酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「江」は何とかならないか

2011-01-25 05:50:07 | Weblog
 いくら芝居だと言っても、ちょっとなあ。NHKの新作大河ドラマ「江」のことである。

 3年前に大好評だった「篤姫」の二匹目のドジョウを狙って、脚本も同じ田渕某が担当している。ここまで3回見たが、いやー参ったなあ。

 キャスティングにしらけっぱなしだ。

 重要人物である徳川家康を演じるのは何と北大路欣也、御年67歳である。これが豊川悦史演じる信長と対峙する。江が徳川家の嫁となってから本格的な物語が始まるわけで、そのころの家康にはそれなりの貫禄が求められるのは理解できる。

 しかし、実年齢で信長よりも9歳も若い家康を、逆に20も年上の欣也爺が演じるのは具合が悪すぎる。むしろ若い役者を起用して、老けさせる方がいい。年寄りの若づくりは苦しさばかりが目に付いてしまう。

 茶々、初、江の3姉妹の年齢関係も怪しい。宮沢りえは無理だろう。

 何よりもドラマづくり杜撰だ。いくら江が進取の気質に富む異才だとはいえ、これほど勝手に振る舞えるはずがない。

 信長、秀吉、家康の3人と接点を持つ江の存在は、確かに気になる。ならばなおのこと丁寧に描くべきだろう。話題性と視聴率ばかりを気にして、茶番を演じるのはこのあたりで打ち止めにしてもらいたい。
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タイガーマスク

2011-01-13 05:41:41 | Weblog
 各地の児童福祉施設などに匿名でプレゼントをする「タイガーマスク運動」がブームらしい。伊達直人現象とも呼ばれるとか。昨年暮れの25日、群馬県中央児童相談所で「タイガーマスクより」と添え書きの付いたランドセル10個が見つかったのが最初だ。

 これが各紙に「明るい話題」として取り上げられ、火がついた。いまや日本中に「善意のプレゼント」がばらまかれている。贈り主は伊達直人だけではなく、桃太郎、矢吹丈、山田太郎など人気者が勢ぞろいだ。

 11日のNHK夕方7時のニュースは、「タイガーマスク」をトップに据えた。驚いていたら、翌12日の大手各紙は社説の揃い踏みである。はぁ~。ほかに書くことはないのかね。善意にニコニコしているだけの新聞では困ったものだ。各紙社説の「さわり」は、以下の通り。

《「いま何が必要か、施設に相談していただけると、よりうれしい。どういう人に助けてもらったか、顔が見えた方が、子どもの将来にとってもよいと思うのです」。都内で施設を運営し、全国児童養護施設協議会の副会長を務める土田秀行さんは、そう話す。

 施設はこれまでも、様々な善意に支えられてきた。地域の飲食店が食事をふるまったり、篤志家がスポーツ観戦に招待したり。そうした営みはとりたてて光が当てられることもない。

 岩手県花巻市のスーパーで現金と一緒に見つかった手紙には「全国にタイガーマスクが居るんですよ、きっと」と書かれていた。そう、誰もが小さな善意のロウソクを持っている。

 寒さも景気も厳しい冬だ。白いマットのジャングルに、きょうも嵐が吹き荒れている。タイガーマスクが灯したのは、子どもたちに加え、日々を忙しくやり過ごしている普通の市民の気持ちだったのでは――。

 だとしたら、善意を効果的に届けるには、寄付文化を根づかせるには、どうしたらよいか。照れや気負いの覆面を外し、考えるきっかけにしたい》=朝日=。

 《子どもたちの幸せを願って、自らが育った孤児の家にファイトマネーを寄付し続けたタイガーマスクの物語が、各地に伊達直人氏を出現させたのだろう。

 ボクシング漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈を名乗る贈り主も現れた。願わくば一時のブームに終わることなく、長く続いてもらいたい社会現象だ。

 プロ野球巨人軍の内海哲也投手は毎年、シーズンの奪三振数と同じ数のランドセルを児童養護施設にプレゼントしている。「子どもたちから元気をもらう。笑顔を見ていると、もっと頑張らないと、と気合が入ります」と言う。

 各地のタイガーマスクも、思いは同じなのではないか》=読売=。

 《窮状を見かねて「伊達直人」は寄付したのだろうか。いや、もっと軽い気持ちの人もいるかもしれない。それでも次々に登場する「伊達直人」を温かく見守りたいと思う。

 かつての大家族や地域のきずなは消え、孤立と無関心が社会を覆っている。公的な福祉サービスがもっと必要なのだが、社会保障費は膨張し続け国の借金も900兆円を超える。暮らしが断崖へと追い詰められる実感を多くの人が持ち始めているのではないか。震災時のボランティア活動などに見られるように、身近な地域が危機に陥ると自発的に思いやりの心が生まれることがある。「伊達直人」がその予兆だとしたら、助け合いの精神をじっくり育てたい。

 家族や地域だけでも公的福祉だけでもやっていける時代ではない。NPO法人への寄付を促す市民公益税制も11年度税制改正に盛り込まれた。新たな思いやりの文化や精神を社会に根付かせる機会と考えたい》=毎日=。

 やたら優しい人が、手のひらを返したように冷酷になるケースがある。善意が裏切られた、あるいは報われないと感じるときだ。社会にもこれが当てはまる。一次の熱狂の後の無視と軽蔑、反感…。排外主義が頭をもたげるのもこんなときだ。
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