酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

将軍様の後継者

2009-05-31 09:16:48 | Weblog
 北朝鮮がロケットを飛ばしたり、2年半ぶりに核実験を再開したりしているのは、金正日の後継体制づくりが加速しているからだ--内外のメディアでこんな見方が広がっている。

 毎日新聞が27日付けから連載した「危機の舞台裏 北朝鮮核実験」などがその代表格だ。

 《「チョルムン テジャン」。日本語に訳せば「若大将」。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記(67)が今年に入り、それまで使ったことのない愛称を口にし始めた。「若大将、いいぞ、いいぞ」「若大将が非常に頑張っている」「若大将に貫禄が出てきた」。金総書記は側近たちの前で、この「若大将」という言葉を繰り返した。ある側近は「将軍様(金総書記)は意識的に使っている」と感じたという。

 北朝鮮指導部に近い関係者が解説する。「『若大将』は将軍様が使い始めた三男の愛称だ。後継体制は『若大将』に向かって流れている」。金総書記が三男正雲(ジョンウン)氏(26)をこう呼ぶようになって間もなく、国外に「後継者は正雲氏」という情報が漏れ出した。

 昨年8月、金総書記が脳卒中で倒れたのを受け、北朝鮮では後継体制に向けた動きが表面化し始めた。総書記の後継者は正雲氏とその兄正哲(ジョンチョル)氏(28)、異母兄弟の正男(ジョンナム)氏(38)の3人が有力視されている。正哲氏は朝鮮労働党で党務を、正雲氏は国防委員会で軍務をそれぞれ担当しているとされる》=27日・毎日=

 金正日の後継者が正男、正哲、正雲の3人から選ばれるのは間違いない。あるときは正男、またあるときは正哲、でも本命は正雲…とめまぐるしく動いている。一連の報道を見る限り、正雲が有力視されているのは確かなようだが、「これで決まり」というには時期尚早だ。

 従来の解説では、「正日の義弟・張成沢が正男の後ろ盾で、彼の復活によって正男後継の目が強くなった」とされてきた。正雲を推すのは軍長老だ。北亡命者らは、3人のうちただ一人朝鮮労働党の役職に就いている正哲こそが後継者に違いないと推測する。

 《20日付の韓国紙、東亜日報は、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記の秘書をしていた脱北者の話として、北朝鮮の金正日総書記の後継者に三男、金正雲氏(26)ではなく、二男の正哲氏(28)がなる可能性が高いと伝えた》=産経ニュース=

 要するに何がなんだかよく分からない。関大の李英和などは北の一連の強行策について、軍と党の意見は一致していない、と見る。「先軍政治」路線の定着で、党の力が弱くなっているとの見立てだ。

 その軍部の実態が分からないのが困る。70代の大将軍クラスがいまだに実権を掌握しているとも伝えられる。この連中は毛沢東の人民戦争論がバイブルで、近代戦の戦略とは無縁だ。

 ミサイルや核技術に明るいテクノクラートが予想外に大きな力を持っていることはあり得る。正日の「新し物好き」はよく知られるところだ。となると、外国旅行が趣味の正男の線も捨てきれない。

 いずれにせよ、近々後継者が発表される状況とは考えにくい。権力者は後継が決まった段階でレーム・ダックになるというのは体制の如何を問わないからだ。怪しげな情報源から伝わってくる後継話は、すべて「観測気球」と受け止めるのが賢明だろう。
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お金持ちは銀行が嫌い?

2009-05-28 05:56:18 | Weblog
 東京板橋の資産家夫婦が殺され、家に火がつけられた。事件そのものより、被害者の邸宅と暮らしぶりに注目が集まった。

 《東京都板橋区弥生町で25日午前0時30分頃に発生した火事で、不動産賃貸業瀬田英一さん(74)方の木造平屋建て住宅約105平方メートルが全焼したほか、敷地内にある別の木造平屋建て住宅と蔵をそれぞれ半焼し、3棟計177平方メートルを焼いた。

 焼け跡から2人の遺体が見つかり、1人は瀬田さんと確認された。もう1人は妻の千枝子さん(69)とみられ、警視庁で確認を急いでいる。2人の遺体には胸などに刃物で刺された跡などがあり、同庁は、殺人放火事件とみて本格捜査を始めた。 

