酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

老残をさらす田原総一郎センセイ

2017-07-31 08:49:39 | 政治
 「メディア芸者」田原総一郎がまた何やらうごめいているらしい。いっぱしの国士を気取るこの御仁、最高権力者に招かれての〝ご進講〟に大はしゃぎだ。

 ≪ジャーナリストの田原総一朗さんが28日、首相官邸で安倍晋三首相と約1時間面会した。田原さんは面会後、記者団に「首相に『政治生命をかけた冒険をしないか。安倍さんが今やるべきことだ』と言った」と説明。「冒険」の具体的な内容については明かさなかったが、「そのうちに分かると思う。そんなに遠くもたないじゃない、安倍内閣は」などと語った。
 
 この日の面会は、田原氏が首相周辺に対し、「冒険」の具体的内容について話をしたところ、それを聞いた首相から田原氏に「会いたい」と求め、設定されたという≫=朝日新聞7月29日朝刊。


 田原は最近の自身のブログでは次のように述べている

 ≪東京都議選は、自民党の大敗に終わった。東京都の選挙ではあるが、話は東京都だけに留まるものではない。これはやはり国民すべてが、安倍晋三首相に、愛想を尽かしたということだろう。

 2013年の特定秘密保護法の成立、15年の安全保障関連法の成立でも内閣支持率は下がった。ただ、それは一時的なもので、支持率はすぐに回復している。
このときはまだ、多くの国民は安倍首相の思いを理解できていたからなのだろう。だが、「共謀罪」の強行採決、「森友学園」と「加計学園」の問題が続けて起きてしまった。これには、さすがに多くの人が安倍首相を理解できなくなった。

 「森友学園」問題は、それでも財務省がふんばったせいか、決定的なものは出てこないまま終わった。

 そして、「共謀罪」法案については、安倍首相の意図が透けてみえた。高い内閣支持率に乗じて、「この際、やってしまおう」という意図だ。いわば「自信過剰」の結果だ。
さらに、「加計学園」問題だ。ここに至って、国民の大多数が、友だちへの「えこひいき」だと感じてしまった。さすがに安倍政権に「ノー」と思ってしまったのだろう。前川喜平前事務次官による、「行政がねじ曲げられた」という証言が、それを裏付けたと言ってもいい。多くの国民がかなりの不信感を抱き、支持率の低下につながったのだ。

 従来の自民党であれば、ここまで来たら「安倍やめろ」の声があがっただろう。かつて何人もの首相が、そうやって辞めていった。これまで自民党は、このようにして数々の危機をしのいできた。これを党内の「自浄作用」と言うらしい。

 しかし、いまそんな声は一切あがらない。これからあがる気配もない。なぜか。僕は、自民党が硬直化しているからだと思っている。劣化していると言ってもいい。そのうえ安倍首相の周りは、イエスマンばかりになってしまっているようだ≫=7月15日・田原総一郎公式サイト。

 公式サイトで述べていることが本音だとすると、田原は安倍に「すっぱり辞めるという冒険はどうだ」と提言しなければならないはずなのだが、おそらくそんなことは言ってはいまい。

 今の安倍内閣に「冒険」を持ちかけること自体異常である。法規や慣例を犯した「冒険」の数々は安倍政権の専売特許の感がある。これ以上の「冒険」とは…。政治生命が尽きようとしている安倍に「政治生命をかけた冒険」を囁くあたりに、焼きが回った田原の今がうかがえる。

 最高権力者に招かれてぐだぐだになってしまう政治評論家は田原にk議らない。保守本流の後見人ともいわれる森田実もその一人だ。うな重をほうばりながら、安倍のご機嫌をうかがったらしい。安倍の健康不安説については「首相に会ってもいない記者が流している」。ご自身も安倍に会うのは2年ぶりとか、よく言うものだ。

 共同通信系地方紙の講演会でこれらを得々としてしゃべったのち「安倍さんは解散を断行すべきだ」と締めくくった。安倍に解散の大義など一分もない。このお方も老害というべきか。

  
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「パリ協定」日本抜きで発効!

