米大統領選挙はトランプの勝利で幕を閉じた。「世紀の大番狂わせ」「驚くべき結果」「何が起こったのか」-メディアは自らの予想と反した結果に周章狼狽の体である。番狂わせとは平幕が絶好調の白鵬に買った場合などに言う言葉であって、今回のようにつばぜり合いの戦いには当てはまらない。これを「番狂わせ」と評しているのは、自らの不明を告白しているようなものであろう。ブレグジットと言い、米大統領選と言い、メディアは予想を外しまくっている。なぜか。彼らはエスタブリッシュメントのインナーであり、大衆の心理が理解できない存在に「成り上がって」いるからだ。
読売新聞国際部長の飯塚恵子は「大衆迎合で大国導けぬ」と題してこう書く。
「米国でこんなに怒りや不満を抱え、『疎外』されていた人が多かったのか、と驚くばかりである」。商業紙で世界最大部数を誇る新聞の国際部長がこんなことで驚いてもらっては困る。かの国の下流社会の現実の酷さについては、10年前邦訳が出版された「ニッケル・アンド・ダイムド」や堤未果の一連の著作などが明らかにしている。メディアはそれに目を塞いできたのだ。
飯塚はこうも言う。「トランプの熱狂的支持者は、比較的貧しい白人労働者たちだ、と何度も報じてきた。だが、彼らの怒りがここまで充満していたことにどれだけの日ちが気づいていただろうか。「何度も報じ」ながら、深層を見抜けなかった己を恥じてもらいたい。
大衆の怒りに「迎合」しろとは言わない。だが、大衆の心理に迫れないメディアは、既にその存在価値を失っている。一連の「驚くべき結果」から何を学ぶか。そこが要である。
読売新聞国際部長の飯塚恵子は「大衆迎合で大国導けぬ」と題してこう書く。
「米国でこんなに怒りや不満を抱え、『疎外』されていた人が多かったのか、と驚くばかりである」。商業紙で世界最大部数を誇る新聞の国際部長がこんなことで驚いてもらっては困る。かの国の下流社会の現実の酷さについては、10年前邦訳が出版された「ニッケル・アンド・ダイムド」や堤未果の一連の著作などが明らかにしている。メディアはそれに目を塞いできたのだ。
飯塚はこうも言う。「トランプの熱狂的支持者は、比較的貧しい白人労働者たちだ、と何度も報じてきた。だが、彼らの怒りがここまで充満していたことにどれだけの日ちが気づいていただろうか。「何度も報じ」ながら、深層を見抜けなかった己を恥じてもらいたい。
大衆の怒りに「迎合」しろとは言わない。だが、大衆の心理に迫れないメディアは、既にその存在価値を失っている。一連の「驚くべき結果」から何を学ぶか。そこが要である。