 複数の住民の話や不動産登記簿によると、瀬田さんは、1945年前後に相続するなどした土地を、自宅周辺だけでも少なくとも3000平方メートル所有しており、地元では資産家として知られていた。こうした不動産で賃貸業を営みながら収入を得ていたといい、板橋区内の不動産業者によると、ほかに駐車場の賃貸収入もあったという。10年来の知人の話では、瀬田さんはいつもジャケットにネクタイ姿で、趣味は高級カメラの収集だった》=読売ONLINE=

 その後の報道によると、布団の下から1千万円の現金が出てきたという。銀行は使わず、現ナマは自宅にしまって置いたらしい。複数の新聞には「妻が3千万円の札束につまづいて怪我をした」などとの記述がある。税金対策かどうか分からないが、資産家と呼ばれる人の中には、銀行を利用しない人がいるようだ。

 2年前、新潟県上越市で不動産賃貸業を営む70代の女性が殺害される事件が起きた。この人も経営する30軒以上の借家やアパート代を自分で集金に歩き、集めた金は自宅に置いていた。「いくらあるのか分からない」というのが、ご近所の評判だったという。

 貧乏人には理解し難い話だが、金持ちになればなるほどケチになり、人を信用しなくなるものらしい。銀行は信用しない。というより、自分の金で儲けられるのが癪なのではないか。大資産家で子どもがいないという例も多い。子どもなど穀潰しだと思っているのかもしれない。

 現金がうなっている高齢者宅など、危うすぎる。あきる野市の事件で、事情を知っている市役所関係者が捕まったように、「金がある」と周囲に知られることは危険をばら撒くようなものだ。

 まだまだこんな事件が増えそうだ。困った世の中だ。

 
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幸福実現党ですか

2009-05-26 06:06:56 | Weblog
 あの「幸福の科学」が政界に進出するという。党名は「幸福実現党」。教団の名前といい、実に幸せなことですこと。


 《宗教法人・幸福の科学(大川隆法総裁)による政治団体「幸福実現党」が25日設立され、次期衆院選に候補者を擁立する方針を発表した。

 党首には幸福の科学の元常務執行理事の饗庭直道(あえば・じきどう)氏が、党首代行には大川隆法氏夫人の大川きょう子氏が就いた。憲法9条改正など、隆法氏の理念に基づく政策実現を目指すとしており、隆法氏自身は立候補しないという。

 この日の記者会見では、300の小選挙区、11の比例区のすべてに擁立する意向を表明。候補者や選挙区については調整中といい、一般公募も呼びかけていくとした。幸福の科学によると、国内の会員数は公表していない》=朝日com=


 幸福の科学といえば、まだ可愛げが残っていたころの小川知子が「宗教弾圧は許さない」と絶叫していたのを思い出す。彼女も出馬するのだろうか。

 会員数は未公表とのことだが、組織力はかなりあるようだ。幸福の科学出版から出される大川の著書はそれなりに売れている(らしい)。地方紙のベストセラーランキング入りを狙って、中都市の書店で大量購入する手口も取っていると見られる。紀伊国屋の直近週間ランキングでは「ハウ・アバウト・ユウ?」が堂々の2位になっているから、大都市でもそれなりにウケているのかもしれない。


 もっとも、書いている内容は首をかしげるものが多い(らしい)。まだご本を拝んだことはないので確かなことは言えないが、宣伝コピーを見ただけでも怪しそうだ。例えばこんな具合。

 《 日本の繁栄は、絶対に揺るがない
   不況を乗り越えるポイント

 【緊急発刊】不況対策第2弾!
 [不況を乗り越えるポイント]
 ◆「大恐慌」は起きない。1ドル1円でも、日本は潰れない
 ◆この不況は「ネットと携帯電話のバブル破裂不況」
 ◆オバマの就任演説は、金融とイラクの敗北宣言
 ◆アメリカの“ジャパナイゼーション”(日本化)が始まった
 ◆日本の不況の原因は「金融引き締め政策」
 ◆30兆円の銀行紙幣の発行で景気回復
 ◆予算の「単年度制改正」で、財政赤字は解決
 ◆マスコミに洗脳されない独自の視点を   》=幸福の科学hp=

 幸福実現党、頼もしいかな?