2016-10-05 17:03:42 | 政治
2020年からの温暖化対策を定めた国際ルール「パリ協定」が11月初めに発効することが確実となった。米中2大排出国に加え、世界4位の温室効果ガス排出大国であるインドも批准を決定、近く批准手続きを終えるEUと合わせると発効の条件とされる排出量の55%を上回ることが確実になったためだ。批准国による締約国会議は11月7日にモロッコで開かれる。

 ところがである。5月の伊勢志摩サミットで「パリ協定の早期発効を目指す」との首脳宣言をまとめた日本は、この会合に参加できないというのだ。

 《山本公一環境相は5日の参院予算委員会で、2020年からの地球温暖化対策の国際ルールを定めた「パリ協定」について、日本は国会での承認手続きが間にあわず、11月7日にモロッコで始まる国連気候変動会議(COP22)での締約国会合に参加できないとの認識を示した。民進党の福山哲郎氏の質問に答えた》=朝日Web=。

 未だに批准案を国会に提出する準備が出来ていないとは驚きだ。各国での批准がこれほどサクサク進むとは読んでいなかったためなのか? 外務省の情報収集能力の低下を物語る出来事といえよう。

 この問題をめぐるメディアの対応も面白い。「政府機関紙」の感がある読売はほぼ一貫して無視を決め込んでいる。朝日は先月半ば頃から「日本が取り残される恐れ」との観測記事を書き、日経は「さっさと批准して温暖化対策を先導しろ」と政府の尻を叩く。ユニークなのは産経で「慌てて批准するな」と警鐘を鳴らす。①温室効果ガス削減余地の大きい米中と日本を一緒にはできない②原発のフル活用が見通せない状況で過度な約束をすべきではない-などがその理由だ。

 批准への地ならしがスピード感を欠いているのは、果たしていかなる事情によるのか。外務省の無能、批准への逡巡それとも安倍クンのリーダーシップの欠如か。もっとも安倍晋三にとってパリ協定などちっぽけな事柄かもしれない。今国会の所信表明でも触れていなかったもんね。


 
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「甘利辞任」はあっぱれか?!

2016-01-29 09:37:01 | 政治
 甘利明経済再生担当相が金銭授受疑惑の責任を取って辞任した。会見前のメディアの観測では口利き疑惑を否定、職にとどまる-が大勢だっただけに、驚きをもって受け止められたようだ。昨日のNHKの中継では「辞任」のニュース速報が流れるのが遅れた。事前に準備していなかったせいだろう。それだけ唐突感のある辞任劇だけに「潔い」などとの受け止めもあるが、実態はどうなのだろう。むしろ「逃げきれない」と観念したからこその辞職ではないか。これからどんどんボロが出てきそうな予感がする。

 《甘利経済再生担当大臣は、事務所が建設会社から現金を提供されたなどと報じられたことを受けて記者会見し、建設会社の関係者からの政治献金を受け取っていたことを認めました。そのうえで、「閣僚としての責務、および政治家としての矜持(きょうじ)に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することにした」と述べ、今後の国会審議への影響などを考慮し、閣僚を辞任する意向を明らかにしました。

甘利経済再生担当大臣は、みずからの事務所が千葉県の建設会社から現金を提供されたなどと、先週、報じられたことを受けて、みずからが関わったとされている点について説明するため、午後5時から内閣府で記者会見しました。
冒頭、甘利大臣は、「私を巡る今回の週刊誌報道の件で、国民の皆さまにご心配をおかけしていることにつきまして、深くおわびを申し上げる」と述べました。
そして、甘利大臣は、「閣僚のポストは重いが、政治家としてのけじめをつけること、自分を律することはもっと重い。政治家は結果責任であり、国民の信頼の上にある。何ら国民に恥じることをしていないとしても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を『秘書のせいだ』と責任転嫁することはできない。それは私の政治家としての美学、生きざまに反する」と述べました》=NHK news Web=。

 甘利氏の説明で首をかしげるのは、菓子折りから50万円が出てきたことに対して「適正に処理しておいて」と秘書に命ずる感覚だ。菓子折りや土産物の包みに大金が紛れ込んでいるのは日常茶飯事と見える(甘利氏など〝大物政治家〟にとって50万円は大金とは言えまいが…)。「越後屋、お主も悪よのう」の頃と何も変わっていないように見える。

 自民党内などには「罠を仕掛けられた」との見方もある。餌を探して首を長くしているから罠に落ちるのだ。おとり捜査にはまっても、こんな言い訳をするんだろうか。今回も「秘書が」「事務所が」といういつものパターンの釈明が繰り返された。「私自身はやましいところはないが…」-政治家・甘利の矜持、美学を強調して辞意を口にした甘利氏だが、本当のところは隠し録りされた録音テープの存在などで観念したと推察される。

 件の建設会社はURから2億3000万円の保証金を受け取っていたと伝えられる。甘利氏あるいは秘書・事務所の口利き効果があったのかどうか。徹底的な解明が待たれる。
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森喜朗の「素晴らしき鈍感力」?!

