北朝鮮がロケットを飛ばしたり、2年半ぶりに核実験を再開したりしているのは、金正日の後継体制づくりが加速しているからだ--内外のメディアでこんな見方が広がっている。
毎日新聞が27日付けから連載した「危機の舞台裏 北朝鮮核実験」などがその代表格だ。
《「チョルムン テジャン」。日本語に訳せば「若大将」。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記(67)が今年に入り、それまで使ったことのない愛称を口にし始めた。「若大将、いいぞ、いいぞ」「若大将が非常に頑張っている」「若大将に貫禄が出てきた」。金総書記は側近たちの前で、この「若大将」という言葉を繰り返した。ある側近は「将軍様(金総書記)は意識的に使っている」と感じたという。
北朝鮮指導部に近い関係者が解説する。「『若大将』は将軍様が使い始めた三男の愛称だ。後継体制は『若大将』に向かって流れている」。金総書記が三男正雲(ジョンウン)氏(26)をこう呼ぶようになって間もなく、国外に「後継者は正雲氏」という情報が漏れ出した。
昨年8月、金総書記が脳卒中で倒れたのを受け、北朝鮮では後継体制に向けた動きが表面化し始めた。総書記の後継者は正雲氏とその兄正哲(ジョンチョル)氏(28)、異母兄弟の正男(ジョンナム)氏(38)の3人が有力視されている。正哲氏は朝鮮労働党で党務を、正雲氏は国防委員会で軍務をそれぞれ担当しているとされる》=27日・毎日=
金正日の後継者が正男、正哲、正雲の3人から選ばれるのは間違いない。あるときは正男、またあるときは正哲、でも本命は正雲…とめまぐるしく動いている。一連の報道を見る限り、正雲が有力視されているのは確かなようだが、「これで決まり」というには時期尚早だ。
従来の解説では、「正日の義弟・張成沢が正男の後ろ盾で、彼の復活によって正男後継の目が強くなった」とされてきた。正雲を推すのは軍長老だ。北亡命者らは、3人のうちただ一人朝鮮労働党の役職に就いている正哲こそが後継者に違いないと推測する。
《20日付の韓国紙、東亜日報は、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記の秘書をしていた脱北者の話として、北朝鮮の金正日総書記の後継者に三男、金正雲氏(26)ではなく、二男の正哲氏(28)がなる可能性が高いと伝えた》=産経ニュース=
要するに何がなんだかよく分からない。関大の李英和などは北の一連の強行策について、軍と党の意見は一致していない、と見る。「先軍政治」路線の定着で、党の力が弱くなっているとの見立てだ。
その軍部の実態が分からないのが困る。70代の大将軍クラスがいまだに実権を掌握しているとも伝えられる。この連中は毛沢東の人民戦争論がバイブルで、近代戦の戦略とは無縁だ。
ミサイルや核技術に明るいテクノクラートが予想外に大きな力を持っていることはあり得る。正日の「新し物好き」はよく知られるところだ。となると、外国旅行が趣味の正男の線も捨てきれない。
いずれにせよ、近々後継者が発表される状況とは考えにくい。権力者は後継が決まった段階でレーム・ダックになるというのは体制の如何を問わないからだ。怪しげな情報源から伝わってくる後継話は、すべて「観測気球」と受け止めるのが賢明だろう。
毎日新聞が27日付けから連載した「危機の舞台裏 北朝鮮核実験」などがその代表格だ。
《「チョルムン テジャン」。日本語に訳せば「若大将」。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記(67)が今年に入り、それまで使ったことのない愛称を口にし始めた。「若大将、いいぞ、いいぞ」「若大将が非常に頑張っている」「若大将に貫禄が出てきた」。金総書記は側近たちの前で、この「若大将」という言葉を繰り返した。ある側近は「将軍様(金総書記)は意識的に使っている」と感じたという。
北朝鮮指導部に近い関係者が解説する。「『若大将』は将軍様が使い始めた三男の愛称だ。後継体制は『若大将』に向かって流れている」。金総書記が三男正雲(ジョンウン)氏(26)をこう呼ぶようになって間もなく、国外に「後継者は正雲氏」という情報が漏れ出した。
昨年8月、金総書記が脳卒中で倒れたのを受け、北朝鮮では後継体制に向けた動きが表面化し始めた。総書記の後継者は正雲氏とその兄正哲(ジョンチョル)氏(28)、異母兄弟の正男(ジョンナム)氏(38)の3人が有力視されている。正哲氏は朝鮮労働党で党務を、正雲氏は国防委員会で軍務をそれぞれ担当しているとされる》=27日・毎日=
金正日の後継者が正男、正哲、正雲の3人から選ばれるのは間違いない。あるときは正男、またあるときは正哲、でも本命は正雲…とめまぐるしく動いている。一連の報道を見る限り、正雲が有力視されているのは確かなようだが、「これで決まり」というには時期尚早だ。
従来の解説では、「正日の義弟・張成沢が正男の後ろ盾で、彼の復活によって正男後継の目が強くなった」とされてきた。正雲を推すのは軍長老だ。北亡命者らは、3人のうちただ一人朝鮮労働党の役職に就いている正哲こそが後継者に違いないと推測する。
《20日付の韓国紙、東亜日報は、ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記の秘書をしていた脱北者の話として、北朝鮮の金正日総書記の後継者に三男、金正雲氏(26)ではなく、二男の正哲氏(28)がなる可能性が高いと伝えた》=産経ニュース=
要するに何がなんだかよく分からない。関大の李英和などは北の一連の強行策について、軍と党の意見は一致していない、と見る。「先軍政治」路線の定着で、党の力が弱くなっているとの見立てだ。
その軍部の実態が分からないのが困る。70代の大将軍クラスがいまだに実権を掌握しているとも伝えられる。この連中は毛沢東の人民戦争論がバイブルで、近代戦の戦略とは無縁だ。
ミサイルや核技術に明るいテクノクラートが予想外に大きな力を持っていることはあり得る。正日の「新し物好き」はよく知られるところだ。となると、外国旅行が趣味の正男の線も捨てきれない。
いずれにせよ、近々後継者が発表される状況とは考えにくい。権力者は後継が決まった段階でレーム・ダックになるというのは体制の如何を問わないからだ。怪しげな情報源から伝わってくる後継話は、すべて「観測気球」と受け止めるのが賢明だろう。