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盧武鉉自殺に思う

2009-05-24 05:34:17 | Weblog
 韓国前大統領の盧武鉉が散歩中に飛び降り自殺した。献金疑惑の捜査に耐えられなかったのだとしたら、あまりにも弱すぎる。

 《韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領(62)が23日朝、韓国南部・慶尚南道(キョンサンナムド)金海(キメ)市の自宅近くで登山中に山道のがけから転落し、釜山市近郊の大学病院に運ばれ、同日午前9時半(日本時間同)、死亡が確認された。前大統領側近は「前大統領は家族にあてた短い遺書を残した」と明らかにした。警察当局は不正資金疑惑で捜査を受けたことを苦にした自殺の可能性が高いとみて関係者からの事情聴取や現場検証をして、当時の状況を確認している》=毎日jp=

 国家元首を務めた人物が、「つらかった」などと弱音を吐いて自殺してしまう。なんとも異様な光景だ。大統領になる資質がなかったと断ぜざるを得ない。在職中の過激な日本批判などは、すべて「戦う民主派」のイメージを植えつけるための演出だったのではないか。

 確固たる政治信念や哲学を持たなかった。だからぎりぎりに追い詰められた時、対処する方法を知らなかった。かわいそうと言えばかわいそうだ。

 日本の安倍晋三や福田康夫、アメリカのクリントンらにも共通する弱さだ。八方ふさがりの状況を切り開く勇気がなく、政権を投げ出す。色っぽい女書生と執務室で情事に耽る。いずれも、意志の弱さを示すものだ。

 いつからこんな連中が幅を利かせるようになったのだろう。

 一人の人間としてみれば、どうということはない。でも、一国の大統領や首相となれば話は違う。熱い心と冷徹な判断、深い洞察力、名より実を取るしたたかさ。それらが備わっていない人物が、最高権力に上り詰めると悲劇が始まる。

 韓国では政治対立が憂慮されているという。馬鹿な行為は自分を貶めるだけでなく、国さえも危うくする。わが麻生氏は、自殺の恐れは皆無だろうが、国を危うくしている点では盧武鉉以上かもしれない。

 世界を見渡してもろくな指導者がいない。新自由主義は人材まで腐らせてしまったのだろうか。
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日米政府に見る正しいおカネの使い方

2009-05-23 06:21:43 | Weblog
 アメリカのオバマ政権が、日産自動車に1000億円を融資する方針だという。電気自動車の開発促進が狙いだ。

 
 《米政府が日産自動車に対し、電気自動車など環境対応車の開発を支援するために創設した低利融資制度を適用する方針を固めたことが22日、分かった。制度適用が確実となった自動車メーカーは、米メーカー以外では日産が初めて。融資額は1000億円を超える規模となる見込み。日産は、米国での電気自動車の生産に向け本格的な検討に入る》=共同=

 共同も続けて書いているが、国内メーカー優遇策だけだと保護主義の批判を招きかねない。それを回避するという狙いも、もちろんあるだろう。だが、この方針から読み取りたいのは、「米国にとって良いものには、外国メーカーであれ金を出しますよ」という明快なメッセージだ。

 オバマ政権が注力するとしているのは環境とips遺伝子研究である。どちらも日本が先行していたが、ipsなどは逆転される形勢だ。政府資金が投入される米国に対して、わが方は寄付金頼みだ。


 《京都大学は山中伸弥教授が世界に先駆けて作製した新型万能細胞(iPS細胞)の研究を促進するため、一般市民や企業などから幅広く寄付を募る。このほど「iPS細胞研究基金」を創設した。寄付の募集期間は今年度から10年間で、目標額は年5億円》=日経ニュース=

 定額給付金を2兆円もばら撒いたり、高速道路の割り引きに金を使ったりするより、先端分野、成長分野に投資すべきだ。その姿勢がないから巨額の補正予算もカンフル剤にしかならない。