2015-07-22 08:34:42 | 政治
 昔々日本国の総理大臣を務めたこともある森喜朗さんが相変わらず? 存在感を発揮している。ただ今現在の役職は2020東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だという。白紙見直しが決まった新国立競技場建設にも深く関わっているとかで、何かとお忙しいようだ。

 その森さんの聞き書き「時代の証言者」が11日から読売新聞で始まっている。適当に言いくるめることがお仕事の政治家の証言なんで、「本筋」は適当に聞いておけばいい。面白いのは問わず語りに出てくる〝自慢話〟である。とりわけ本日22付け第8回は白眉だ。財界の寝業師・水野成夫が再建に乗り込んでいた産経新聞に「裏口入社」を果たす顛末が臆面もなく記されている。


 《千葉さんの紹介で、私は水野さんが社長を努めておられる国策パルプ社長室を訪ねました。水野さんは「分かった。産経の担当者に話しておこう」と言ってくれました。私はこれで就職が決まったと安心しました。ところが、年を越し、卒業が近づいても、何の音沙汰もないので産経に問い合わせると、「水野社長はそう言ったかもしれないが、我が社は経営再建中で新人の採用予定はない」と言われました。私は頭にきて、国策パルプに乗り込み、天下の水野成夫さんは前途有為な若者に嘘をついたことになる。引き受けたと言いながら、半年も返事をしないとは」と抗議しました。

 その後入社試験をやるという連絡がありました。私は「試験は受けない。受ければ成績が悪いことを理由に断られる」と言い張りましたが、「受けないと採用しない」と言われ、仕方なく受けました。白紙の答案の最後に「天下の水野社長は約束した青年の夢を壊してはならない」と書き加えました。

 間もなく採用通知があり、産経新聞にめでたく入社することになりました》。


 若かりし日の武勇伝と言いたげな話しっぷりである。早稲田はラグビー絡みの情実入学、産経入社は有力者頼みのゴリ押し。政治家・森喜朗の人格はこうした厚かましさの積み重ねでできているのだ。いやー、ご立派!! 
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「農協改革」って何だ

2015-02-09 09:46:31 | 政治
 既得権益の岩盤を打ち破る、ドリルの刃になる-安倍晋三が吠えてみせたのは1年前のダボス会議だった。しかして、そのドリルの刃が向かった先は…、農協改革ということなのか。いま、なぜ、何のための農協改革かがさっぱり見えてこない。某公共放送は「個別の農協がもっと自由に活動できるように」などと伝えているが、そんなことは農協内部の問題だ。政府が手を突っ込んでかき回すからには、もっと大きな思惑があるに違いない。

 日本の規制改革はその多くがアメリカの要望を受け入れる形で進められてきた。日米構造協議、年次改革要望書などの形をとって一つ一つステップを踏みながら。大店法改正、労働者派遣法などもその一環だ。もっともこれらは橋頭堡とも言うべきもので、本丸は金融である。郵政改革には既に手を付け、上場まであと一息。保険分野はいまや外資の方が勢いがある。最後に残った大物が農協ということではないだろうか。

 言うまでもなく農協は日本有数の巨大銀行である。貯金残高(2014年)約90兆円は郵貯180兆円、三菱東京125兆円に次ぐ規模であり、三井住友やみずほを上回る。もう一つ、保険・共済部門のJA共済も巨額な資金量を誇る。長期契約300兆円、運用資産は48兆円に上る。この巨大ながま口を切り刻んで外資を含む「民間資本」に振り向けようというのが「農協改革」の核心ではないか。

 報道によれば、政府・自民党と全中は改革の大筋で合意したらしい。

 《全国約700の地域農協の競争と創意工夫を促す農協改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が8日夜、大筋決着したことがわかった。地域農協を束ねるJA全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに一般社団法人に転換する。1954年に始まった中央会制度をほぼ60年ぶりに見直し、地域農協の自立につなげる。
 自民党の農林系議員とJA全中の万歳章会長、農林水産省幹部が8日夜、都内のホテルで会談した。万歳会長は政府の改革案を大筋受け入れる考えを表明。9日午後に全中幹部が集まり、正式決定する段取りも示した。

