笑んで(そのつもりだった)、ありがとうございます、大丈夫です、と返してはみたものの、駐車場に置いた車までがやたらと遠く感じられた。ようやく車に乗り込んで仕事中のヨメに電話をかけ、ここまでの顛末とこれから大病院に行く旨を伝えた。夕方のラッシュになる前のことで交通量はそれほど多くない。しんどいけれど車の多くない道を選って行けば大丈夫だろうと走り始めた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。