 先にNECと日立が撤退を表明した次世代スーパーコンピューター開発計画でも、政府のやる気のなさが目に余る。

 《官民共同で進める次世代スーパーコンピューターの開発計画で、NECと日立製作所が14日、事実上の撤退を発表した。国の計画に企業を参加させ産業技術の育成をもくろむ文部科学省と、厳しい経営環境下で合理化を迫られる企業の思惑のズレが表面化した格好だ。

 次世代スパコンは政府が掲げる「国家基幹技術」の1つ。理化学研究所を中心に、心臓部となる2方式の演算処理装置をNEC・日立グループと富士通がそれぞれ担当。国が1150億円を投じて神戸市に建設し、2010年度の一部稼働が計画されている》=日経ネット=


 理研が中心になって進めている「次世代」は、ベクトル型とスカラー型を併用した、多機能超高速がうたい文句だ。しかし、NEC、日立の撤退でスカラー単独になる。世界最速は実現できたとしても、実用面で問題が残りそうだ。次世代スパコン開発は「速度競争」ではない。これを使って何をするかが勝負なのだ。

 NECは百億円を出し惜しんだらしい。政府資金の追加を要請したが断られたとも伝えられる。国家プロジェクトが聞いてあきれる。麻生君、生きた経済が分かるというなら、生きたカネを使って見せてくれ。

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裁判員制度が始まる

2009-05-21 04:16:27 | Weblog
 悪評紛々の裁判員制度がきょうから始まる。直近の毎日新聞の世論調査では、「できれば裁判員になりたくない」が過半数を占めている。「ぜひ、裁判員をやってみたい」などと答える方がおかしい。

 人が嫌がることを強要するには、よほどの事情がなければいけない。税金がなければ国や自治体の経営が成り立たない。だから、渋々でも税金は払う。裁判員制度にこのような理屈があるのかどうか。

 朝日新聞や産経新聞をはじめ、メディアはなんだかんだと言いながら「公の精神を育てる好機」だの「民主主義を成熟させる」などと制度を礼賛している。

 《欧米諸国には、市民革命などを経て、国民が陪審員や参審員として直接、裁判に参加する歴史がある。いまや国民の司法参加は先進国の標準となり、韓国も昨年から国民参与制の試行を始めた。

 プロが行う裁判は安定性や一貫性を強みとする。だが、とくに90年代以降の経済社会の変化、犯罪の多様化が逆にそうした裁判の閉鎖性、後進性を浮き彫りにした。そこで法曹人口の増員をはじめとする司法制度改革が始まった。重い犯罪を対象にする裁判員制度の導入は、その太い柱である》=朝日com=

 《国民が1審の刑事裁判に参加する「裁判員制度」が21日からスタートする。裁判員は裁判官と対等の立場で有罪か無罪か、量刑をどうするかを決める。国権の一つである司法権の行使に国民が参加して重要な役割を担う。

 わが国司法制度の大転換だ。何よりも円滑な運用が求められる。国民の協力がなければ立ちゆかない。裁判員となる国民の負担軽減にも常に気を配らなくてはならない。こうした点とともに、ともすれば「自己本位」と批判される日本人が「公の精神」を取り戻す好機にしたい》=産経ニュース=

 制度発足で事件取材がガタガタになりそうなのに、能天気なことだ。しかも、矛盾したことを平気で述べている。例えば朝日。「刑罰は国家権力の行使そのものだ。その決定に普通の人々が加わる」。国の責任を個人に推し被せていいのか。国民すべてが権力構造に組み込まれる体制が妥当なのか。大いに疑問だ。

 外国では広く陪審が行われている。日本の裁判にも市民を参加させなくては、とも言う。ペテン的議論である。陪審と裁判員は似て非なるものどころか、全く違うといっていい。陪審は有罪か無罪かを決するだけで、量刑の判断はしない。評議は陪審員だけで行われ、裁判官は加わらない。

 プロの裁判官が評議をリードし、量刑まで決めるわが国の裁判員制度はきわめていびつだ。裁判官の資質に問題があるから裁判員裁判に、という趣旨にも反する。

 また、朝日社説は「検察審査会を経験した人のアンケートでは大半が『やってよかった』と答えた」と書いている。検察審査会と裁判員裁判を同列視できるのか。検察審査会に係る事案の多くは汚職に代表される公務員絡みだ。裁判員裁判で審理する凶悪事件が不起訴になるなどという事態はあり得ない。