 政府はいまの国会に農業協同組合法改正案を提出し、JA全中の監査・指導権をなくす。2019年3月末までに一般社団法人に移行させる。全中の統制をなくし、地域農協の組合長が経営感覚を磨き、競い合って生産性を高めるように促したい考え。

 JA全中は農協改革に反対の構えだった。だが、一般社団法人に転換した後も、農協法の付則に全中の役割を明記する譲歩案を政府側が示し、受け入れた。農協の間の連絡や調整業務を担う点が盛り込まれる。地域農協への事実上の統制につながらないか、注目点になりそうだ。

 全中が一般社団法人になると地域農協への監査権限がなくなり、全中の監査部門は新たに監査法人として再出発する。地域農協は既存の監査法人か全中を母体とする監査法人を選べるようになる。政府は全中が改革を拒んだ場合、農家でない「准組合員」が農協に大量加入している問題に切り込む姿勢を示していたが、全中も歩み寄ったことで、規制の導入は見送る》=2月9日日経電子版=。

 政府・自民党が監査にこだわったのには理由がありそうだ。地域の農協はまだ体質的に古いところも多く、叩けばホコリもでそうだ。外部監査を入れて、ここから突き崩す。監査はまさにドリルの刃なのだ。

 一歩譲ればまた一歩、アリの一穴あるいは「天邪鬼と織姫の教訓」というべきか。「ちょっとだけ」「手が入るまで」「足が」「頭が」と要求はエスカレート、やがて織姫は天邪鬼の餌食になるのでありました。

 全中が「准組合員問題をほじくられずに済んでホッとした」などと考えているならとんでもない間違いだ。外堀が埋まれば次は内堀、大手門からやがて本丸に至る。それもこれも、農協自身が改革をサボり、組織を肥大化させてきたことの報いだ。「協同組合精神」の原点に立ち返り、一から出直しを図るべきだ。
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「史上最低」の衆院選

2014-12-15 09:50:56 | 政治
 今朝の朝刊各紙には「自民圧勝」の見出しが躍っている。第47回衆院選の結果は確かにその通りなのだが、実は公示前の勢力を維持しただけ。いかにつまらない選挙だったかを如実に示す結果といえよう。史上最低の投票率52%となったのも必然だ。

 安倍晋三及びその指南役らが「今なら負けを最小化できる」として踏み切ったのが今回の総選挙である。安倍が勝敗ラインについて「与党で過半数」と言い続けたのも、圧勝の確信がなかったからにほかならない。

 選挙を民主主義の道具と位置づけるか、戦争の一手段と捉えるかで解散の打ち方も変わる。国士を自任しているらしい安倍は後者であろう。解散に大義など不要、最も勝ちやすい=負けにくい時期にやることだ-これが安倍らの考え方である。覇道ではあるが、戦略として間違ってはいない。これに対して「大義がない」などと歯向かっても意味はない。もともと大義など求めていないのだ。

 自民党は解散前より4議席減らし、公明党は現状維持、民主党は11議席増で維新は1議席減。定数減を考慮すれば各党とも横ばいといったところ。目立つのは3倍近く議席を増やした共産党ぐらいのものである。

 巨大与党にもアキレス腱はある。全滅した沖縄はその象徴だろう。普天間移設は挫折を強いられよう。景気もピークを打ってこれからは円安のマイナス面が目立ってくる。「圧勝」から「政権放り投げ」への道は意外に近そうだ。
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解散風は止まらない

2014-11-11 14:59:45 | 政治
 今週に入ってにわかに解散風が吹き出した。9日、読売が「増税先送りなら解散」とぶち上げたのを皮切りに各紙が追随、休刊日明けの11日は「早ければ来週解散」とピッチを上げている。いまや〝政府広報紙〟の感がある読売がこうまで飛ばしているのだから、解散の可能性は極めて高いと見たい。この解散に大義や理屈はない。あるのは「今なら負けない」ということだけ。時間が経つにつれ安倍政権の支持率は下がり、株価も下がる。アベノミクスの化けの皮が剥がれてやがては死に体-こうした読みがあるからこその「いま」なのだ。


 《安倍首相は10日、消費税率の10%への引き上げを先送りする場合の衆院解散・総選挙の日程について、早ければ、一連の外交日程を終えて帰国する17日から数日以内に解散する方向で検討を始めた。

