かねて噂になっていた毎日新聞の共同通信加盟が正式に発表された。
《毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社は26日、記者会見を行い、記事配信などをめぐって包括提携することを明らかにした。包括提携の大きな柱は毎日新聞社が(1)各県を拠点とする共同加盟社の一部から地方版記事配信の協力を受ける(2)共同通信社に加盟する--など。官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる。
会見したのは、朝比奈豊・毎日新聞社社長、石川聡・共同通信社社長、同社理事会長の多田昭重・西日本新聞社会長の3人。新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的。3者はメディア再構築へ向け、緊密に協力することになる。本社は全国紙として支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持しながら、独自の取材を展開する環境を整える。
また、3者によるキャンペーンの展開やシンポジウムの開催、各社の論説委員による対談、また同じテーマでの合同企画など、これまでにない試みや協力を進めることも明らかにした》=毎日jp=。
実売部数が200万部台と推定される毎日新聞は、もはや全国紙の体をなしていない。県によっては1000部などというところもあるからだ。こうした地方でも支局を維持し、人を貼り付けているのは全国紙としてのプライドを捨てられないからだ。
でも、これも限界にきたということだ。共同加盟は苦渋の選択である。ところが、《新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的》などと書かねばならない。一体どこが画期的なのか。この期に及んで「見栄」を張っても仕方あるまいに…。
双方の経営面に寄与することは間違いない。
まず、毎日側。国内の弱小支局は廃止ないし縮小されることになろう。東北、北陸、山陰、四国、九州などが対象となる。《支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持》は「当面」の語句を補足して読むべきだ。支局は残ったとしても、今の陣容ではない。通信部並みの支局も出てくるだろう。海外の特派員も大幅に減らされる。証券など市況関係、スポーツ記録、その他定型的な紙面の合理化もできる。人員を含めてかなりにリストラになる。
共同はどうか。加盟社の経営難から負担金の減額が続いているらしい。毎日の加盟によって、これまでに減った以上の金が入ってくる。負担金は部数比例方式だというから、数十億単位が見込まれる。
経営にメリットがあるからといって、万々歳ということにはならない。何よりメディアとしての機能向上が図れないどころか、かえっていびつになりそうだからだ。
毎日が「毎日新聞」の題字を維持し、全国紙として振る舞う限り、地方紙への記事配信はきわめて難しい。その逆はなおさらである。一部とはいえ同じ記事が載っている新聞が、同じ地域で並立すると考えているとしたら甘い。
毎日が目指すべきは東京・大阪地方紙に特化することだ。これなら地方紙とのバッティングもない。東京新聞はいやな顔をするだろうが、現状と同じと思えば我慢できよう。
それにしても《官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる》とは泣かせるせりふだ。そうなることを祈りたいが、ベクトルは逆だろう。独自の視点を持った連中の脱出が加速するのではないか。「共同傘下の毎日に未来はない」と見切りをつけて…。
《毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社は26日、記者会見を行い、記事配信などをめぐって包括提携することを明らかにした。包括提携の大きな柱は毎日新聞社が(1)各県を拠点とする共同加盟社の一部から地方版記事配信の協力を受ける(2)共同通信社に加盟する--など。官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる。
会見したのは、朝比奈豊・毎日新聞社社長、石川聡・共同通信社社長、同社理事会長の多田昭重・西日本新聞社会長の3人。新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的。3者はメディア再構築へ向け、緊密に協力することになる。本社は全国紙として支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持しながら、独自の取材を展開する環境を整える。
また、3者によるキャンペーンの展開やシンポジウムの開催、各社の論説委員による対談、また同じテーマでの合同企画など、これまでにない試みや協力を進めることも明らかにした》=毎日jp=。
実売部数が200万部台と推定される毎日新聞は、もはや全国紙の体をなしていない。県によっては1000部などというところもあるからだ。こうした地方でも支局を維持し、人を貼り付けているのは全国紙としてのプライドを捨てられないからだ。
でも、これも限界にきたということだ。共同加盟は苦渋の選択である。ところが、《新聞社が通信社に加盟して配信記事を活用するだけでなく、共同通信社加盟の新聞社と記事配信などで協力関係を作るのは画期的》などと書かねばならない。一体どこが画期的なのか。この期に及んで「見栄」を張っても仕方あるまいに…。
双方の経営面に寄与することは間違いない。
まず、毎日側。国内の弱小支局は廃止ないし縮小されることになろう。東北、北陸、山陰、四国、九州などが対象となる。《支局ネットワークと地域面の枠組みを堅持》は「当面」の語句を補足して読むべきだ。支局は残ったとしても、今の陣容ではない。通信部並みの支局も出てくるだろう。海外の特派員も大幅に減らされる。証券など市況関係、スポーツ記録、その他定型的な紙面の合理化もできる。人員を含めてかなりにリストラになる。
共同はどうか。加盟社の経営難から負担金の減額が続いているらしい。毎日の加盟によって、これまでに減った以上の金が入ってくる。負担金は部数比例方式だというから、数十億単位が見込まれる。
経営にメリットがあるからといって、万々歳ということにはならない。何よりメディアとしての機能向上が図れないどころか、かえっていびつになりそうだからだ。
毎日が「毎日新聞」の題字を維持し、全国紙として振る舞う限り、地方紙への記事配信はきわめて難しい。その逆はなおさらである。一部とはいえ同じ記事が載っている新聞が、同じ地域で並立すると考えているとしたら甘い。
毎日が目指すべきは東京・大阪地方紙に特化することだ。これなら地方紙とのバッティングもない。東京新聞はいやな顔をするだろうが、現状と同じと思えば我慢できよう。
それにしても《官公庁や企業の発表記事などを中心に、両者から記事配信を受けることにより、本社の記者は独自の視点で取材を進め、強みとしてきた調査報道や解説記事をより充実させる》とは泣かせるせりふだ。そうなることを祈りたいが、ベクトルは逆だろう。独自の視点を持った連中の脱出が加速するのではないか。「共同傘下の毎日に未来はない」と見切りをつけて…。