 《忘れてならないのは、司法の改革を裁判員制度の枠にとどめてはならないということだ。(中略)法廷で交わされる専門語や手続きは複雑で、傍聴する市民は蚊帳の外。やっと出た判決は、行政には理解があるのに、市民感覚からかけ離れた論理が目立つ。そのうえ憲法判断となるととたんに慎重になる。

 日本の民事・行政訴訟の実態は、長くこのようなものだった。国民の司法参加は、人権侵害や公害、法令や行政行為へのチェックを担う民事・行政訴訟でこそ発揮されるべきだ。司法改革第2幕へとつなげたい》=朝日com=

 あたかも、「第2幕」があるかのような書きっぷりだ。「国民の司法参加は、人権侵害や公害、法令や行政行為へのチェックを担う民事・行政訴訟でこそ発揮されるべきだ」と言うのはそのとおりだ。それなら、なぜ重罰の刑事事件から始まったのかに対して疑問を呈するのが筋だろう。民事や行政訴訟に市民感覚など持ち込まれては困るから、ふさわしくない刑事事件にしたのだ。

 しかも、この制度は国民を刑法体系で統合する役目も果たす。一石二鳥というわけだ。こんなことで民主主義が進展するなどとは、曲解もはなはだしい。
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新型インフルエンザ対策

2009-05-19 05:13:17 | Weblog
 神戸高校生の感染が確認されたと思ったら、あっという間に感染者が160人を超えた。もちろん新型インフルエンザのことである。


 《大阪と兵庫で新たに24人が新型インフルエンザに感染していることがわかり、これで感染者は163人になりました。

 兵庫県尼崎市で新たに感染がわかったのは、男子高校生5人。うち3人は大阪の関西大倉高校に通い、他に大阪学院大学高校の男子生徒が1人、そして、神戸村野工業高校に通う男子生徒が1人です。

 また、姫路でも男子高校生の感染が確認されました。さらに大阪でも18人の感染が新たにわかり、大阪と兵庫の感染者は163人になりました》=MBSニュース=

 兵庫、大阪以外でも「疑い例」の情報が相次いでおり、全国に飛び火するのは時間の問題だ。臨時休校や出社停止、店舗の営業自粛などが続出している。東証が値を下げたのも、円高より「インフル懸念」と見た方がいいだろう。

 このままでは国民生活が大混乱する。観光などを中心に経済への影響も避けられない。橋下大阪府知事ら地方が悲鳴を上げだした。こうなると国も動かざるを得ない。舛添厚労相は18日の会見で、週内にも行動計画を見直すとの方針を示した。


 《大阪府と兵庫県内で新型インフルエンザ感染が拡大していることを受け、舛添要一厚生労働相は18日、政府の行動計画について週内にも見直しを検討する意向を表明した。

 現行計画に従って自治体や企業が行動した場合、必要以上に社会機能がまひしてしまうとの懸念が関係者から出ていることに配慮したものだが、計画そのものではなく、運用面での変更にとどまることもあり得るとみられる。

 18日午後、厚労省内で緊急記者会見した舛添厚労相は「政府の専門家諮問委員会から、今回の新型インフルエンザは感染力、病原性などの性質からみて、季節性と変わらないという評価が可能との報告があった」と述べた。その上で「病原性は高くない。(今回のウイルスである弱毒性の)H1N1に即した新しい方針をつくるのも方法の一つ。1週間以内にやる」と話した》=共同=

 考え方は概ね妥当だろう。問題は新しい指針をどう決めるかだ。麻生首相は「弾力的に」と繰り返している。万事アバウトなこの男らしい。だが、弾力的は「無原則」と紙一重だ。自治体ごとに「弾力」が異なっては混乱に拍車を掛ける恐れさえある。「これ以上は縮まない」という一線をどこに定めるか。科学的知見に基づいた説得力ある指針を示す必要がある。

 さらに重大なのは、準備万端整えた「新型インフルエンザ阻止作戦」があっけなく敗れたという点である。現時点での国内感染者は数千人から1万人前後だろう。弱毒性という点だけが救いである。