 18日前後に解散を表明し、19日ごろに解散する案が浮上している。衆院選は、「12月2日公示・14日投開票」を軸に調整している。「9日公示・21日投開票」とする案もある。与党は、早期解散を容認する構えだ。

 首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など一連の外交日程を終えて帰国する17日には、7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表される。政府が増税の是非について有識者の意見を聞く「点検会合」は、18日に終わる。

 首相は同日、政府・与党に新たな経済対策を指示し、仮に衆院解散に踏み切っても「政治空白」が生じないようにする考えだ。来年10月の消費税率10%への引き上げが困難と判断した場合、1年半先送りして2017年4月から引き上げる案が有力だ》=読売ONLINE=。

 解散=消費税10%引き上げ延期ということになる。誰が考えたか知らないが、なかなかうまいアイディアだ。「経済情勢を総合的に判断するとこの際引き上げは見送りと決断した」-安倍のこうした説明は一定程度世論の支持を得られるだろう。仮に野党が「財政健全化に反する」「国際公約ではないのか」などと吠えたところで、「増税しろ」では選挙にならない。 

 曲がりなりにも日中首脳会談もできたし、株価は上昇基調だ。心配は沖縄知事選の動向だが、もともと負け戦であり大勢に影響ない。こう判断したからこその博打であろう。

 朝日でさえも選挙日程を組み込んだ観測記事を流し始めた。こうなるともう風は止まらない。

《安倍晋三首相は、消費税率を10%に引き上げるかどうかの判断をめぐり、衆院解散・総選挙を視野に検討を始めた。早ければ経済指標の速報値が出る来週に判断し、年内解散に踏み切ることも選択肢に入れている模様だ。公明党の山口那津男代表は11日、早期に選挙準備を進めるよう指示を出した。解散・総選挙に向けた流れが加速している。

 政権与党内には、今月17日に発表される7~9月の国内総生産(GDP)の1次速報値を受け、安倍首相が増税先送りを決断して解散を表明するとのシナリオが広がっている。その場合、12月14日か同21日の投票が有力視されている》=朝日DEGITAL=

 解散総選挙で自民党は議席を減らすだろう。前回が勝ち過ぎであり、揺り戻しがあると考えるからだ。その意味では、295もの議席を抱えている今、解散などもってのほか、という声はむしろ自民党内部から高まるのではないか。そこで力比べになるのだが、安倍・菅ラインに対抗できる勢力は見当たらない。ずるずると解散に流れていくことになる。安倍の延命だけを狙った大義なき解散、来年度予算も財政再建も放り投げての解散である。このまま解散されれば史上最悪のバカ解散といわねばならない。

 
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「日朝協議」という茶番

2014-10-29 09:02:24 | 政治
 拉致被害者再調査の進展度合い確認を目的とした「日朝協議」が平壌で始まった。北朝鮮当局を代表して登場したのは「特別調査委員会」のトップとされる徐大河。北の秘密警察・国家安全保衛部の副部長だという。この人物に直接会って日本側の要求をぶつける-というのが今回の訪朝の最大の眼目だから、まずずまずの滑り出しに見える。だが、ニュース映像や報道を見る限りでは、胡散臭さが拭えない。あまりにも芝居がかっているからだ。

 「徐大河と申します。特別調査委員会の委員長を務めています」-これが相手の最初の挨拶だ。日本側が聞いているのは名前と肩書きだけ。目の前の人物が本当にその人物なのかどうか確かめようもない。「今日あった人物が徐氏本人と信じるしかない」(外務省関係者)=共同=。信じてはいけない相手に対して「信じるしかない」では、最初から負けたも同然ではないか。

 調査委員会は独立の建物を与えられているようだ。真新しい看板も掛けられている。明らかに日本のメディア、特にテレビを意識した演出である。「ちゃんとやってますよ」。五月の再調査合意から五カ月、北朝鮮は再調査ではなく特別調査委員会の建物整備や調査委メンバーの選定に追われていたのではないか。ようやく入れ物と顔ぶれが決まって「はい、どうぞ」となったというわけだ。「(塗りたての)ペンキの匂いがした」(読売)との報道がこれを裏付ける。

 普通の国でも秘密警察の幹部がテレビに顔をさらし、名前を名乗るなど、まずあり得ない。まして北朝鮮である。公然とテレビの前に出てきた時点で、この連中は保衛部の職は解かれているに違いない。用無しになった人物を日本に差し出したまでのことである。28日に韓国情報筋が伝えたところでは「北で軍幹部ら50人が処刑された」という。張成沢の処刑以降、まだ北の体制は落ち着いていないのだ。金正恩の健康状態も思わしくないらしい。