 大交流の時代には水際作戦は効かないということだ。新型の「本命」とされるH1N5タイプがパンデミックになったとき、どうするか。国内流入の阻止に力を入れるより、被害の最小化を図る工夫が重要だろう。今回の事態を教訓に、作戦を練り直してほしい。 

 
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福岡飲酒事故判決への疑問

2009-05-16 06:11:51 | Weblog
 2006年に福岡市で起きた幼児3人死亡飲酒運転事故の控訴審判決で、福岡高裁は危険運転罪を適用して、被告に懲役20年の判決を言い渡した。


 《福岡市東区で06年、飲酒運転で3児を死亡させたとして危険運転致死傷罪などに問われた元同市職員、今林大(ふとし)被告(24)の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。陶山博生裁判長は、業務上過失致死傷罪の適用にとどめて懲役7年6カ月(求刑懲役25年)を言い渡した一審・福岡地裁判決を破棄。「酒の影響で正常な運転が困難な状態で事故を起こしたと認められる」として危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)の罪を適用し、懲役20年を言い渡した。弁護側は判決を不服として、上告する方針。

 01年の刑法改正で施行された危険運転致死傷罪の適用の可否については、一、二審で裁判所の判断が分かれるケースが相次いでいる》=朝日com=


 判決要旨を読む限り、かなり強引な判決との印象が否めない。「道路が左に傾斜しているため、被告は常に右側にハンドルを切る必要があり、10秒以上もの時間わき見運転をすることは不可能」。

 現場の状況がよく分からないので確定的なことはいえないが、この文章は意味不明だ。結果として道なりに運転したということと、わき見運転していたことは矛盾しない。この裁判長は普段ハンドルを握っていないのではないか。

 事故が飲酒に起因すると決め付けたから、こんな認定になる。

 一審判決は危険運転罪を認めず、懲役7年だった。一審と二審では量刑に三倍もの開きがある。プロが熟慮した結果がこうだとすれば、裁判員裁判でこんな事案を任されたらどうなるのか。情緒的、かつ被害者の心情に寄り添った判決が続出する可能性が高い。

 今回の判決はかなり問題が残る判断だったにもかかわらず、メディアの反応は鈍い。朝日は社会面に載せただけで、判決要旨もない。

 読売は1面と社会面に書き分けてはいるが、被害者寄りの記事に終始している。1面コラム「編集手帳」は

 「日ごろ鼻風邪や花粉症でお世話になっている身近な品を、これほど悲痛な文脈で用いた例を知らない。〈交通事故の裁判における被害者の命の重さは、駅前で配られるポケットティッシュのように軽い〉と◆1997年3月、小学生2人をはねて死亡させた被告に、業務上過失致死罪で求刑通り禁固2年の判決を言い渡したとき、京都地裁の藤田清臣裁判官が血を吐くように語った言葉である◆危険運転致死傷罪の新設など厳罰化がなされた今も、ときに胸をよぎる」と書き出し、いかなる厳罰でも失われた命は戻らない、と嘆いてみせる。

 心情的には分かるが、事は法律の適用の問題だ。懲役1年以上の有期刑が可能な危険運転罪は、業務上過失致死罪などに比べて重すぎはしないか。薬害や公害で何百人もの死者を出しても、企業に科されるのは罰金刑がせいぜいだ。
 

 殺人よりも飲酒運転による致死の方が罪が重くなっては、具合が悪い。罪と罰は応報とは異なる。被害者救済に力を入れるのは当然だが、何でも厳罰という風潮は警戒すべきだ。結果の重大性と同様、故意や悪意の程度も量刑判断の重要な要素だ。飲酒運転、即、危険運転とは乱暴な議論だ。
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小沢辞任のお粗末

2009-05-12 05:33:08 | Weblog
 民主党の小沢一郎代表がようやく辞任する。西松建設の不正献金事件によるダメージコントロールを誤った屈辱的な退陣だ。

 ご本人は「選挙に勝つための挙党一致体制づくりが最優先」「政権交代に今後とも全力を尽くす」と強がって見せたが、作り笑いの裏側は悔しさでいっぱいだろう。

 当ブログは1カ月前にこう書いた。

 《解散風が強まれば、小沢は辞めるだろう。岡田あたりに代えて一気の巻き返しに出る戦略だ。といっても、選挙の指揮を執るのは小沢だ。こういう体制を作れるかどうかが民主党の分かれ道となる。一部の潔癖主義者の反小沢感情は根強い。それはそれで理解できるのだが、政権奪取を最優先すれば別な選択肢も出てくる。