 今回の日朝協議で北が仕掛けてきたのは、にわか造りのセットに俳優を並べたインチキドラマの感が強い。用意している回答も誰かが書いたシナリオだ。ひょっとすると日本に期待を持たせるセリフが飛び出すかもしれないが、しょせんその場しのぎと見るべきだろう。

 「安倍政権はぐらつきだした。餌をまけば食いついてくる」-これが北の読みだ。

 
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「最後は金目」でしたね

2014-08-09 15:27:02 | 政治
 「最後は金目でしょ」約2カ月前、石原伸晃が吐いた暴言が現実のものとなった。

《東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た汚染土を最長30年間保管する中間貯蔵施設を巡り、政府は8日、建設候補地がある福島県側に対し、地元の地域振興策や生活再建策として、総額3010億円の財政支援を行うと提示した。

 最大の懸案だった財政支援の規模が示されたことで、地元側は「前進があった」と評価、月内にも建設の是非を最終決断する。政府は来年1月に汚染土の搬入を開始したい考えで、福島復興のカギを握る施設の実現に向けて大きく動き出した。

 石原環境相と根本復興相が同日、同県郡山市内で、佐藤雄平知事や、候補地のある大熊町の渡辺利綱町長、双葉町の伊沢史朗町長と面会。財政支援策を伝えた石原環境相は「原子力災害からの復興と地域の自立を確かなものにする」と述べた。

 佐藤知事は「地元の意向を踏まえた回答だ」と評価し、「財政措置の自由度や規模について、2町とも協議しながら精査したい」と返答。議会の意見などを踏まえ、月内にも最終判断する意向を示した。両町長も「前進があった」と述べた》=読売online=。

 当初提示していた額は1000億円、一気に3倍の大盤振る舞いである。しかも使途はほぼ自由の「交付金」。何にでも使ってちょ-ということらしい。まさに「最後は金目」そのまま、札びら大攻勢といった形だ。

 佐藤雄平クンも情けないねえ。「前進があった」と言わざるを得ないのだから…。これで知事選は乗り切れる、と踏んだかどうか。自民党福島県連は対抗馬を立てるようだ。

 原発事故はまだ収束しておらず、除染などいくらやっても賽の河原の石積み状態である。しかし、国は「ここには住めません」と言えない。除染や復興対策にいくら金が掛かろうが「復興」の看板は降ろせないのだ。

 所詮は金目と足元を見られたら、そこで勝負あり。金をつぎ込んだら福島が再興される-知事や首長らは本当にそう思っているんだろうか。

 
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「起業支援」に650万円ねえ

2014-07-29 11:58:15 | 政治
《政府は、サラリーマンなどをやめて起業する人に年間650万円の生活費を最長2年間支給する制度を今年度中に始める。

 起業した当初に収入がほとんどなくなってしまう不安をなくし、
大企業などに勤務する優秀な技術者や研究者の起業を後押しする。
特に将来の市場拡大が見込まれるロボットなど製造業関連での起業を期待している。

 起業家が、経済産業省所管の独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」
の関連会社の契約社員になる形をとり、NEDOが生活費を「給与」として支払う。
8月18日まで募集し、15社(1社当たり最大3人)程度を選ぶ予定だ。

 NEDOは、試作品づくりや市場調査のための補助金(上限は年間1500万円)も支給する》=29日付け読売1面=。

 
 募集するのは15社と極めて限定的なので、ムードづくりや呼び水と考えたほうが良さそうだ。
 それにしても安直かつずさんな方針に見える。「給与」を支給して起業を促す発想そのものが歪んでいるのではないか。

 起業には当然リスクが伴う。起業する方はこのリスクは低いほうがいいに決まっている。だが、そのリスクを低減するのは起業する当人の工夫と才覚でなければなるまい。「国が生活の面倒を見てくれるんなら一丁会社でもおっぱじめてみようか」などという甘ちゃんな考えで起業しても、うまくいくはずがない。

 話題づくりが大好きな安倍内閣が打ち出した「会社をつくろう作戦」、こんなものを大々的に取り上げるメディアもメディアである。応募は8月18日までとか。あと半月しかない。ひょっとすると対象はもう決まっているのかな? なんとも不可解な記事である。
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