 連休前までにはおぼろげな進路が見えてきそうだ。麻生、小沢、どちらも次の総選挙後には消えている?》

 任期満了まで4カ月。すでに各選挙区は臨戦態勢である。民主党の議員連中は、大型連休中の選挙区回りで、小沢への有権者の風当たりの強さを肌で感じたことだろう。唐突とも見える小沢の辞意表明は、そうした党内の空気を反映したものだろう。

 決断や英断は時機を捉えているからそう評されるのだ。今回の小沢辞任表明はタイミングを失しており、英断などと呼べる代物ではない。「一点のやましいところもない」なら、やめる必要もない。言葉と行動が食い違っていては、国民の共感は得られない。

 さて、後任である。岡田克也、鳩山由紀夫、菅直人らの名前が取りざたされている。おそらくこの3人のうちの誰かだろう。何の新鮮味も魅力もない。いずれも代表経験者でとうが立った賞味期限切れの印象である。

 次期執行部と小沢との距離感も問題だ。選挙には小沢のタクトが必要だ。だが、「二人羽織」が見え見えでは、純情な国民に見放される。

  で、麻生はどうするのか。補正予算で攻勢をかけて、一気に解散してしまうのがベストだが、とてもそんな芸当はできまい。7月のサミットが終われば麻生も死に体、解散したとしても野垂れ死に解散でしかない。

 民主党も自民党も次の顔がいない。人材不足というより、この国を変えていく構想力と政策がないことに尽きる。ばら撒きと人気取りに終始しているのがその証拠だ。こんな連中にだまされて、1000円高速をほいほい走っている国民の罪が一番大きいのは確かだが…。

 

 
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世界記録とマテリアル

2009-05-11 05:46:26 | Weblog
 水泳の日豪対抗で、背泳ぎの入江陵介が従来の記録を1秒以上上回る世界新記録を出した。本人も「びっくりしている」という快記録だ。

 《競泳の日豪対抗が10日、オーストラリアのキャンベラで行われ、男子200メートル背泳ぎで入江陵介(19)=近大=が1分52秒86の世界新記録をマークして1位となった。昨夏の北京五輪決勝で、優勝のライアン・ロクテ(米)が樹立した1分53秒94を1秒08も上回った》=朝日com・共同=

 注目は入江が着用していた水着だ。ラバー素材を使ったデサントの新製品で、現在、国際水連(FINA)に承認申請中だという。現行の基準は満たしているのだろう。近く正式に世界新として公認されるのは間違いない。気になるのはその先である。

 先月行われたフランス選手権ではアリーナの新型高速水着を使ったベルナールが100フリーで史上初めて47秒を切るタイムをたたき出している。FINAはレーザー・レーサー(LR)に代表される一連の高速水着に新基準を設ける意向で、いま盛んに記録を出している各種水着が公認競技会で使用できるのは今年限りになりそうだという。

 そうなると、LRやほかの新型で樹立された世界記録の扱いはどうなるのか。伝えられるように非透水素材の使用が規制されれば、記録が出なくなるのは確実だ。北京五輪などで作られた多くの記録は「不滅の記録」としていつまでも残ることになる。

 FINAの選択は正しいのだろうか。競技環境や用具が記録の向上に大きく寄与しているのは、他の種目を見ても明らかだ。アンツーカーのトラックを10秒0で爆走したボブ・ヘイズは、今の高速レーンならどんな記録を出すか分からない。

 記録が伸びてこそ、その競技への関心が高まり、レベルアップにつながる。記録が出なくなって人気が衰えた代表は、陸上のやり投げだ。やりの重心の位置を変えた結果、飛ばなくなった。豪快さが消え観衆の注目も同時に消えた。

 水着規制は同じような弊害をもたらす恐れがある。健康障害などの心配がない限り、規制は最小限にすべきだ。児童など低年齢層の使用は、また別の問題だ。
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